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2015/01 第93号「♪縦の糸はあなた 横の糸は私…」

 昨年の大晦日、恒例の紅白歌合戦。皆さんはご覧になりましたでしょうか。今回、私が注目したのは、NHK朝ドラ「マッサン」の主題歌を歌う中島みゆきさんでした。昔から、その歌い方と、特に独特な世界観をもった歌詞にはファンが多いようです。
 その紅白歌合戦で、クリスハートさんが中島みゆきさんの「糸」という曲をカバーして歌ったことも話題になりました。元々は、中島みゆきさんが天理教の方の結婚式のために書き下ろした、二十年以上も前に作られた曲だそうです。今でも、結婚式には欠かせない曲になっているようです。
 「♪縦の糸はあなた 横の糸は私…」というフレーズです。お互いを、縦横の糸によって織りなされている布にたとえている歌詞で、結婚をするカップルには最適なのでしょう。
 さて、仏教には、お経が付きものです。この「経」には、縦という意味もあります。例えば、地球も経度、緯度と、縦横によって表されます。この縦と横の関係を、機織りで見ますと、まず、縦糸を張って、横糸によって布は織られていきます。このように、縦糸が基本になっています。つまり、お経は縦糸、基本となるものといった意味から生まれたようです。縦糸(お経)がきちんとしているから、布はバラバラにならずに雨風(困難)を受け止められるのでしょう。
 日ごろ読む正信念仏偈の中に、
 即横超截五悪趣
という節があります。親鸞さまは、「横超」という表現をされました。迷いの渦の中にいる私たちは、困難を一つ一つ解決して、徐々に仏に近づくというのではなく、一切のものを乗り越えて横っ飛びで仏に成らせていただくということです。縦糸というお経、ゆるぎない阿弥陀さまの本願のお力はすでにそなわっていて、一つ一つ自力で縦糸を作る必要はないのです。浄土真宗は、阿弥陀さまの本願のお力によりすでに救われている他力の教えであるということです。
 縦の糸はあなた横の糸は私
 遇うべき糸に出遇えることを
 人は仕合わせと呼びます

 中島みゆきさんのアルバムで「糸」を、あらためて聴かせていただき、依りどころとするものが如何に大切なのかを味わわせていただきました。

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