白い朝
日曜日朝九時ごろに疲労を溜めたまま病院を出る。
タイムカードを切って外に出ると曇りで、雨は無かったが湿気にちょっと滅入った。帰って朝食を作っても良かったが疲労が勝った。
街路樹のトウカエデが青く空を覆っている。
坂を登ってもいいし、下っていってもいい。どちらにも好きな喫茶店があった。朝早いので、開いているのはチェーン店くらいだろうが、構わなかった。早く腰を落ち着けたかった。
考えて、最終的に坂を登った。疲労で勝手に曲がる腰を時々正しながら身体に鞭を打った。坂を登り切って左に曲がり、いつもの喫茶店に入る。茶けた建物の正面から少し側面に回ると看板が見えてくる。店内に入り席を確保すると店員が声をかけてくるので、カフェラテと軽食を頼んだ。
ようやく息をついた。
昨晩は短い眠りだけだった。指折り数えて、断続的に4時間ほどの睡眠時間で今ここにいる。疲れているはずだ……と思っているとカフェラテが運ばれてくる。心情的に苦いものは飲めそうに無かった。控えめながら甘さが舌を伝わると目が緩む。
店内は乳白色の静かさをたたえていた。目を閉じると遠くで教会の鐘が朝の10時を告げている。サイフォンの音が静かに活動している。頼んだサンドイッチを焼く香りがした。
日曜日の朝は眠りにつく朝だ。
この気配が好きなので、最近は土曜の当直を密かに心待ちにしている。
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