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仮面ライダー電王妄想スペシャル3:ぼくのなまえはやんb…じゃなくて、あれ、なんだっけかな。

こちらのSSは2007年12月27日に某mixiに投稿したものです。

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こちらからお読みください。

仮面ライダー電王妄想スペシャルhttps://note.com/manet26/n/n373539edd601

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「うーそーっ。おぼえてるよ、カイだよ。ひゃは。なー、ユートがー、なんか喋り散らしてったけど、おまえあいつになーに聞いたの?」

「ふーん、おもしろいこと聞くんだねー。・・・あはははは、ばっかみてー。
でーも、アイツひどいよなー、ふたり忘れてるじゃんよ。
そりゃ、チームとして言えば俺たち「ハナ、ユート、カイ」と「ナオミ」と「オーナー」は別なんだろうケド、タイムライナー乗務員としては5人だよな、そー思うだろー?」

「そーですよー、ひどいですよユートさん」

「しっかもデミヒューマンインターフェイスだって、ヒューマノイドじゃダメなのーってカンジだよなー、ナオミちゃん。
ひゅーまんのーおいどがーひゅーまのいどー、あ、イテ。お盆で殴るなよ、痛いから」(筆者注:「おいど」は関西の方言で「お尻」の意)

「あたし知りませーん、殴ってませーん」「ひでーなっ、あはははは。ん?なに?、俺たちが何してるかを具体的におしえてくれだってー?」

「…死にたい?」(超笑顔)

「ふるふるしてますよ、このヒト」

「まーいーよ、一仕事終わって俺ひーまだーしなーっ。ハナー、お前も付き合えー、よおー、おー?」「ハナさん、聞いてませんね」

「あー・・・、俺たちがやってることは、サーバ間のジッタぶれの解消と生体脳へのフィードバックの正常化だってハナシはユートから聞いてんだよな?
判ると思うけど、サーバ間のジッタぶれの解消そのものは別にマスタークロックに合わせて半自動的に調整するだけなんでさほど問題じゃないワケ。大変なのは生体脳へのフィードバックの正常化ってこと、たぶん聞いたと思うんだけど、ちょうどその時間軸でフィードバックのかかっていた個体それぞれの記憶が断続的に途切れたり、つじつまが合わなくなったりするのを解消するんだが、このつじつまを合わせるのが意外にむずかしい。」

「そこでタイムライナーの出番っ!」

「そう、先行してラインの破綻を発見するパスファインダー(偵察者)『ハナ』。
状況を解析してラインを正しい方向に向ける手段を組みたてるスキッパー(誘導者)『ユート』。
それからラインの修復を実施するマネージャー(実務者)『カイ』(筆者注:manageには「どうにか漕ぎつける」の意がある)。
個体のアバターを緊急保護するためのリリーフ(救護者)『ナオミ』。
そして個体へのフィードバック修正そのものを決定したりするコマンダー(指示者)『オーナー』。
結局、俺たちの仕事は崩れた仮想現実空間での歴史の修正なワケだ。」

「そのヒトたちにとっても夢だってコトならイイんデスケドねー、リアルな記憶デスからー」「そうそう、記憶の整合を取るわけデスから力技だけではすまなくてこまごまとしたお仕事が大変なんデスよー?だからナオミちゃん、俺にもう一杯コーヒー」「はーい」

「いい加減なことを言うな、カイ。記憶があいまいになってたりデジャヴを感じたりって体験は意外とみんな持っているものだからな、生体脳はその程度で精神的に不安定になったりはしない」
「あ、ユートさん」
「ひゃは、ナンダヨ、いーじゃんヨ。じゃ、お前が説明スンの?」
「いや、カイがやれよ。俺はさっきの説明でもう疲れた」
「俺だって疲れてるにゃ?」
「……」

「………にゃ?」
「……」

「みたいですよ、カイくん。はい、コーヒーです」

「…あー、貧乏くじ引いたー、ってカンジだなー。ようするにちょっとしたズレであれば、みんななんとなく納得していくから、俺たちはあんまり関わらない。でも、それじゃすまないぐらい大きなズレが生じた場合はそうは行かない。生体脳が与えられた記憶に拒否反応を起こすワケだ。たとえば、今回の個体のケースで言えば、メモリのループが43回記録された後、フィードバックが入力されなくなりその状態が1000時間続いたことになっている。こんなケースは珍しいんだ。やつは同じ1日を44回体験した後、強烈に慣れ親しんだその日が突然全く途切れてしまった。」

「しかも、運の悪いことに、微弱なノイズは断続的にこの脳に入力されていた。これが完全に途切れていたのであればもっと早くセンサーに検知されてアラートが入ったと思うんだが・・・」

「なーユート、あの状況に気がついたってだけで、さすがハナだって、言ってたんだよな」「ああ」

がたん。

「あ、ハナさん」「…今はほっとけ、ナオミ」「そうそう、ハナもいつまでも落ち込んでねーから」「でもでも」「だーいじょーぶだって」

「で、気がついたハナが仮想空間「野上良太郎の記憶」に入り込んでみたら、ヤツは真っ白な砂漠の真ん中で干からびかけて、ぶつぶつ言ってたってワケ。」

「ハナの報告を受けて、俺たちは砂漠になった野上の世界を元の世界に戻すために何をすればいいかを検討を始めた。」

「そうそう、野上良太郎の記憶をチェックして、ループした箇所と途切れたタイミングから今後トラウマになりそうな要因を洗い出していく。やばそうな要素を慎重に削除する作業は結構大手術だけど普段ならばタイミングさえきちんと揃えられればそれで何とかなるはずだった、でも・・・」

(「ぼくの名は・・・良太郎?」(未完)につづく)
https://note.com/manet26/n/n3d0a9f63f7c4/edit

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