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仮面ライダー電王妄想スペシャル4:ぼくの名は・・・良太郎?(未完)

こちらのSSは2008年02月03日に某mixiに投稿したものです。

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こちらからお読みください。

仮面ライダー電王妄想スペシャルhttps://note.com/manet26/n/n373539edd601

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「ちょっとっ、しっかりしなさいっ!」

あたしは野上良太郎(実際のところその存在をこの時点で野上良太郎と呼ぶべきなのかはわからないけれど)を抱き起こした。見渡す限り真っ白な砂漠、まるで貝殻を砕いたような細かな白い砂の真ん中で。

良太郎はうっすらと目を閉じて何かぶつぶつ言っていた。あたしは手もとのエイドパックから水筒を取り出して栓を開けた。そのまま大半が胸にこぼれるのもかまわずに口元に注いでみる。

だめだ、ぜんぜん飲み込めそうもない。というより口が開いてない。
カイあたりなら「ハナでもつまんでやれば息苦しくて口をあけるんじゃないか?」とかいいそうだけど、そうやって口をあけても水を飲み込むんじゃなくてむせるだけだってことぐらいは判る。となると・・・。

「しょうがないよね」
なんだか自分に言い訳をしながらあたしは良太郎のひからびきった唇に自分の唇を押し当てた。そのままゆっくりと彼の唇を湿らせる。多少なり潤いを得た唇の間に舌を押し当てて強引に顎を開かせる。少し開いたところで自分の口を水でよく湿して、少しずつ彼の口腔を舌先で湿らせていく。最後に口移しで水を含ませてやると・・・どうやら多少は飲み込んでいるようだ。よかった。

こういった応急手当の手法はナオミに教わった。当人は全く意識していないと思うのだがあの大きな瞳で見つめられながらマウストゥマウスで水を呑まされるのはちょっとドキドキした。・・・だからってワケじゃないはずなんだけど、なんだか照れるのよね。

そのとき唇を重ねたまま良太郎が目を開けた。あたしはその目をのぞきこみ・・・思いきり彼を突き飛ばした。

「…っきゃああああああああああっ!」

のぞき込んだ瞳に呑まれそうになった。深い深い枯れ井戸のような瞳だった。何も映さない、何も反射していないブラックホールのような穴が彼の両のまぶたの中にあった。

怖かった。本当に怖かった。

張り裂けんばかりに見開いたあたしの瞳から溢れるように涙が流れた。手が、肘が、膝ががくがくと痙攣して上手く動かなかった。悲鳴が止まらない。アタマの中で「なに?、なに?、なに?」と疑問符だけがリフレインする。

気がつくと悲鳴が止まっていた。代わりにひゅうひゅうといやな音を立てて喉が鳴っている。声が出ないぐらいに喉がかれたらしい。

野上良太郎は突き飛ばされたままに倒れている。・・・救助しなきゃ。あたしはそのために存在するんだから。とにかく救助しなきゃ。あたしは二度と彼の目を見ないように気をつけながら彼の体をタイムライナーに運んだ。


++言い訳++
ええと、あんまりにも間が空いているので書きかけだけどとりあえず上げてみます。この項は残り半分を残しており、実際にはその先にもう1話存在して全5話になる予定です。

あ、これ以上エロ描写になったりはしません、残念ながらw

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