闇呼ぶ声のするほうへ(長編小説)【番外編・魔法にかかった傍観者】
闇呼ぶ声のするほうへ
【番外編・魔法にかかった傍観者】
(10300字)
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(2800字)
父は、物語を終わらせないまま、ひとりで逝ってしまった。
父が母と共にはじめた、私……佐倉玲花、という名前の、物語を。
この世界を去る前に、はじめてしまったすべての物語を閉じなければならないのに。
その有名な児童向けファンタジー小説を読み終わった、当時小学生だった私は。
まだそんなふうに、はっきりと言語化することは出来ず、ただモヤモヤとしたなにかを抱えてい