あなたに首ったけ顛末記<その1・はじめまして、首フェチの生き霊です>【小説】
あなたに首ったけ顛末記<その1>
◇◇はじめまして、首フェチの生き霊です◇◇
(5200字)
彼の首に、触れたかった。
ネクタイがほどよく締まったワイシャツのカラーの上の、彼の肌が見える部分。のどぼとけ。あごや耳へつながるライン。うなじの、髪の生え際のところ。
電車で毎朝出会う彼。少し離れた場所から彼の姿をこっそり見るのが、喪女な私のささやかな楽しみだった。理想の体型。マスクで隠れていない目と眉の造作、髪の質感、ヨシ。あとでスケッチに起こすため、彼の姿を目に