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あなたに首ったけ顛末記【長編小説】

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『異能もの現代ファンタジーラブコメ』女子向けライトノベルなお話です。お口に合いそうでしたら、ひと口だけでもいかがでしょうか?note独占配信(笑)&全話無料!不定期更新で連載中で…
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2023年2月の記事一覧

あなたに首ったけ顛末記<その8・天国には酒も二度寝もないらしい>【小説】

あなたに首ったけ顛末記<その8> ◇◇ 天国には酒も二度寝もないらしい ◇◇ (15500字) <1>御崎十緒子は二度寝する・1 (5000字)  トットットッ、トットットッ。  トクトクトク、トクトクトク。    心地のよい、音。  気がついたら聴こえていて、でも飽きずに聴いていられる、このリズム。  その響きが私の体を気持ちよく震わせ、私は、まさに全身でそれを聴いている。  リズムが聴こえてくるそれは、あったかくて、適度な硬さで……この抱き枕、ヤバい。私は目

あなたに首ったけ顛末記<その9・どうしようもないわたしたちが落ちながら歩いている>【小説】

あなたに首ったけ顛末記<その9> ◇◇ どうしようもないわたしたちが落ちながら歩いている ◇◇ (15800字) <1>水野春臣は夜を歩く (4500字) 「ああ、お客様だったんだ……んん、お客様、じゃないのかな?」  カオコおねえちゃん、と十緒子が呼んだその女性は、人指し指を頬に当てながら小首をかしげてみせた。  十緒子とはまったく系統の違う、おっとりとした、だが華やかさを持つ美人。十緒子の姉というからにはいくつか年上なのだろうが、言われなければそうは見えない

あなたに首ったけ顛末記<その10・「逃げちゃダメだ」と云わないで>【小説】

あなたに首ったけ顛末記<その10> ◇◇ 「逃げちゃダメだ」と云わないで ◇◇ (16100字) <1>水野春臣はヘタレることにした (3200字)  十緒子の生き霊が自力で体に戻るのを、ただ見てることしかできなかった、土曜日。 「水野春臣くん、あなた。私の番いに、なりなさい」  マンションの前まで送られ、礼を言ってさっさと車を降りたところで。  車を降りてきた十緒子の姉、御崎華緒子に手を取られ、そんなことを言われた。 「ツガイ?」 「番い。あっ、ハナがいっ