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ラーメン二郎

ラーメン二郎はラーメンではなく「二郎」。

その証拠にラーメンのガイドブックには全くと言っていいほど出てこない。どこの店も常にあんなに行列なのに、「行列のできるラーメン店」として紹介されない。しかしなぜかインスパイア系はガイドブックに載る。これはインスパイア系はやはりラーメンで二郎はラーメンではないからなのか?

三田本店_小ニンニク

さて、

約40年近く前、初めて二郎と出会った高校生の私には、それはそれは衝撃だった。今の場所とは違う三田本店。当時はこの1店舗しかなかった。
吐くかと思った。豚入り?麵増し?アブラ増し? あり得ない。当時所属していた某柔道部の先輩方に連れられ、「3回は我慢してみ」と言われ、なぜそんな苦行をしなければならないのか理解できなかった。
しかし不思議なことに3回我慢した後、腹がすいたときにふと二郎が食いたくなった。ジロリアン誕生の瞬間だった。

目黒_小ニンニクカラメ

一説によると生涯食べられる二郎の数は決まってるらしい。
1人300杯と。それ以上は体が持たないとのこと。
恐らく私は超えている。私の二郎の歴史ももう終わりが近づいているかもしれない。

野猿街道店2_小ニンニク

今の私にとって二郎を食すことは若さの証明みたいなものである。
「まだまだ若いモンにゃ~負けねえぞ」という。
現在52歳。二郎を食べられなくなった時が仕事でもなんでも「一線を退く時」、そんな気がしているので、軽い気持ちで二郎をやめることができない。

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二郎へ行くとなぜか緊張する。
これだけ通っているので量もアブラ加減も知っている、にもかかわらず。
「食べきれなかったらどうしよう」と言う恐怖。他の店では何てことないのに、二郎では大罪のような気さえする。チャーシューを汁に沈めて何食わぬ顔で出て行ったこともある。

野猿街道店2_小ニンニク (6)

たまにサービスと称して1/4本ほどの極厚豚を入れてくれることがある。こと二郎に関してだけは麺や豚、ヤサイの大盛りサービスはサービスに非ず、ただのイヤガラセに感じる。

野猿街道店2_プチニンニク

ジロリアンは各々、食べ方にも拘りのある人も多いのではないだろうか。
私は天地返しをしない。
せっかく脂のついていないヤサイを脂まみれにしたくない。脂ぎった麺をすすり、さっぱりヤサイを食す、このローテーションが最高だと思っている。

桜台駅前_小野菜少し増ニンニクブラ

ある時、残ったスープに割り箸を突っ込み、グルグル回してみた。箸の先に白い脂がまとわりついた。面白くなって先の白いその箸をコップに残った水で冷やし、またスープの中でかき回した。これを繰り返したらなんとワタアメのように箸の先におおきな白い塊ができた、もちろん脂の。
その経験から食べ始めたら一気に食す。途中で水は取らない。
取ると食べた脂がお腹の中で固形化し急に腹が張るような気がするからだ。

野猿街道店2_つけ麺和風ニンニク

何度食べても必ず腹を下す。
翌日は丸一日何も食べなくても平気。

野猿街道店2_小ニンニク辛いヤツ

二郎には何か特別なものがある。
ジロリアンは語りだすと止まらない。
ここに記したエピソードなどは、そのほんの一端である。
各々が特別な何かを感じ、こだわりを持って二郎をとらえているからであると思われる。

ロット崩しとか、呪文の決め事とか、初めての人にはハードルが高いように感じられている輩も多いようだが、本当はそんなことはどうでもいい事である。美味しく食べれる量を注文し、トッピングを自分の言葉で分かるように伝えればいい。どこか「二郎」というブランドが独り歩きし、神格化され本来オヤジが意図していないことが起こっている場合がある。

山田拓美

総帥こと山田氏はただ単純にお客さんに喜んでもらいたいだけである。


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