Avalon~bitter~幸福を望む百合アンソロジー

発刊前から話題になっていたのと、この表紙絵の美しさに絶対読むぞと意気込んでいたところ、百合ゲー愛好会主催の担当K氏より「いいですよ♡」と貸して頂いた。

そして、間違いなく「いい♡」ものでした。

bitterが副題にこびりついてくるだけあって、人間のエゴや女の毒、そういうものがどのストーリーにもテーマとなり、まるで苦い百合の箱詰めチョコレートのような一冊となっていた。

鳩尾を殴られるような感覚で読み進めて、これも彼女らが幸せなのならば……と、読んでるこちらが身を引くような思いをさせられる。
そのくらい、主人公たちを、あっという間に大好きになってしまうのだ。

そんな彼女たちは、弱いくせに、しぶといし、バカなんだけど強くて、愛さずにはいられない。

表紙から始まり、イラストを経て、一作、一作物語を見届けていくうちにそんな思いに胸熱くなる。

「幸福を望む」というのは、そんなにもいけないことなんだろうか。そんな罪だろうか。恋をしてるだけなのにね。そんなみんなが汚くて健気。

ダークな百合に浸りたいときに読みたくなる一冊でした。
苦かった。ごちそうさまでした。