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アタシのセンパイ しおやてるこ

百合文壇バーでとある方が「今年の一冊」で選んで紹介された本なのですが、これは久々に自分の中で沢山の発掘をしてくれた物語でした。
さすが今年の一冊。すごかった!!

「綺麗な百合なんてありはしない」という帯にドキリとして手に取る方も多かったのではないでしょうか。

あらすじ
高校1年生の少女・塚本と、塚本の“センパイ”岡崎の関係を描く百合作品。岡崎がイジメにあっているところを偶然目撃した塚本は、彼女が持つ妖艶で儚い美しさに惹かれていく。急接近する塚本と岡崎。だが岡崎には、塚本が思いもよらぬ秘密があって……。アワーズGHで連載された。

私が百合においての身体同士でのコミュニケーションについて、もちろん素敵だなと思う反面、いまいち実感が伴っていなかったのですが、この作品で腑に落ちた。ストン、と。

恋をすることは、自分の何かが狂うということで、自分を差し出してでも相手への思いに足りなくて、でも他にどう表現していいかわからないから、もう、こうするしかないんだなって。

しかも、これが初恋なのだから塚本もなかなかの恋の才能の持ち主なのであるな(ツメを立てるのはキスの合図ってくだりも、二人の幸せっぷりが一発でわかって、こういうの大っっ好き)。

 読者がキョトンとするほど憑き物が落ちたように変化する岡崎先輩だが、これも女子あるあるのような気がする。
あの岡崎先輩の「……嘘です」に、救いも絶望もごちゃ混ぜになったあの表情にみんなは何を見たんだろうか。

私は、岡崎先輩の自尊心を見た気がする。
やっと、あの時自分のことを心から恥じることができたんじゃないだろうか。
人が二人居る時、相手は自分の鏡だ。
まっすぐな塚本に映ったひどい自分にやっと気がついた瞬間だったんじゃないかな。

もう、岡崎先輩は大丈夫だと思う。
むしろ私は、才能に開眼した塚本の行く末が心配である。

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