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『medium 霊媒探偵城塚翡翠』

「このミス2020」国内編第一位な相沢沙呼著『medium 霊媒探偵城塚翡翠』読了。
推理作家と霊媒師の男女バディがシリアルキラーを追い詰めるミステリー。各章が最後へ繋がる展開になるが、これは二年前の一位『屍人荘の殺人』同様にものすごく映像向きだと思う。
ただ、各章が最後に繋がっていくし、帯にも「すべてが、伏線」とあるように、全部を二時間とかでは難しいだろうから何話かのドラマのほうが向いてそう。ネトフリとか深夜枠のドラマとか。さすがにもう動いてると思うけど。

霊媒師・城塚翡翠(瞳が翡翠色のクォーターを思わせる二十歳ぐらいの美少女)役が中条あやみだとまんまな感じだからまだ年齢的には若いけど中島セナとか、『装苑』とかでモデルとかしてそうな感じの人なのかなあ。
推理作家・香月史郎は三十代前半ぐらいだろうけど、どこか爬虫類系の男前な感じ、綾野剛とかより若い感じだと笠松将とかなんじゃないかなあ、と勝手に脳内キャスティングしていた。
野木亜紀子脚本『アンナチュラル』的なものにも通じてるから、野木さん脚本だったらすごくよさげ。

仲俣さんに「monokaki」の連載『平成小説クロニクル』で「平成」という時代はミステリーが隆盛して、いろんなジャンルを飲み込んでいったということを書いてもらった。そのことが脳裏に残っていて、『屍人荘の殺人』は「平成」とグローバル化の終わりと新自由主義の成れの果てをミステリーでリミックスしたように解釈できると思っている。
この『medium 霊媒探偵城塚翡翠』って「平成」の終わりと「令和」の始まりを含むこの数年のデジタルネイチャー(落合陽一さんがいうところの「魔法の世紀」の魔法の革新と功罪)的なものをミステリーにしてる感じが最後まで読むと少し感じた。

あと僕ぐらいの世代、その上にはこの小説を読み終わると1995年にフジテレビで放映されたあのドラマを思い浮かべると思う。

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