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『ワンダーウォール 劇場版』

6月20日
起きてから歩いて渋谷に行ってシネクイントでNHKで以前に放送されたドラマ『ワンダーウォール』の劇場版を鑑賞。
京都を舞台に一世紀近く存続している学生の自治によって運営されている近衛寮という場所を舞台に、その存続を学生側と大学側が意見を戦わせていたが、という内容。
学生と大学の学生課に区切られた壁ができる。対応する学生課の人も派遣社員になっている。彼らの怒りや願いはそうやって、ワンクッションを挟み、自分たちと変わらない人たちが生活のために働いている、そんな現実と向き合うことでどこか無力感敗北感を覚えてしまう。

大学(権力)は自ら手を下さずに壁を作り断絶を広げていく。寮をなくしたい理由も大学側も自らの存続のための理由があった。
人々の生活自体が市場主義やその構造の中で営まれながら、見えない壁がどんどんできている。答えが出るというよりも考えること、観客に問いを投げつけてくれるという意味でとてもいい作品だと思うし、ドラマ版放映時よりも今の方がよりリアルに、身近に感じる作品になっていると思う。
それぞれの生活の中にあるもの、そこには社会の仕組みや構造がどうしても浮かんでくる。この作品では大学という組織も当たり前だが社会であり、学生と大学の衝突ややがて会話すらしないように大学がなっていくのも現状の政治や社会そのものに見えてくる。いや、そういう流れはだいぶ前からあったのだとも思うのだけど。
1時間少しの作品だが、ほんとうに素晴らしい作品なのでぜひ劇場で観てほしい作品。渡辺あやさん脚本好きは劇場でぜひ。

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