再配置軒

人類は、その成長が行き詰まりつつある昨今。世界全域での人口減少が明確にあらわれてきた。人口が過疎状態になる地域においては、多様の人同士の接触雨が減少してしまうため、一層の人口減少に拍車をかけてしまう。
各国は、共同でこの状況を打開するための研究機関を設立した。研究機関においては、人口減少に歯止めをかける方法を模索する機関であると同時に各国での方策の実行権限を有していた。つまり、国際機関における実働部隊ということになる。
ここで起案され、実現した方法で、世界的に大きな成果を残したものがある。それが再配置軒だ。各国それぞれ、広い土地を有しているが、人の住める居住可能な範囲は限定されている。人類の黎明期から生活に重要であるコミュニティを築くために、一つの地域に多くの人間が集まっていた。そして、首都の存在が生まれると、必然的に人々は首都へ集中し、人類の反映より個人の嗜好性を実現するために奔走した。その結果、過疎地域が生まれ、廃村や統廃合、インフラの維持が困難になってきた。
再配置軒を実施するにあたって、各国のほとんどの人間が否定的立場を示したが、この国際機関の実行力は、ある程度の否定意見や活動はものともしない。
国際機関がまず最初に実施したのは、居住可能地域の選出だ。国として、一定間隔に居住地等がなければ、国力や防衛面でも大きな課題となってしまう。そのため、各国の地理に長けた研究者等を招聘し議論に踏まえた。
日本でのこの実施は、困難を極めた。海に囲われている国であるため、国防の麺では、居住地が日本の周囲を一周するような配置が必要だったからだ。さらに、北海道では、内陸部に居住地を確保しなければならないが、局地であるため、教授うちとしての最適箇所の選定には時間を要した。
村や町に該当する自治区はすべて廃止し、住居もすべて取り壊しとなった。該当地域に居住していた住民は強制的に最短となる都心部へと移住が行われた。この取り壊しには意味があり、町村などで教授うちではなくなった地域に関しては、大規模な酪農や農作施設を建造した。都心部に人口を集中させる代わりに、効率的に食料確保ができる環境も同時に整えたのだ。
結果的に北海道は、すべての居住地を四箇所に集中させ、東北では三箇所に、関東および北陸では五箇所に、関西は三箇所に、中国は三箇所に、四国は三箇所に、九州は五箇所に、沖縄は現状維持となった。それぞれの主要地にのみ人口を集中させ、それ以外の場所では産業または宿舎のようなもののみとなった。居住地の集中化から全体のインフラ等にかかるコストも大幅に削減できた。また居住地の集中化と語っても、定めた範囲内において、住宅等の間隔を50km以下とするという制約も含まれているため、過去の首都中心部のような過密さはない。このことから、都道府県も大きく数を減らすこととなった。統合のために新たな名称へと変わる地域も、名前自体の存在が消失する地域もあった。
将来的に財政破綻となり荒廃していく土地を残すより、事前に手を打つことができたため、全国的な金銭面や税収についての再整理ができたことが多かった。また、日本では、観光資源の確保のため、温泉街などは地熱発電できない現状が続いていたが、住民の退去を促した地域では、地熱発電に取り組むことができた。歴史的に重要であり、観光地としての価値が見込まれる場合は、温泉街として維持し続けたが、手付かずであった地域もあったため、効率的なエネルギー確保に寄与した。
このように国際機関による強制力を持った、実施があったが、すべての面において、完璧な自治体編成へと生まれ変わった。暮らす人々からは、批判も拒否も相手を拒むすべての表現が行われたように思えるが、国民が半減すると言われた今日、この政策によってまだ国民は当時から半減していない。

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