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アーサー王伝説

ファンタジーなゲームやマンガの題材に使われていたり、アニメなどにもなっているので名前くらいは聞いたことがある方も多いでしょう。
でも、名前くらいしか知らない、という方がほとんどだと思います。

そこで、今回はアーサー王伝説について解説したいと思います。

そもそもは、実在の人物ではありません。
歴史の中で、本物の「アーサー王の功績」があるわけではありません。
伝説が様々な形で広がり、人気を得て更に話しが広がっていったもの。

文字通り、諸説あります。
登場人物の名前や活躍の内容が違うものがあっても、気にしないように。
どれが正解とかはないです。

有名なのはエクスカリバーという剣や、アーサーに仕える騎士たちが就いたという円卓、魔法使いのマーリン、アヴァロンという伝説の島、騎士と姫たちの恋物語、などでしょうか。

まず、実際の舞台は5~6世紀頃のイギリスです。
お話しのイメージによってはもう少し後の時代のイメージもあるかもしれませんが、元々はこの時代です。
ローマ帝国がやって来たあとで撤退してしまった辺りの時代。
歴史の授業で「ハドリアヌスの長城」というのを習った覚えはありませんか?
なければ「ローマ帝国って今のイギリスまで領土を広げていたんだ」くらいの認識で大丈夫。
ローマの影響が残っていてキリスト教も広まってきているけど元々の信仰もまだ健在。そんな時代の物語です。
イギリスは一つの国に統一されておらず、色々な国が存在しています。

まず、魔法使いの「マーリン」という人物が最重要人物として出てきます。
アーサーの父の代から色々と関わる、謎の人物です。
魔物の血を引くとも言われ、魔法や予言の力を使って物語に関わってきます。
アーサーの出生も、彼が関わっています。


アーサーの父、ユーサー・ペンドラゴンが恋したのは敵国の王妃・イグレイン。
何とかモノにしたいとマーリンに頼み、彼女の夫・ゴルロイスに化けて城に入り込み一晩を共にします。
本物のゴルロイスは戦に出ていて戦死。
イグレインは彼が戦から戻って来たと思って迎え入れたのです。

この一晩で身籠ったイグレインは後にアーサーを産み、マーリンの手でエクター卿という人物に預けられ、そこの息子・ケイと兄弟として育てられます。
一応、イグレインが身籠った時間にはゴルロイスは戦死していたので、道徳的にはOKだそうだそうです。

何も知らずに育ったアーサーですが、実父であるユーサー王が亡くなった時にその後継を決める場で石に刺さった剣を抜いて、王としての証しを立てます。
このシーンは、有名ですね。
この剣がエクスカリバーだと思われている事も多いですが、これは違います。
エクスカリバーはこの後で出て来る別の剣です。
とにかく、アーサーは自分の出生を知り王位に就くのですが、そこでめでたしではありません。
いきなり出てきたアーサーの即位を認めない連中との戦になります。
その中で、マーリンの導きにより新たに授かったのが有名な「エクスカリバー」という剣です。
湖から女性の手が出ていて剣を持っているのは、こちらです。

沢山のエピソードがありますが子供用にまとめられたものだと、色々と変えてあったり省略しているエピソードが多いです。
そもそものアーサーの誕生からして、子供には言えませんよね。
他にも子供には話せない内容のオンパレードでストーリーが展開していきます。

アーサーはそうとは知らずに自分の異父姉モルゴースとの間に男児を作り、その子モルドレットがアーサーに破滅をもたらします。

円卓の騎士の一人で美形で有名な「湖のランスロット」は、アーサーの妻グィネヴィアと不倫関係になります。
これじゃいかん、とランスロットはグィネヴィアから離れて旅に出ます。
旅先でエレインという姫君に求婚されますが、彼はこれを拒否。
失恋の痛みで死んでしまったその姫君の亡骸は遺言により舟で川に流されて、アーサー王の都・キャメロットへと流れつくのです。
「赤毛のアン」でアンがお姫様の真似をして本当に川に流されかけたエピソードがありますが、アンが真似したのがこの姫君です。
そんな事は何も知らずに旅を続けたランスロットは、こちらもエレインという名前の別の姫君に迫られて男児を儲けます。
魔法で騙されて、愛しのグィネヴィア姫が現れたと思って一夜を共にしたのです。
この息子ガラハッドはのちに円卓の騎士となり聖杯探求の旅に出ます。

円卓の騎士たちに「聖杯探求の旅」が求められますが、実際に聖杯を目にすることが出来たのはこのガラハッドの他数名だけっだたとされています。

あと有名なのは、トリスタンという騎士が叔父の花嫁を迎えに行ったはずがその女性イゾルデと恋に落ちてしまう話しがあります。
こちらはワーグナーのオペラ「トリスタンとイゾルデ」として有名ですね。

他にも、アーサーはローマまで進軍して皇帝の地位についた、との話しも伝わっています。

一旦は距離を置いたランスロットとグィネヴィアですがよりを戻してしまい、周囲にバレてしまいます。
不義の罪でグィネヴィアは火あぶりとなるので、救出しようとするランスロットと戦いになります。
ランスロットはそれでもアーサー王のことは尊敬しているので殺そうとはしないのですが、それぞれの味方に付く騎士たちを巻き込み、戦争になります。
でも、そこでアーサーとモルゴースとの間に産まれたモルドレットが反乱を起こします。

激しい戦いの末に両軍はほとんど倒れ、最後はアーサーがモルドレッドを倒し、自分もひん死の怪我を負います。
そこでアーサーは他の騎士に命じてエクスカリバーを湖に返し、もう一人の異父姉モルガン・ル・フェに連れられて船でアヴァロンへと向かうのでした。
アーサー王の実在を信じる人は、彼は今でもアヴァロンにいてイギリスの危機には戻ってくる、という伝説もあります。

名前が有名な割には日本では詳しくは知られておらず、詳しい資料も集めにくいかと思います。
興味を持っていただけたら、手に入る本を読んでください。
複数の本を読んで内容や人名が違っても気にしないでください。
諸説あり、なので細かいことは気にしない事です。

でも、そこが気になる、というアナタは立派なオタク。
解説本を探して読み漁るか、原典に手を伸ばしてみてください。



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