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「宿をやる」ということと、「友人をつくる」ということが同義かもしれない件

真鶴出版にとって宿をやるということは、
普通の旅館やホテルとはちょっと違う。

まず、限りなく暮らしに近いこと。

真鶴出版はもともと、
ヨーロッパをAirbnbで一周した経験をもとに、
自宅兼宿泊施設として始まった。

真鶴出版1号店の客室。 photo by MOTOKO

当時はホームステイに近いかたちで泊めていて、
一緒に夕飯や朝食を食べたりもした。

当時一緒に食べていた朝ごはん。

友人が自分のまちに来るから、
自分の家の一部屋に泊める。
それとほとんど同じ感覚だ。

友人が自分のまちに来るなら、
まちのおすすめの場所や食べ物を紹介するのは当然だ。
一緒に歩いてまちを案内することもあるだろう。

友人に友人を紹介する感覚で、
ゲストにまちの人を紹介していった。

始めた当初は、外国人ゲストが9割を占めていた。

しばらくするうちに、
(もちろん自分の家に泊めてもいいのだけど、)
もっと友人が気兼ねなく、快適に過ごせるには?
ということを考え始めた。

そうやって生まれた真鶴出版2号店だから、
今でも感覚は、友人を自分の家に泊めるのに近い。


「お客さま」としてゲストに接するのではなく、
「友人」として接する。
そこに主従関係はなく、あくまでフラットな関係だ。

だから宿を始めてから、全国各地に友達ができた。
ゲストに会いに旅行に行ったりもするし、
ときには一緒に仕事をしたりもする。
災害が起きると、「あの人は大丈夫かな」と心配したりする。

真鶴出版2号店という場所ができて、
展示やフェアもできるようになったけど、
そのときも感覚は一緒だ。

友人の素晴らしい作品を、
友人に知ってもらいたい。
そんなシンプルな思いで運営している。
それは真鶴出版の出版物も同じだ。

先日刊行した雑誌『日常』第2号の「民藝とまちやど」の中で、
工藝風向の高木さんが、
柳宗悦たちが友人を増やすような感覚で
各地に民藝の仲間を増やしていったという話が出てくる。

ヒエラルキーや資本に打ち勝つものは、
もしかしたら友人なのかもしれない。

雑誌『日常』第2号

さて、ではどうやったら友人(になりえる人たち)が
泊まりにやってくるのか?

7年宿を運営してきてぼんやりと分かってきたことは、
「入口を狭める」ことだ。
安さをPRするのではなく、バズを狙うでもない。

まだまだ模索しながらだけど、
今週末からSPBSで始まる「小さな宿のつくりかた」講座では、
そんなことを一緒に考えていけたらと思う。

暮らすように宿をやり、
友人を増やしていきたい方。

もしかしたら、これから宿を始める人だけでなく、
今宿をやっている人も楽しめるかもしれない。
(宿でたくさん儲けてやろう、
という人には向かないかもしれません笑。)

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