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研究会#12 色彩・色彩盛花(小原流 准教授)

花型: 色彩・色彩⇒盛花傾斜型 = 枝・花・葉の傾斜する美しさを表現する。
花材: 栗、鶏頭(3)
花器: 丸水盤
〈結果〉95点

□当日の花の状態と意識したこと

▷栗
・葉は全体的に大ぶりかつ量が多く、ほとんどが虫食いの葉で、実は大きいものが1本の枝に2つ、他
は小ぶりな実だった。
 ⇒枝の太さや葉のつき方から主枝にふさわしそうな枝に大きな実がついていたが、他の枝振りに比べて枝の太さも実の大きさも二回り以上も強さがあったので残りの枝とのバランスを考え、主枝にすることはやめた。(4・5本目にして低く使うことも考えたが結局使わなかった。)
・葉は虫食いの葉が多く、綺麗に1枚残っているような葉はなかった。

▷鶏頭
・どれも花が大きく、葉のつき具合もいきいきとしていた。
→選んだ栗に比べて鶏頭の方が強かったため、客枝は気持ち短めにし、中間高として高めに上げる鶏頭も短めにした。客枝の下にくる鶏頭は客枝と同じくらいの大きさだったので、どちらが役枝かわからなくならないよう花首1.5〜2つ分短くした。

□今回のお題で意識したこと(お稽古での学び)

・栗は大きめの枝・小さめの枝の2本が手元に来るので、一番初めにそこから主枝・副枝・中間高となる枝を選ぶ。
・栗の枝を選ぶ際は先の葉がそれぞれの役枝の流れの先を向いているものを選べると良い。好ましくない葉が先に来ている場合は実の位置の兼ね合いを見つつ、枝を切り、先端の葉を調整する。
・栗の枝は葉を間引く。下を向いている葉を中心に落とし、葉が重なり合ってる部分はどちらかを除き、どちらかを残す。
・栗の実もバランスに応じて各枝に1〜2個にする。
・鶏頭の葉は重なって生えているものなので重なっている葉を中心に間引く。
・栗が重く剣山が傾いてしまう場合はいけている間は他の剣山で押さえ、いけ終わった後にも傾きがなおらないときは太めの枝を重りとして足元に挿すのも良い。
・主枝は器の直径×1.5倍の長さにし、挿した時に直径+深さ分の強さになるよう調整する。45°開き、70°傾ける。
・副枝は主枝の1/2の長さ(強さ)、後ろ倒し気味に挿し、主枝の先端と挿し位置の丁度真ん中くらいに副枝の先端がくると良い。
・中間高の栗は主枝と同じ長さにして主枝よりも強さが出なければそれで良い。(枝が主枝と同じなど強さが主枝と同等になる場合は短くして力のバランスを整える。)この場合は高く上げて鶏頭側に懐を作る。懐を作りにくい枝の場合は主枝が起き上がったように立てる。
・中間高の栗が役枝よりも強くなる場合は鶏頭を高めの中間高にし、栗は低めにとる。(主枝の花材ではなく客枝の花材を高めにするのは関西風。)
・お稽古の際は本来主枝とする枝が他の役枝・中間高となる栗よりもとびきり強さのある枝だったので、バランスを優先して太めの枝は主枝として使わず、低めの中間高として使った。
・栗の中間高で懐を作った場合は栗の先端が主枝と花器の重なる点の真上に来るようにする。
・客枝の鶏頭は主枝の1/2の長さ、30°開き、50°傾ける。角度の正確さよりも主枝と比べて狭く開き、倒れすぎていないことを明確にすることが大事。
・鶏頭の2本目は客枝と花首1つ分短く、客枝の下に挿れる。高めの鶏頭の真下よりは栗寄りに振り、一直線にならないようにする。
・鶏頭の3本目は、栗とのバランス、他2本の鶏頭とのバランスを見ながら高く挿れる。鶏頭で作られる三角形を意識し、三角形の点が離れすぎず、点を結んだ線が垂直にならないように気をつける。
・4本目の栗は手前足元に短く入れ、剣山が隠れるように挿れる。この時、客枝よりも前に出ないように留意する。葉がだらんと下に垂れ下がるものは選ばない。
・5本目の栗は主枝と副枝の間にいれ、隙間を埋めるようにする。この時主枝・副枝と高さが一律になってしまわないように気をつける。丁度よい実がある場合は実を、ない場合はきれいな葉を挿れる。(最初に枝を剪定する際に綺麗な葉を残しておく。)
・栗は身の位置が上下バラバラに位置させ、バランスが一定にならないようにする。

□研究会で学んだこと(准教授講習会での学び)

今回は准教授になって初めての研究会だったので、講評は聞けず、代わりに今回のお題を目の前で解説をしながらいけていただきました。
・使用する剣山は長方形を1つと花の量に合わせて銀杏型もしくは長方形を使用する。剣山の置き方を工夫することで少なめの花材でも足元の寂しさが紛れる。
・枝物は木肌(枝の強さ)を見せたいので、実だけになってもよいという思いで綺麗ではない葉を取る。
 →枝の半分より下の葉は有無を言わず取ってよい。下向きの葉も何も考えず取ってよい。剣山が見えすぎて寂しいところには最後に葉を入れればよい。近くに同じ向きにある葉は繰り返しになるので取ってよい。
・実に被る葉は取る。
・主枝の長さを取る際、先の葉はカウントせず、枝の長さをみる。
・主枝を取った枝の脇枝から副枝を選べると自然でよい。
・副枝は倒しすぎなくらい寝かせ、主枝の奥に顔を見せる感じで後ろに引くと良い。
・中間枝となる栗は細く高く立ち上がる様が綺麗な枝を選ぶ。
・中間枝となる栗は副枝の斜め左前に前傾気味で挿す。
・主枝・副枝を結ぶ栗が1番短くなる。
・実の数は5つもしくは7つ。奇数がよいが8つが上限のよう。
・鶏頭の選び方は大きい順に、1番低め、客枝、高めの中間高にする。(大きさにさほど差がない場合は消去法でよい。)
・鶏頭の向きは難しいが、縦長の丸ではなく横長の丸のイメージの向きに捉える。
・1番低めの鶏頭は大きいほどぐっと低くいける。
→大きめの花を低めに挿れることによって根締まりよくなる。
・高めの鶏頭は中間高の栗の右斜め前からいける。(副枝寄りぎみということ。)
・最後に剣山が見えすぎて寂しいところには綺麗な大きめの葉を足す。主枝付近に挿す枝は主枝の脇枝というイメージ、主枝•副枝間の枝は主枝と副枝を結ぶイメージである。
・いけばなは季節を先取りするイメージなので、9月の栗の葉を大胆にとることは問題ない。虫食いを利用して余計な葉を半分残すのもよい。
・最後に全体に霧を吹き、いきいきとした様を表現する。

□今回の研究会の感想

准教授になって初めての研究会だったので、連続95点の目標もありつつ、新参者として基本に忠実にいけようという想いで臨んだ。栗の枝取りや葉の剪定に時間を取られ、いつもよりも楽しめず、あっという間に時間が来てしまったので準優秀花でなくても仕方ないな...という気持ちで終わってしまった。
准教授講習会があったため、いつも通り講評を聞くことはできなかったが、支部長先生からのご挨拶や諸岡先生から研究会当日の花材でデモンストレーションを見せていただくことができた。普段ワンツーマンのお稽古なので、他の方がいける様子を間近に見ることがなかなかなく、今回は先生が同じ花材を目の前でいける様子を見られて本当に勉強になった。お稽古で先生から学んだこととはまた違った学びがあり、まだまだ自分が教えることは想像できないけれど気持ちをまた改め、お花を楽しんでいけていきたいとおもう。
まさか准教授に上がるまで続けられるとは思っておらず、毎週毎週夜遅い時間に生け方だけではなくお花の楽しさを教えてくれる先生、そして小原流を学ぶきっかけをくれた母に改めて感謝です。

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