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息子と夫の伊豆旅行

数週間前に、夫が言った。
「キャンプ行ってきていい?」
「いいよ」
「息子と一緒なんだけど大丈夫かな?」
11月4日にキャンプに行こうと、ラインのグループで盛り上がっているらしい。全員、大学からの友達で、息子もつれていっていいかと聞くと快く承諾してくれたそうである。
「全員男性なのでママはちょっと無理なんだけど」
「ほーん?」
というわけで、息子と夫のキャンプ旅行が実現した。

息子はブリッピーというユーチューバーが好きでよく見ている。その中で、ブリッピーがキャンプ場へ行き、テントを建てて火を起こし、マシュマロを焼く、というのがあった。だから息子にとってキャンプとは、テントと焚き火とマシュマロだ。
「マシュマロを焼くの」
と、息子の手のひらほどもあるマシュマロをスーパーで見つけ、お願い、とねだる息子を何度断ったかわからない。しょんぼりとしながら、「保育園の他の子は行ったんだって」という。家には車がなく、私は虫が嫌いだし、キャンプに行くのはハードルが高かった。

キャンプまでに寝袋を用意したり、マシュマロをかったり、テントや新幹線の手配をしたり、夫は張り切っていた。ついに昨日、夫と息子は大荷物で静岡へ行った。昨日である。3日だ。キャンプは、4日だ。

日付を間違えたとの連絡が入ったのは出掛けてから1、2時間経った後だった。

「富士急が近かったよね?行っちゃえば?」
日付を間違えるというかなり大きめのアクシデントではあるが、夫は大体いつも運が良い。3連休初日なのに駅前で温泉付きの宿の空きを見つけ予約すると、富士急ハイランド行きのバスが1時間後に運良く空いていた。ささっとホテルに荷物を預けてバスに乗って富士急ハイランドへ行った。息子はバスだと酔ってしまうことが多いのだが、朝からの移動で疲れていたのかバスでぐっすり寝ていたらしい。

13時ごろに到着し、トーマスランドを目指す。
「ずーっとずーーっと、トーマスランドに来たかったんだよ!」
息子は終始興奮しっぱなしだったそうだ。トーマスの形のカステラを食べ終わってから、私にテレビ電話を繋いでくれた。
「キャンプはー?」
とわざとらしく聞く私に、息子はうしししっと笑って
「今日はきゅうきょトーマスランドなの!」
と笑顔で答えてくれた。
「キャンプは明日なの!これはカステラの入ってた箱だよ。ママも食べたい?」
「一個ちょうだい!」
「あーさっき全部食べちゃったあ」

17時にトーマスランドが閉まって、バスに乗ると、すぐにすやすや寝たらしい。1時間ほどで起きて、ぐずることもなくホテルへ行き、温泉でさっぱりしたそうだ。数時間ごとに送られてくる写真に、いちいち顔がゆるくなった。

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