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知ってますか?結婚は、「入籍」ではありません。

昨日は、6月6日。6が三つ並んだ、ゾロ目の日でした。
こんな日には、昔の仕事を思い出してしまいます。

私は独身時代、とある役所で臨時職員の経験があります。
住民票異動や印鑑登録、そして戸籍事務に従事していました。

いちばん市民の方々とお会いする、また一般市民の方々が思い浮かべる「The役所」の部署ですね。

お客様として来庁した同級生にも再会、なんてこともたまにありました

その中でも、印象に残っているのは戸籍の受付業務でした。

戸籍といっても、出生・死亡・婚姻・離婚…等書類は様々です。

今回お話しするのは、

婚姻届

についてです。

皆さん、婚姻届はそれぞれのこだわりの日に提出されることが殆どです。

・どちらかの誕生日

・お付き合いを開始した日

・大安吉日

・バレンタイン

・七夕・いい夫婦の日

・クリスマスイブとクリスマス

・昨日のようなゾロ目の日。

断トツで多かったのは、クリスマスイブとクリスマスの2日間でした。

もう見事なくらい、

婚姻・婚姻また婚姻届の嵐

とても目まぐるしかったのを覚えています。

逆に、イブに離婚届を出しにいらした方もいましたね。

どうしてもこの日に関係を清算したかったのかな?と、
強い意志のようなものを感じました。

提出する側からすれば、忘れない良き日に出したいもの。

大体、皆さん考えることは同じです。

ですから、同じ日に沢山の婚姻届が出されます。

提出時間にまでこだわって、〇〇時ぴったりに出す方もいます。
でも、戸籍には受理時間は記載されません。

それでも、本人たちが満足していればそれでいいと思います。

婚姻届そのものに、何時何分受理と記載はしていました。
しかし、提出された届書原本はもう返却されません。

ちなみに、よく芸能人が婚姻届を出した時のコメントとして、「入籍した」という表現を使っていますね。

これ、実は間違いなのです!

正確なことを申しますと、入籍した=婚姻届を出した(法律的に結婚した状態になった)ではありません。

私が戸籍の担当をしていた中で、受付をした最も一般的な「入籍した」パターンというのは、

・夫婦が離婚

・元妻が元夫の戸籍を抜けて、元妻単独の離婚後の戸籍を作成

・家庭裁判所の許可を貰って、元夫の戸籍から子供を抜く

・入籍届に記載をし、元妻の離婚後の戸籍に子供の名前が載る

でした。

そう、実は

入籍届という、婚姻届とは全く別の書類が存在するんです。

皮肉なことに、離婚届提出後(に行われることが殆ど)の行為なのです。

それが、世間一般的には「入籍=法律婚成立」と正反対のこととして定着しているんですよね。

現在の戸籍は、両親と未婚の子供の記載で構成されています。

婚姻届を提出する=二人で新しい戸籍を作ることです。

ですから、籍を親の戸籍から抜いて新しい戸籍に入れる、と思えば意味的には遠くないのでしょうか?

一般的には、そのようなことは知らない方が圧倒的に多いでしょう。

私も部署に配置された当初は、「戸籍?本籍地?何それ?」状態でした。

ちなみに、本籍地は戸籍を登録してある場所のことです。

住所と同じ方や、別々の方もいます。

ディズニーランドや皇居に登録してる方もいるそうですね。

戸籍は、人の一生が凝縮された重要書類です。

たった数行ですが、これ以上ない個人情報が載っています。

婚姻に限らず、出生や死亡、養子縁組や帰化など、様々な人の重要な節目に出会えました。

ありきたりな言葉で申し訳ないのですが、本当に人生色々です。

人の数だけドラマがあると、市民の方々との出会いを通じて思いました。

出生届もそうですが、婚姻届提出も人生最高の幸福の瞬間の一つです。

書類提出は、不備がなければあっという間に受理されます。

結婚した実感は、おそらく得られないでしょう。

でも、そこからが長い旅路の始まりです。
現実が続いていきます。

昨日婚姻届を出された新婚夫婦の皆様、どうぞ末永くお幸せに

そして、そんな瞬間に立ち会った窓口業務の皆様、どうもお疲れさまでした

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