見出し画像

「ウィズコロナ時代のHAPPINESS」学びと気づき

2020年5月5日、「ウィズコロナ時代のHAPPINESS」というイベントがZOOM上で開催された。主催は、島田由香さんが代表を務めているYeeY。島田さんのパワフルな発信には何度も刺激を受けてきた私だけれど、YeeYのイベントに参加するのは初めてだった。今回のイベントは、島田由香さん、矢澤祐史さん、伊藤洋一さんに加え、ウェルビーイング研究の第一人者の一人と言われているタル・ベン・シャハー博士が登壇。「ウィズコロナ時代のHAPPINESS」をテーマに、前半は島田さん・矢澤さん・伊藤さんによるパネルディスカッション、後半はタル博士による講演という構成で行われた。

正直、イベントに参加するまでは「ウィズコロナ時代の」という部分はあまり意識していなかった。ソーシャルディスタンスやステイホームを強いられてはいるけれど、それは生きるために必要なことだと割り切れていると自分の中では思っていたから。

でも、実際に参加してみて、無意識のうちに強がっていた自分に気づいた。というか、気づき続けないといけないくらい、私たちは大きな変化の中に生きているんだと思い知らされた。

イベントの内容とともに、学びと気づきをシェアしたいと思う。

そもそも、HAPINESSとは?

今回のイベントのテーマ、HAPINESS。私はこれまでもなんとなく使ってきた言葉だったので、今さら定義を気にしたこともなかった。が、ポジティブ心理学の世界では「Happy」と「Well-Being」の両方が揃うと「HAPPINESS」ということになるらしい。

Happy:感情(Emotion)。ポジティブ感情の一つ。
Well-Being:状態(Being)。心身ともに健康で社会的によい状態。
→両方が揃うと、「HAPPINESS」になる。

これだけ見ても、Well-Beingってなんぞや?と思う人がいるかもしれない。ポジティブ心理学の創始者、マーティン・セリグマン博士は、Well-Beingを構成する5つの要素として「PERMA」というものを提唱している。

P(Positive emotion):ポジティブな感情
E(Engagement):主体的に関わる
R(Relationship):よい人間関係
M(Meaning):意義、意味
A(Accomplishment):達成、熟練

この5つが満たされていると、Well-Beingであると言えるのだ。

ただ、この中で自分にとって特に大切な要素は、人によっても違う。矢澤さんはRelationship、伊藤さんはMeaningが特に大切だと感じるのだそう。

ちなみに、タル博士のHAPPINESSの定義は、

Happiness is the experience of wholeperson well-being.

ヘレン・ケラーの言葉にインスピレーションを受けたそうだ。

タル博士が提唱する「WHOLEBEING」

タル博士は、人として・全体として(Wholeness)のWell-Beingを「WHOLEBEING」と呼び、「SPIRE」モデルというものを提唱されているらしい。その概要は以下の通り。

S(SPIRITUAL):意義ある人生を送り、今この瞬間をマインドフルに楽しんでいる
P(PHYSICAL):身体を大切にし、体と心の繋がりを活かしている
I(INTELLECTUAL):深い学びに主体的に関わり、経験を拡げている
R(RELATIONAL):自分自身と他人と建設的な関係を育んでいる
E(EMOTIONAL):すべての感情を感じ、レジリエンスと楽観的視点を得ている

画像1

個人的には、PERMAに比べて身体的な視点が取り入れられている点や、決してポジティブな感情だけではなく「すべての感情」と記されている点が全体性に繋がっていて印象的だった。

Free Flat Fun

Yahoo!アカデミア学長の伊藤洋一氏は、ウィズコロナ時代に感じたこととして、「いずれ来ると言われていた時代が、ワープして急に来てしまったことが戸惑いに繋がっているのではないか」と話す。

そして、ウィズコロナ・アフターコロナのキーワードとして、Free Flat Funの3つを掲げた。

Free:すべての当たり前・常識からの開放
Flat:集中↔拡散、リアル↔オンライン、オフィス↔テレワーク、経済成長↔サステナビリティ。いずれの選択肢もフラットに。
Fun:Lead the Self

この、Lead the Selfは、伊藤さんが以前から唱えている言葉。結局、ビフォアコロナの時代にもやってきたことを追求し、自分を導くことが大事だと言う。

島田さんも、「パラダイムシフトは、心配が信頼に変わること」だと言う。その時軸にするべきものは、自分が大切にしている価値観。自然と涙が溢れたり、エネルギーが湧いてきたりするような自分にとっての価値観を大事にすることが必要だと言う。

自分のことが分からない人には、1万時間の法則を思い出してほしい、という。1万時間の法則とは、どんなことでも、1万時間やればその道のプロになれる、という法則。仮に1日1時間やるとすると、約27年でプロになれるらしいが、1日24時間で計算すると、たった1年と2ヶ月ちょっとで1万時間に到達する。つまり、1年2ヶ月以上生きていれば、みんな「自分は自分のプロ」。だから、自分のことが分からないと言わず、自分を信じて!と力強いメッセージを残してくれた。

タル博士の「ウィズコロナ時代のHAPPINESS」4つのキーワード

ここからは、いよいよタル博士による講演がスタート。タル博士は、ウィズコロナ時代のことを「極端な感情を感じる時期」とした上で、HAPPINESSに繋がる4つの重要なポイントを解説してくれた。

①PERMISSION TO BE HUMAN/人間らしさを認める

苦しみやフラストレーションを感じるときは、拒絶して止めるのではなく流してあげる。きちんと経験することで、その感情を消すことができるのだという。人は、タフな状況では強くいようとしてしまうため、拒絶してしまうとその感情を余計に強く感じてしまう傾向にあるらしい。

また、感情はひとつのパイプラインでやってくる。だから、ネガティブな感情を拒絶しようとすると、ポジティブな感情まで感じなくなってしまう。「心の底から泣くことを知らない人は、心の底から笑うこともわからない」という言葉があるように、喜びも悲しみも含めての「感情」なのだという。

私はこの話を聞いた時、タルさんが資料の表紙でも引用されていた映画『インサイド・ヘッド』を思い出した。この映画の中でも、感情はひとつのパイプラインでやってくる。少女が喜びや悲しみを失った瞬間、まるで魂が抜けたように何も感じなくなってしまうシーンがあり、とてもわかり易い。

さらにタル博士は、人間らしさを認めるための方法として、3つの方法を提示してくれた。

①涙を流す
②自分が感じていることを人に話す
③書く

とてもシンプルな方法なので、日頃から意識して実践したい。

②Gratitude/感謝

感謝というトピックで、タル博士は以下の3つのキーワードを解説してくれた。

・Daily/Weekly Journaling(日記を書く)
2,3分の日記を続けていくことで、日々のスパイラルを上に持っていくことができる。

・Progress(進歩)
ポジティブな変化を起こすには、ちょっとしたVictoryを積み上げていく必要がある。ちょっとしたVictoryによって自信が高まり、より大きなVictoryが達成できるようになる。感謝と同様に、進歩も書き留めると良い。

・Writing a Letter(手紙を書く)
手紙を書くと、書いたあなた自信も、もらった相手も嬉しくなる。今のこの厳しい状況下でも、手紙はレジリエンスを高めてくれる。

③Physical Exercise/体のエクササイズ

体を動かすことも、ウィズコロナ時代のHAPPINESSにおいて重要だという。

・Equivalent to psychiatric medication(精神を整える薬と同等の効果)
少なくとも週3で運動をすると、脳に良い精神薬となり、抗うつ剤と同じ効果が得られるそうだ。もし家族や友人など、誰かと一緒に住んでいれば、一緒にやるとより効果が上がる。

・Especially important now!(今、特に重要!)
閉塞的な中だからこそ、精神的にも肉体的にも特に重要だという。

・Movement(身体を動かす)
エクササイズまでいかなくても、身体を動かすことがとにかく大事。

・Not exercising is like taking a depressant(運動しないことは、抑制剤を摂るのと同じ)
運動は人が自然と求めるものであり、むしろ運動をしないことはわざわざ抑制させてしまっているのと同じだという。

④Relationship/人間関係

最後のトピックとして、タル博士は人間関係を挙げていた。人間関係は、以下の2つの指標である。

・#1 predictor of happiness(ハピネスの指標)
・#1 predictor of health(健康の指標)

本来であれば、顔と顔を合わせた直接の人間関係を重視するというタル博士。もちろん、このウィズコロナの状況では、バーチャルでの人間関係でも良いという。しかし、重要なことは、表面的ではなく「深い」人間関係であること。

・Important of deep relationships(深い人間関係の重要性)
・Important of giving(与えることの重要性)

お互いに自分自身をオープンにすることができ、耳を傾け合う関係性。そして、お互いに与え合える関係性を持つことが、人間らしくHappyな生活をする上での基本だという。基本的なことではあるが、今は気持ちが落ち込みがちなので、特に重要だ。

HAPINESSへの気づき

タル博士の話はどれも深い学びと気づきに繋がったけれど、特に印象深かったのは、「ネガティブな感情を拒絶してしまうと、ポジティブな感情も感じなくなってしまう」ということと、「エクササイズは精神を整える薬と同等の効果」があるということ。

ウィズコロナ時代であっても、日々様々な感情を感じているはずなのに、以前と比べてその起伏があまりない自分に気づいた。たぶん、無意識のうちにネガティブな感情に蓋をしてしまっていた自分がいたように思う。ネガティブな感情に対しては、コロナのせいにしてどこか気づかぬフリをしがちだった。だから、ポジティブな感情も感じにくくなっていた。一度意識したら終わりなのではなく、「今、私はネガティブな感情を拒絶しようとしなかったか?」と、継続的に意識する必要があると思った。

また、私は運動をしている時に、「幸せすぎて自分が自分じゃないみたいな感覚」を感じる瞬間が何度かあったことを思い出した。脳の精神薬が効いていたのか、と感動すると同時に、運動するだけで精神的にもそんなに良い効果があるなら、やらない手はない!と思った。ウィズコロナでこもりがちだけれど、意識的に運動してHAPINESSを感じていきたい。

さいごに、このイベントの存在を教えてくれた朝礼仲間と、登壇者・運営者の皆様に感謝をしたい。ウィズコロナ・アフターコロナをより有意義に、よりHAPINESSに生きていくきっかけをくれて、本当にありがとうございました!
そして、このnoteが、誰かにとってのHAPINESSのきっかけになりますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?