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いつかまた…

昔の恋人に会いに行った、いや観てきたが正しい。
アートの世界へ足を踏み込んだ18歳頃、ギャラリーの四角い箱の中でその作品と出会った時の感動は今でも忘れられない。
今日もその時と同じような気持ちで胸が一杯になった。
懐古的な感情と新しいモノに触れた刺激が入り交じり頭と心の中が乱れてしまった。
日記を書くように毎日描かれた大量のエスキースは子供の落書きにも、古代壁画にも見える。それがまさに彼の作品の原点であり、作品を生み出すエネルギーとなる。
大学ノートからはみ出した(収まりきらない情熱のようなモノ)は版画となり、造形となり、立体作品へと変容していく。
刷り終えた銅板(銅版)から立体造形へと新しいモノに変化させるサスティナブル制作から40年。
まさに持続可能な作品。
両羽を広げた鯨は箱の中で大人しく鎮座していたが、ピカピカに磨かれた銅板で造られた姿は、ここから飛び出したいと思わせる程の強い意思表示を感じたのは自分だけだったのだろうか。
そして30年の時を経て「関西の80年代」兵庫県立美術館で再びその鯨と再会した時は、もう十分に飛びまわり今では穏やかに鎮座しているように見えた。
同じ作品から感じるものは時と場所と自身が置かれている環境によって変わるものだと改めて知った。
この先またあの鯨に出会うことがあればどんな気持ちになるのか楽しみで仕方ない。

I believe we will meet again someday.

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