日本の神様2

初代の神武天皇に繋がる日本神話のお話です

大国主神の国造りから初代天皇である神武天皇の即位までのエピソードと登場する神様、そのご利益と祀られている神社を簡単に解説します 文献ごとに書き方やエピソードが違うので、あくまでご参考程度に



~国造り~
高天原(タカマガハラ/天界の神々の住んでいる国)と黄泉の国(地下世界にある死者の国)の間にあるといわれる葦原中国(アシハラノナカツクニ)をオオクニヌシとスクナビコナが完成させていくエピソード。 葦原中国は高天原で乱暴・狼藉を繰り返したスサノオが追放された地だが、オオクニヌシ以降の国造りはなんだかよくわからないうちにシレっと始まってシレっと完成する。


大国主神/おおくにぬしのかみ
縁結び、病気平癒
出雲大社(島根)、大和神社(奈良)
・因幡の白ウサギの人。すっごいたくさんの名前と兄弟と6人の奥さんと180人の子供がいる。スサノオノミコトの六代目の子孫。オオクニヌシの奥さんの1人であるスセリビメはスサノオの娘という設定なのですが、相関がわからなくなるので聞かなかったことにしましょう。ちなみに、上記は古事記におけるエピソードですが、日本書紀ではオオクニヌシはスサノオの子供です。
・兄弟である八十神(ヤソガミ・・・個人名ではなく、いっぱいいる神様たちって意味)たちから迫害を受け、何回か殺されてもそのたびに生き返って対立するが、スサノオに鍛えられ、もらった太刀と弓矢でヤソガミを降して葦原中津国を平定する。これが国づくりといわれる


須勢理毘売命/すせりびめのみこと
語学、技芸、財運向上
國魂神社(福島)、春日大社(奈良)
・オオクニヌシの妻でスサノオの娘。数多の神様が片っ端から求婚するほどの超絶美女だが、猛烈な嫉妬屋さんで最強の鬼嫁


少名毘古那神/すくなびこなのかみ
病難平癒、産業隆昌
少彦名神社(大阪)、温泉神社(栃木)
・「造化三神」といわれる日本最初の三人の神様の一柱であるカミムスビノカミの子供で、オオクニヌシと一緒に国づくりを行ったとっても小さい神様。オオクニヌシが病に倒れた時に大分から湯を運んで日本発の湯治を行わせた。ちなみに、その湯治をした場所が道後温泉といわれる。
・一寸法師のルーツではないかともいわれる。国づくりを手伝うけど、知らない間にいなくなる。


大物主/おおものぬし
産業開発、方除・治病
大神神社(奈良)、大物主神社(兵庫)
・スクナビコナが国づくりを離れ、途方にくれていたオオクニヌシの元に光りながら現れて、国づくりをお手伝いした神様。女好きで強欲であり、そのキャラでたくさんの神話に登場する




~国譲り~
アマテラスオオミカミが急に、「オオクニヌシが平定した葦原中国は自分の子供が治めるべきだ」とか主張し始める。この子供(マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミ)がワガママで、うるさい場所だから嫌だと拒否。 そこで首脳会議が開かれて、その地を譲ってもらえるように何人かを順番に派遣することになるが、みんなオオクニヌシに取り込まれて誰も戻ってこない。最終的には力技でオオクニヌシを説き伏せて葦原中国を平定する、というエピソード。 国譲りっていうけど、オオクニヌシ側からしたらあんまり譲った感じではない。 しかも言ってみれば全員ルーツが同じ親戚みたいなものなのに(オオクニヌシの先祖はアマテラスの弟であるスサノオ)



天若日子/あめのわかひこ
農業守護
安孫子神社(滋賀県)
・オオクニヌシに葦原中国をアマテラスの子供に譲るように説得しにいくが、オオクニヌシの娘・シタテルヒメとデキてしまい、仕事はそっちのけで8年間も連絡しなかった神様。いろいろあって、最終的には裏切った罪でアマテラスに殺されてしまう。なぜか平安時代にとても人気のあった神様 ・実はこの人の前にも天之菩卑能命(アメノホヒ)という神様が派遣されていたが、この人もオオクニヌシの軍門に下って3年間も音沙汰を入れていなかった。


事代主神/ことしろぬしのかみ
五穀豊穣、海上安全、漁業守護
美保神社(島根県)、長田神社(兵庫県)
恵比寿大神(えべっさん)と同一神だと言われるオオクニヌシの子供。そもそもオオクニヌシが大国主と書くことから「大国=だいこく=大黒」とか言われることもある。
・アメノワカヒコの後に高天原から派遣された神様(タケミカヅチノオシン)に葦原中国の譲渡を迫られ、これを了承。このエピソードから、コトシロヌシは神のお告げ(神託)を司る神様であるとされた。
・実はこのときに釣りをしていたので、鯛を持った姿で描かれることが多いといわれる


建御名方神/たけみなかたのかみ
五穀豊穣、諸願成就、開運招福
諏訪神社(長野県)
軍神。力持ち。オオクニヌシの子供。全国の諏訪神社で祀られるなど、とても人気が高い神様。
・タケミカヅチに迫られたコトシロヌシが国譲りを了承したあと、オオクニヌシが「もう一人の子供にも聞いてね」と提案。そのもう一人の子供がタケミナカタ。力自慢だったのでタケミカヅチに挑んだところ、手を握りつぶされたので観念する。気の毒すぎる。
・ここまでは古事記のエピソードだが、古事記以外では諏訪湖を守って五穀豊穣をもたらす土着の神様、という話もある。




~天孫降臨~
オオクニヌシからやっとの想いで譲り受けた葦原中国を治めるべく、子供であるアメノオシホミミを派遣しようとしたアマテラス。ところがいざ命令したところ、返ってきた答えは「旅の準備をしていたら子供ができたので、僕の代わりにその子を派遣します」だった。 アマテラスの孫であるニニギが、祖母から託された三種の神器を手に五人の神様を従えて葦原中国に降り、その地を治めるエピソード。


点邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸命/あめにぎしくににぎしあまつひこひゆほのににぎのみこと
五穀豊穣、国家安泰
高千穂神社(宮崎県)、箱根神社(神奈川県)、霧島神社(鹿児島県)
・呪文みたいな名前ですが、通称はニニギノミコト。アマテラスの孫で天孫と呼ばれる神様。アマテラスから授けられた三種の神器を持って、アマテラスの指示で高天原から葦原中国(地上世界)に降り、その地を収めた。古事記における主人公格の神様


猿田毘古神/さるたびこのかみ
交通安全、夫婦円満、安産
猿田彦神社(三重)、椿大神社(三重)
・ニニギが高天原から葦原中国に降る途中、道案内のためにカラダを光らせて待っていた。貝に手を挟まれたので海に溺れて亡くなるが、どうにもその情景がイメージできない。大事なところなので、もうちょっとちゃんと書いてほしい


木花之佐久夜毘売/このはなのさくやびめ
縁結び、安産
浅間神社(全国)、箱根神社(神奈川)
・ニニギの妻で、ホデリとホオリを生んで皇室の原点を作った神様。一夜の契りで懐妊したので「本当にオレの子か?」とニニギに疑われてしまったため、無実を証明するために炎上する産屋で出産した。この壮絶すぎるエピソードがさっぱり理解できません


火照命/ほでりのみこと
豊漁・豊作
塩嶽神社(宮崎県)、阿陀比売神社(奈良)
・ニニギとコノハナノサクヤビメの子でホオリの兄。海幸彦(うみさちひこ)とも呼ばれる海の漁が得意な神様。自分の大事な釣り針を弟のホオリ(山幸彦)に失くされたので激オコぷんぷん。悩みぬいたホオリはなんか上手いことやるので、最終的にはハメられてしまい、軍門に降ってしまいます


火遠理命/ほおりのみこと
五穀豊穣、豊漁・安産
青島神社(宮崎)、益救神社(鹿児島)
・ホデリの弟。山幸彦(うみさちひこ)とも呼ばれる。ホデリの大事な釣り針を失くしてしまい、どうしても許してもらえなかったので悩んでいたところを海の神に助けられる。その後はなんと海の神の娘と結ばれるわ、兄を出し抜く方法を教わるわで、最終的には権力闘争に打ち勝ってしまう。 今の天皇の直系の先祖である神武天皇の祖父


豊玉毘売命/とよたまびめのみこと
開運厄除け、子育て
若狭彦神社(福井)、海神神社(長崎)
・ホオリに一目ぼれした海の神ワタツミ大神の娘。神武天皇の父であるウガヤフキアエズノミコトを出産する。出産の際に「絶対に見ないでね」とフラグを立てたところ、当たり前のように回収されてしまい、子供を残して離れ離れになってしまう


鵜草葺不合命/うがやふきあえずのみこと
農業守護、開運、他多数
鵜戸神社(宮崎)、知立神社(愛知)
・ホオリとトヨタマビメの息子。母が出産の際に鵜の羽を使って産屋の屋根を葺く途中に生まれたのでこんな名前。妻は自分の叔母であり育ての親であるタマヨリビメ。 初代天皇である神武天皇のお父さん


塩椎神/しおつちのかみ
海上安全、延命長寿
塩釜神社(全国)、塩津神社(滋賀) ・物知り博士。
樫の木おじさん、的な


玉依毘売命/たまよりびめのみこと
子宝、安産守護
宮崎神宮(宮崎)、霧島神宮(鹿児島)
・トヨタマビメの妹でウガヤフキアエズの妻。トヨタマビメがいろいろあっていなくなったので、子供を育てるために代わりに派遣されて、そのままその子の妻になったというなかなかのストーリー
・年齢差によっては叔母さんとデキちゃうのもなくはないけど、国に関係なく神話って特にそういうエピソードが多いです。




~神武東征~
日向(宮崎県)で暮らしていたカムヤマトイワレビコがシオツチやヤタガラスに導かれて東を目指し、奈良盆地を支配していた那賀須泥毘古(ナガスネヒコ、日本書紀では長髄彦と書く。もののけ姫のアシタカのモデルともいわれる)を打ち破り、初代天皇の位に就くまでを描くエピソード。


神倭伊波礼琵古命/かむやまといわれびこのみこと
国家安泰、困難克服
宮崎神宮(宮崎)、橿原神宮(奈良)
・神武天皇の呼称で知られる初代天皇。
・生まれながらに聡明で、日向で暮らしていたところにシオツチが現れて「東方にすばらしい土地があるよ」と助言を与えられる。45歳のときに兄弟と共に東に向けて出征する。
・行く先々の国を制圧して大和の国に都を開く。こうして初代天皇に即位した日が、紀元前660年2月11日なので、この日が「建国記念の日」なのです。
・東征中に熊野(和歌山県)に差し掛かった際、連れ立った兄たちが亡くなりピンチに陥っていたところにアマテラスからの使者が派遣されてきます。
・後々まで神武天皇を導くこのパートナーが、3本足のカラスである「八咫烏」。サッカー日本代表のユニフォームにも使われているJFAのマークのモデルですね。

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