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大企業で出世する方法を読んで、嫌な気分になった人へ 4つの視点を持て!

先週、大企業で出世する王道についての記事を書きました。

この記事を読んで、合点がいった人もいるでしょうし、なんか嫌な気分になった人もいるでしょう。

企業が利益を追求する団体で、その組織構造がピラミッド型である以上、利益を追求する人が出世するのが王道です。

でもそれって、非人間的でもあります。

何を持って人間的なのか、という定義は置いておいて、私個人的にはそんな人間的な人の方が好きです。優秀で、かつ、人間的な人が、会社でストレスを溜める原因の一つは、利益追及と人間性が相反することかもしれません。

だからと言って、大企業をやめるべきではありません。
幸せに働くいろいろな方法がありますから。その方法は他の記事で解説します。
今回の記事では、まず「複数の視点を持つ」ことをお勧めします。

複数の視点を持つことで、社内を見る視野が広がります。また、自分にとって心地よい立ち位置、ポジションを選ぶ基礎にもなります。
まずは、顧客目線、従業員目線、経営者目線、資本家目線(株主)を持って社内を眺めて見ましょう。
自分視点以外の視点を明確にしてこなかった方は、一度、整理すると良いと思います。

その前に、資本主義という価値観の中での企業の立ち位置、株式会社の仕組みについてを知っておきましょう。

資本主義

多くの国は民主主義であり資本主義です。
実際には、民主主義とは、ほぼ形だけ。ほとんど資本主義と言えます。特に欧米ではそうです。

一方、日本にはそうでもない部分も大きく残っています。

例えば、

  1. 会社は社会の公器である

  2. お客様の利益を考える

  3. 企業は従業員およびその家族の生活を守る

などといった昭和的な価値観です。

これは悪いことではありません。私の感覚から言えば良いことです。
そう思う人も多いと思います。(日本人的な価値観)


しかし、時代は、江戸時代的なメンタリティから、西洋的な政治、経済へとシフトしています。
日本的な価値観で企業や仕事を見ている人には、西洋的な経営といってもピンとこないかもしませんね・・・



大企業で働くのであれば、資本主義できな価値観も知っておかなければなりません。
経営層まで上がっていくには、「高い経営能力」か、「ずば抜けた専門能力」のいずれかが必要です。
その経営能力というのは、大企業になればなるほど、グローバルになればなるほど資本主義的になります。経営理論は資本主義そのものです。

私は経営理論を学びました。例えば、

  • 従業員の労働環境を良くする

  • 従業員の意見を聞く

  • 従業員の給与を上げる

などという施策も、その方が「儲かるから」というだけの話です。
顧客の利益を考えるのも、資本家の利益のためです。
学者たちも、資本家が「より儲かるように」と、研究をするわけです。そもそも研究費を出すのは資本家ですから。(欧米では優秀な私学が多い)
(はっきりいって私は経営を学んでかなり嫌な気分になりました)

これが資本主義です。
金がモノを言う、金儲けで世の中が回っているのが資本主義です。
政治も法律も学問も、かなりの部分を金でコントロールできます。
報道もそうですよね。

世界屈指の優秀な人が、金融関係でトレーダーの仕事をします。お金持ちのお金を増やす仕事ですね、、、
優秀で稼ぐ弁護士は「大きなお金の動く仕事」を求めます。
一般的に、貧しい人から儲けるより、金持ちを富ますことの方がソフトで実入りがいいからです。貧しい人から大きく儲けるのはいろんな意味でハードになります。

できることなら、優秀な人材は「金持ちを富ます」ことより「全体が豊かになる」ことに知恵を出して欲しいモノです。
しかし、そうなりにくいのが資本主義なのです。(もっとも共産主義が良いとも言えないのは歴史が証明しています)


国民全体を豊かにしようと、本気で各国の首脳が思えば、そりゃできるでしょう。そうでないのが、この世の中です。これが資本主義の世の中です。
そんな世の中で、企業は活動していることをまず押さえておきましょう。




そんな資本主義なんて、ちょっと嫌な気分になる。
そう思う人は特にわが国では多いと思います。

  1. 強いものに媚を振り、弱いものから巻き上げる

  2. 弱気を助け、強きをくじく

誰もが1と2の中間に位置するのでしょうけど、突き詰めると資本主義は1に近づきます。(資本主義が表向きに弱気を助けるのは、中間層から税金を取るための方便です)
これが現実だからしょうがない、競争だからしょうがない、やらなければやられてしまう、そんな気持ちになるのも仕方がない部分もあります。
資本主義は、国民にそう思ってもらえば、完成形ですね。


この資本主義(金で支配する構造)的思考は大企業で顕著です。
(そして、なぜか官僚もそんな感じがします・・・)


日本では、平社員から出世して、会社の代表になった人もまだまだ多いです。

そんな社長は、長い間、従業員側にいたので、「私たち」と言えば「従業員と経営陣」と捉えるでしょう。創業家から社長になった人でさえ、私たちと言えば従業員のことでした。

しかし、資本主義では、経営層と言えば、どちらかと言えば「株主側」で、従業員とは時に対立する存在となります。
外国人の持ち株比率がもっと進めば、日本企業の資本主義化が進み、経営層はより株主側へと歩み寄ることになるでしょう。


資本主義経済の話を聞いて、あなたは違和感がありますか?
日本にいると、世の中は資本主義というより民主主義というイメージを持っている人がまだまだ多いと思います。

日本の大企業も、個人的な事業がどんどん大きくなって、結果として大きくなったというイメージを持っているからかもしれません。特に創業者の伝説とか、生い立ちを聞く話も多いですからね。

一方、新興国や欧米では、資本家がビジネスをするために企業を設立するというイメージも持てると思います。こちらのほうが資本主義のイメージです。
(明治維新の頃の日本もそうでした。財閥系(資本家)や洋行帰りが大きなビジネスを展開していましたよね。洋行帰りに資本を提供していたのは誰でしょうか?? 官営工場もありました。どこへ払い下げたのでしょうか? 財閥資本家たちです。戦後、表向きは財閥解体ということでしたが、結果的には、特定の財閥(資本家)を残すための政策でしたよね?)

アメリカでは才能のある創業者には、資金が集まり、企業があっという間に大きくなります。
しかし出資者にとって都合が悪い経営をすると自分の会社を追われます。欧米の資本家は強いです。


ちなみに1990年ごろ、日本の上場企業の外国人持ち株比率は10%程度でした。今では30%を超えました。3割前後で落ち着いていますが、この程度で収まっていてほしいものです。5割を超えたら、ヤバイことになるでしょう。
ただし、今のところ、物言う株主は少ないので問題化していません。
世界の資本は、中国への投資を引き上げているため、日本の株がさらに買われる可能性は高くなるでしょう。

上場企業の配当総額16兆円の30%が海外へ移転しているというわけです。結構な額ですよね。
(近年「外資を呼び込むことが良いことだ」という報道ばかりされていましたし、外資を呼び込みやすいように、会計基準を変えたり、企業同士の保ち合いを悪いことのように報道していきました。この報道、この政策は資本家のためなのでしょうか? 国民のためなのでしょうか? そのあたり、
誰が、どんな議論をしたのかは、よく分かりません)


このように自分は「資本主義経済の中の企業の一員である」という意味合いで、会社を見ることもたまには必要です。
人道的な経営ももちろんあります。ただ両方知っておいて欲しいのです。それでバランスが取れますし、いごこちのよいポジションも取れるかもしれません。

繰り返しますが、大企業、上場企業ほど、資本主義的な価値観が濃くなります。
従来型の企業の株主は、銀行や関連会社、個人投資家が多かったので、口うるさくなく、企業の長期的な安定成長を望みます。
しかし、外資が入れば話は変わります。内部留保せずに配当に回せと言ってくるかもしれません。資本効率、配当性向などが語れなければ経営はできません。

もし、あなたが将来的に経営層まで出世したいのであれば、投資家の視点も持ちましょう。投資家の視点にも応える経営を目指せるようになるでしょう。


もう一つ、株式会社という仕組みも確認しておきましょう。




株式会社の仕組み


本来、株式会社は「株主のモノ」です。

資本家は経営を経営陣に委託しているのです。
これが原則です。
株主は、儲からないなら、経営陣を変える力を持っています。
会社は従業員のものでもなく、社長のものでもなく、株主のものです。

株の過半をもっているオーナー社長が強いのは、そういう意味です。

だから、がんばってがんばって出世して
「会社のトップ(社長)に立ったら、その上がいた」と言うわけです。



ところで、株主にはいろんなタイプの人がいます。

ほとんどは配当目的、売買益目的の静かな株主ですが、中にはモノを言う株主もいて、とにかく、利益を出せと言う人もいます。
会社なんて長期的にはどうなっても構わないと言う株主もいます。(業績が落ちたら他の会社に乗り換えるだけですから)

つまり、株主によっては、企業なんて使い捨てでも良いのです。特に外資系の株主はそうでしょう。

株主の意向を組むと、経営陣は自分のやりたいことができないこともあります。板挟みですね。


課長クラスだと「株主なんて、視点の外だった」と言う人も多いと思います。
あなたはどうでしたか?

ちょっと視点を広げすぎかもしれませんが、視点を広げるという意味では、極端に広げてみるということはとても効果があります。



会社で持つべき「複数の視点」

ここで、当初のテーマに戻します。(かなり長い無駄話が続いてすみません)
あなたの視点を複眼にしていきましょう。

あなたが会社の中で、もやもやするのは、視点の違う人と、違う価値観で行動を共にしているからかもしれません。相手によって、視点を使い分けることで、スッキリすることもあるのではないでしょうか。


(1)顧客視点



お客様あっての企業というのは、間違いのないことです。
お客様に支持されることで、競合優位性が上がり、売り上げは伸びるでしょう。

例えば、お客様のために「できるだけ安くモノやサービスを提供しよう」と考えたりします。

しかし「どこよりも安く提供する」といっても利益が出ないのであれば、企業は潰れます。

安く提供しようと言うのは、割と簡単に思いつく作戦なので同じような企業も多いでしょう。結構、大変な競争になります。

一方、利益率を高めるために、良いイメージをお客様に浸透させて、ステイタスを感じさせることに成功できれば、利益率的にはボロ儲けできるかもしれません。
(相手がプロのBtoBビジネスではなかなか通用しませんが)
うまくって儲かっても、競合が参入してくることも多く、長続きできないかもしれません。
(この場合、参入障壁を高くして、競合対策を練る必要があります)

お客様のためというのは、何も、利益率だけではありません。



例えば、顧客のための雑務が多すぎる場合

  • どこまで、顧客に妥協してもらうのか?

  • どこまで、サービスを提供すべきなのか。

顧客視点で検討する必要があります。
ただ、正解はありません。自社の都合を押し付けるのもよいですし、競合との差別化を図れるポジションを取るの良いです。ただ、コストがかかりすぎて赤字であれば長期的にはNGです。
これは一従業員レベルで解決できないケースが多いので、部署なり、企業全体で判断すべきことです。

例えば大手銀行の窓口はどんどん減っています。信金はそこを逆手にとって、顧客を獲得するべきかもしれません。つまり、どう意図するか、です。
顧客視点で両極端を考えて、メリット・デメリットを具体化(できれば数値化)して、バランスをとりましょう。

私は、私の会社は「顧客からどう見られているのか」「顧客からどう見られたいのか」というのが、顧客視点です。


(2)従業員視点

自分や周りの人の立場から見る視点です。
入社間もない期間は、この視点で会社を見ることになるでしょう。

  1. 会社の施策がコロコロ変わって現場が翻弄される

  2. 仕事の割り振り、評価などが不公平で、やる気が出ない

  3. 無駄な仕事が多すぎる(この仕事/会議って意味あるの?)

  4. 不正を行っているけど、しょうがない

まあ、従業員視点で見れば、問題点はいろいろあるでしょう。
現場の問題は探せば探すだけ出てきます。

もちろん、それを解決するのがあなたの仕事ではあります。

時には問題を解決しようと混ぜ返して、かえって面倒にならないように仕事を流す方が効率的なこともあるでしょう。
多くの企業はそんな風土になっていると思います。

一方、歩合給が大きい部署や成績が出世に直結する部署では、割の合わない仕事をいかに避けるか、などという風土もあります。
それはそれで、問題点はずっと解決されず、大きな問題になったりすることもあります。誰かが尻拭いをする羽目にもなります。

そのような職場で、変な正義感で「現場がこれだけ困っている」と経営陣に直訴したりしても、大抵はうまくいかないでしょう。


「従業員目線では何も解決できないから、そのような風土が残っていると考えるべき」です。(解決できるのであれば、解決済みでしょう)

このような問題を解決を目指すのであれば「もう一つ、高い視点で解決する」ように心がけてください。

一番気をつけたいことは、従業員の視点だけで判断してしまうことです。

企業の政策に不満を持つことはあるかもしれませんが、大きな視野に立って考えてみる必要があります。
従業員の視点だけの判断しかできない人を、社内では「視野が狭い」と呼びます。

あなたの視野が狭いため、業界全体の動向、国の政策の変更、海外の動向などの背景を知らないため、政策の判断そのものができていない場合も多いのです。

あなたが、間違った政策と思うものでも、それなりの理由があってできたものですよね。どのような背景があって、そのような流れになったのか、まずは、そこを知るようにしましょう。

だから従業員視点で経営方針を判断して、上司や経営陣に次のようなことを言うのはNGです。

  1. 方針が間違っていると主張する

  2. できない理由を挙げる

  3. この施策で現場の負担がとても大きく、混乱している

  4. 現場をわかっていないと不満を言う


逆にあなたが、経営陣なら、実行する気のない部下がいたら、どう思いますか?(経営者目線)。
「やる気がないならやめたら?」と思うかもしれません。

あなたの視点が従業員視点になっていないか、よく考えましょう。同僚を話をするときは従業員視点でも大丈夫ですが、上司と話をするときはNGです。

政策を実行するのが、従業員の務めですから「現場が混乱する」とか「負担が大きい」とか、そんな話はまったくもってNGということに気がついてください。
それは視野の狭い自己中な従業員の典型です。企業があなたに合わせることはありません。あなたが企業に合わせないといけないのです。

無理?間違ってる? そんな政策の場合でも、表向きは、政策に乗ったことにしなくてはなりません。

とは言え、あなたが経営陣になったとき「現場のモチベーションを高める」ことはとても大切なことです。
あなたの従業員視点は〈将来〉役立ててください。
ただし今ではないのです。
経営陣になったら、解決する問題として、控えておき、実行策も立てておきましょう。現場のことがわかる経営陣、現場の力を引き出す経営陣になって欲しいのです。

ちなみに現場のことをよくわかり、現場を回せる人は、現場の長にはなれます。その場合、従業員視点でも大丈夫です。

(3)経営者目線

従業員目線の次は経営者の視点です。
課長職を目指す係長クラスの人は、経営者視点まではあまり気にしたことがないかもしれません。
部長職を目指す、課長クラスの人は、そろそろ経営者目線を持つべきです。


経営者の仕事は、取り巻く環境の変化の中で、自社の取る道を定め、施策・方針という形にして、従業員に実行させ、利益を得ることです。
その一環として、従業員の管理も含まれるわけです。

とにかく企業の方針を決めるのが経営陣の仕事です。
利益を追求するもよし、従業員満足を高めるもよし、とにかく方針を決めたら、そのための施策を決め(あるいは部下に決めさせ)、従業員に実行させ、結果をチェックします。

あなたの企業は何を目指しているのでしょうか?まずは従業員として知っておきましょう。(方針のない企業もあります)

あなたが、経営陣になったとき、「実行してくれる部下」と「言い訳をして動かない部下」「文句を言う部下」とどっちが好きですか?
これが経営陣目線で見た、従業員像であることを忘れないでください。

従業員として、企業の方針が正しいなら、実行して良い結果を目指します。間違った方針と思うのであれば、次善の策も立てておき、こっそり対処しましょう。
(方針と違う方法で成果を上げることが非難される風土と褒められる風土があるので、そこは注意してください)


【大規模企業の場合】
経営者がやりたいようにできない場合もあります。
上場企業の経営陣のケースです。
中規模でも親会社のある子会社の場合は、こちらになります。

大企業の場合、経営者は株主に見られています。
子会社の社長は、親会社に見られています。

ここが中小企業やオーナー企業との違いです。



上場企業とか、関連会社の経営陣といっても、いろいろなケースがあります。
・親会社から派遣された社長とか、その会社生え抜きの経営陣とか
・物言う株主が連れてきた社長
・社外から招聘された社長
など、いろいろなケースがあります。

このような会社の経営は、責任、権限が複雑に絡まり、権力闘争が仕事になってしまい、本来の経営者の仕事がそっちのけということもあります。

例えば外部から招聘された経営者は短期間に成果を出す必要があるため、長期的な正しい施策よりも、短期的な施策になりがちで、生え抜きの経営陣との対立を招きます。短期的な利益を求めると、顧客のことなんかどうでもよくなりますし、従業員だってコストにしか見えなくなることもあります。

資本主義の原則論としては「株主が経営陣を任命できる」ということです。
つまり、社長より株主の方が偉いということです。
(関連会社の社長より親会社の方が偉い)

韓流ドラマや海外ドラマでは時々、株の保有数のシーンがでてきます。株数そのものが経営権そのものなのです。
しかし、日本では、なかなかこのイメージがつかないと思いますよね。


そんなわけで、経営者は常に成績(経営成績)が問われています。

上場企業では決算について公表しなくてはなりません。株主(資本家)が見ているからです。経営陣はその経営成績、資料の文言までが気になります。

部下に成績を強要すれば、粉飾決算を促すことになるかもしれませんが、物言う株主がいればそんな気にもなるのが経営者です。
成果を見せないと自分の立場がないと感じる社長もいるのです。

プロ野球の監督をイメージすればわかりやすいでしょう。3年で結果が出なければクビという感じですよね。

ときには経営者の視点も持っておくことで、多角的に企業全体を見ることができるでしょう。



(4)投資家視点(株主視点)

最後に投資家視点です。


株式会社は資本主義の発明品です。

資本家は金を出し、会社が利益を追求し、その利益を資本家が得るという仕組みです。

分かりやすく説明します。

あなたと友人A、Bの3人がいました。
ラーメン屋が儲かると知って、3人でラーメン屋を出店しました。あなたが1000万円、A、Bさんは500万円ずつ出しました。

ラーメン店で修行していたCさんを雇い、切盛りさせました。
1年たってみたら、売上5000万円、販管費が3000万円、Cさんの給与が1200万円で800万円の利益が残りました。
この利益をあなたはA、Bさんと出資比率で分けることにします。
初年度、あなたは、1000万円出資して、400万円の利益を出したということです。この調子なら、3年で出資した金額を取り戻せそうです。

翌年も売上は同じでしたが、Cさんは忙しいからと自分の奥さんをアルバイトで雇いました。
そのため、売上5000万円、販管費3000万円、Cさんの給与1200万円、奥さんの給与300万円で、500万円の利益となりました。
あなたは、こう思うでしょう。
去年は回せたのに、どうして人件費が増えたのだろうか?

次の年も、売上は同じでしたが、Cさんは原材料が高騰したと言いました。結果は売上5000万円、販管費4000万円、Cさんの給与1200万円、奥さんの給与300万円で500万円の赤字となりました。配当はありませんでした。

あなたはこう思うでしょう。
もっといい人に任せたいと。

これが株主(資本家)の視点です。
これなら、分かりやすいでしょ?


これが資本主義の株式会社の本来の姿です。



あなたが株式投資をしているのなら、投資家のイメージがつくかもしれません。

もし、あなたがある会社の株式を買ったとします。

株式を買うのは、何のためでしょうか?
自分が儲けるためです。
儲け方は2つ。

1つは配当をもらうことです。
2つ目は、株価が上がったところで売って、売買利益を上げることです。

配当をもらうため、株価を上げるために、あなたは企業に何を求めますか?

  1. 内部留保せずに配当に回す

  2. 余剰人員を整理する

  3. もっと安い人件費で働かせる(派遣にする、高所得者切り)

  4. 不採算部門を売却する

  5. 将来性のある事業を始める(表向き期待感で株価が上がる)

  6. もっと経営能力のある経営者に任せる(現職の否定)


そんな感じになるでしょう。
従業員視点とは随分違った見方になると思います。

上場企業の経営陣はそんな株主の視線にさらされているのです。



顧客視点、従業員視点(現場視点)、経営者視点、株主視点(資本家視点)と複眼化することで、今までと違った見方ができるのではないでしょうか。

複眼化とバランス感覚

あなたが出世するには、複眼化とバランス感覚が必要になります。

自分として、居心地の良い、やりがいのある立ち位置を見つけてください。


何事も、顧客視点、従業員視点、経営者視点、資本家視点で見ることが重要です。

視点が異なる人同士の話し合いは平行線になります。お互いが自分の立場を主張しても、落とし所がわかりません。両方の視点を持った上で、自分自身の意見を持つようにしましょう。

視野が広い人でないと、出世できないわけではありません。
専門職、専門的な他を寄せ付けない能力、他社でも活躍できるレベルの知識と経験を持てば、社内でも社外でもポジションはつかめるでしょう。
しかし、視野は広い方がベターです。

これからは、4つの視点を大事にしてください。確実に視野が広がります。


「あまりに金儲け主義な出世には、嫌な気分になるでしょう」から始まった記事ですが、その対策まで届きませんでした。
対策は、また書きますね。

対策の前に「まずは、視野を広げてから考える」べきです。


追記

本文では4つの視点について言及しましたが、他にも重要な視点があります。

(1)部署間視点
一つは、部署間の視点です。
例えば、設計VS製造とか、開発VS営業とか、ラインVSスタッフとか。
立場が変われば、視点が変わります。視点が変われば、対立してしまうこともあります。
セクショナリズムとかセクト主義とかビューロクラシー(官僚制)の弊害とか、昔からよくある問題点なので、このあたりはサクッと勉強しておいた方がよいでしょう。

対処方法としては、部署間の視点ではなく経営者視点で相手方の意見を聞くことです。そこで落とし所を見つけるしかありません。力関係が出てしまう部分でもありますが。
また、顧客視点で判断することで落とし所を定めることができるかもしれません。

(2)バリューチェーン視点
もう一つは、バリュチェーン視点です。
狭い意味でのバリューチェーンというわけではなく、サプライチェーンなど関連企業、協力企業、取引先などからの視点も重要だということです。

部署によっては、社外との接点が少ない部署もあるのでイメージがわかない人もいるかもしれません。
しかし、多くの企業が単独で、価値やサービスを顧客に提供しているわけではありません。協力会社を含めて価値を創造し、顧客に届けるという意味で、重要な視点になります。
あなたが社内視点だけでなくバリューチェーン全体に働きかけるパフィーマンスを持てば、あなたの実力は2段階ほど上がります。1企業のレベルから業界のレベルにステップアップできます。
場合によっては良い転職も可能でしょう。


あなたの視野を広げることが出世につながります。4プラス2の視点を持ってみてくださいね。






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