「一人当たりGDP」とか「平均年収」の無意味さ!!経営コンサルタントが明かす「数字のマジック」
「一人当たりのGDPが、どこどこに抜かれました」
とか
「平均年収は500万円を超えました」
などという記事を見かけることがあります。
この「平均」という意味は悪用されます。
確かに、平均が上がれば、全体として上がっているわけです。
なんとなく「みんなも上がっている」という印象を受けるかもしれませんね。
平均というマジック
では、次の事例を考えてみましょう。
Aさんの年収が10億円
その他の99人の年収が100万円
その他の99人で9900万円、100人で10億9900万円ですから
平均すると、平均年収は1099万円です。
平均年収が1000万円以上!
それって、いいことでしょうか?
この平均を計算して
どんな意味があるのでしょうか?
次の年の年収は次のようになりました。
Aさんの年収12億円
その他99人の年収が50万円
平均はいくらか、計算がちょっと面倒ですね。
面倒だけど正確に計算してみると平均は1249.5万円です。
「平均年収は昨年より、大幅に増加しました!」
という記事が書けますね。
確かに、昨年は1099万円、本年は1250万円。
「なんと、11.3%も、伸びました!」
とも、書けます。
でも、
99%の人は、年収が50%も減っているのです。
平均が上がれば、多くの人も上がっているという幻想!
たまたま自分だけ、たまたま自分の業界だけが例外?
では、ないのです。
数字で印象操作ができる
経営コンサルタントなので
プレゼンの資料を作ったりしますが
数字があると、具体的に見えて、説得性が増します。
でも
数字なんて、先ほどの記事のようなものです。
ウソはついていないけど、ミスリードさせることは可能です。
プレゼンの内容をよく見せるために、数字を使いますが
それは、心に響かない内容だからこそです。
先ほどの年収の平均のデータを使って
何処かの国の政府が政策の自慢に使っていたら、どうでしょうか?
新聞記事なら、どのような印象を持たせようとしているのか?
数字だからこそ、鵜呑みにせず、慎重になる必要があります。
人は感情で動くもの
「感情に訴えるのではなく、数字で具体的に説明しろ」
というのは、ビジネスの現場でも使われます。
実は、数字を使っても
結局のところ
感情に訴えないと、人は動きません。
数字も感情を動かすための「コンテンツ」になっている場合もあります。
意思や意図のの入っていない、生のデータは別ですが
プレゼンや記事の数字は、感情を動かすために使われます。
例えば、
もう一つの事例をあげてみましょう。
「今年は紅茶が売れた。前年対比110%だった」
それだけ、聞けば、
「紅茶がよく売れたんだ!」
「最近は紅茶が流行っているのかな?」
などと、思ってしまいますよね。
でも
「3年前の半分かもしれないな!?」
そう思わないといけないのです。
今年 110万本
昨年 100万本
2年前 280万本
3年前 400万本
4年前 700万本
前年比は確かに110%です。
そこだけを切り取った記事もあるということです。
さらに言えば、コーヒーや緑茶は昨年対比150%かもしれません。
数字のマジックについて書いてきましたが
コンサルタントの立場から言えば
「印象操作を目的とする数字マジックは使うな!」
です。
長期的に、消費者や顧客の信頼を得る方が上策とスタンスです。
テレビや新聞の情報で、わかったつもりは危険
テレビや新聞の情報をチェックしているから世の中のことを分かったつもり、というのは、案外、危険なこともあります。
知識人なら、書籍やマスメディアの情報をしっかりチェックしているはずですが、鵜呑みにするのは危険なのです。
なるほど、
「この記事は、読者にこう思わせたいのだな?」
と、意図を読んで、
同意するなら、その流れに乗り、
同意しかねるなら、違う道を選びましょう。
時間がないときほど
情報を真に受けてしまいがちですが
数字マジックだけは、しっかりチェックしましょう。
数字で印象操作するニュースは、誰かの利益を代弁しているかもしれませんから。
もっとも
記事を書く人が数字に弱く、意図もないまま書いている記事もあります。
話は飛びますが
数字そのものの信頼性も最近は怪しくなってきました。
世論調査とか、けっこう出元によって数字も違いますし、米国の大統領選の得票数すら、どこまで信用して良いのか外からではわかりませんね。
平均年収ではなく、国民の幸せの総和が大切ですが、これこそ、数字で表しにくいものです。
数字なんてなくても、みんなが幸せを感じる国になるといいですね。
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