見出し画像

フォイラー長海苔が見る新セット Vol.21 ファイレクシア:完全なる統一【Foil】

フォイラーに光りあれ!

フォイラーは結局、他所のカードゲームに触れてもフォイラーになってしまう解除し難いデバフが常時かかっている。

長海苔です。

ここでは主にレガシー、モダン、パイオニア、統率者にて光る紙をしばいている私が、公式フォーマットに使用する範囲で新セットから個人的にフォイルでおさえておきたいなーと思ったカードついて、買い物用メモついでにピックアップしたものを垂れ流していきます。

ついに新ファイレクシアの次元へ!
公開されたファイレクシアンのカードパワーも強烈だが、公式のストーリーのメインキャラが悪堕ちしていく絶望感は個人的にここ数年の中でも一番厳しい!

前置きもほどほどにさぁいくぞ!


マイコシンスの庭

フィルターランドに自分のファクトへ変じる能力を持たせた土地。

コピー能力が起動したターンのみでなく永続であるため、トロンやPostのようなマナが有り余るビッグマナ系デッキであるならばマナ数の暴力で盤面の驚異を更に増やして圧を高めたり、なんならインスタントタイミングで使用可能なことを活かして相手の虚をつく使い方も出来るが、これ自体がタップ状態になってしまっているため用途のラグが生じることもあるだろう。

しかしながら発表時は通常の使い方よりコンボカードとしての考察がなされたカードで、例えば『ファイレクシアン・ドレッドノート』の着地時誘発にスタックで生け贄を回避して戦場に出すパターンや、『液鋼の塗膜』や『マイコシンスの格子』でファクト化した『暗黒の深部』を0コストでコピーしてマリットレイジを爆誕させるなど、実際使われるとしたらこちらのコンボ要因としての方が目があるか。

レガシーの非青デッキが『もみ消し』無しのドレッドノートコンボをコスト的に現実レベルで無理無く使用できるようになるため、もしかしたらどこかのアーキタイプに更なる価値手段として追加される可能性もあるだろう。
雑に統率者需要も期待されるため、ワンチャンスを感じたならば初動の安価なうちに光らせておくのも良いだろう。


ティラナックス・レックス

『殺戮の暴君』に緑シンボルを足したら呪禁が護法4になって8/8へのサイズアップ&速攻と毒性4が付いてきたファイレクシアン恐竜。

毒性のメカニズム的にブロッカーで軽減するトランプルダメージを1点でも通してしまうと問答無用で毒カウンターが4つ乗ってしまうため、ダメージを0にするか護法4を突破して無理矢理にでも除去出来なければ3回パンチで人が死ぬ。

伝説持ちでもないため『カラカス』をすり抜けるし、『頑強』で吊り上げられ、複数体並べることも出来る。

7マナともなると普通に唱えて使うよりは踏み倒す運用がなされるだろうか。
リアニメイトやスニークショーのような早いコスト踏み倒しデッキにおいて、着地させたフィニッシャーに対して除去手段を豊富に備えた相手に最速1~2ターンで着地させることで、護法を突破するマナベースを揃えられる前に殴りきる運用も出来そうだ。

コスト踏み倒しデッキの新たな選択肢となりそうな1枚。そういうデッキで使われる生物は総じてフォイルの価格も上がりやすいので、ピンときたならデカブツ好きのフォイラー諸兄は光らせてみては如何かな?



沈黙を破る者、スラーン

呪禁能力は少し弱まったが、コストとスタッツが一回り大きくなったうえにトランプルと不完全ながら破壊不能も入手して、完全生物感の増したスラーン。

もう数年たったらお前さんエムラクールになったりしない?とでも言いたくなるような耐性の高さと、5/5トランプルという殴るに易いスタッツが魅力的。

特化したカウンターや除去耐性と本体にダメージを通しやすいトランプルもあり、ミラディンやモダンホライゾン産の剣サイクルとの相性が◎。十手を握らせても良いだろう。

5マナというコストが許されるのであれば各フォーマットの緑単信心、レガシーの『ガイアの揺籠の地』採用型マーベリック等での運用が考えられるか。
ダブルシンボルが辛いものの、破壊耐性もあることでモダンの緑トロンでお試し採用もありそうだ。

モダン以下のサイド要因としては専ら対抗馬はオリジナルの『最後のトロール、スラーン』ではあるが、コスト差を気にせず殴り性能を優先するのであれば新スラーンを採ることもあるだろう。

生物のインフレが進む昨今において、負けじと更に能力を盛ってきたスラーン。是非とも1枚光らせてみては如何だろう。

↑ミラディン包囲戦のスラーン。
4マナとはいえ強力なカウンターや除去の飛び交うモダンやレガシーにおいてサイドボードへの採用実績があり、なんならメタ次第ではメインに入ることもあって今も現役。
レガシー入門したてで青色を親の敵レベルに憎悪していた頃の筆者もマーベリックに挿したりしていた。


ファイレクシアの抹消者

新たなるファイレクシア初出の、ダメージソース元のプレイヤーに対して生け贄を要求するクアドラプルシンボルのファイレクシアンが再録。

相手からすれば稲妻1発を打ち込むと土地なりクリーチャーなり何でもダメージ分持っていかれるため、戦闘も含めてダメージ要素を用いず破壊追放生け贄等での対処を強いられるほか、打点も非常に高いためそのまま無視するわけにも行かないという厄介さ。
一般的に生物除去に追放や破壊を用いない赤や緑カラーにとってすれば天敵となる1枚だ。

ただし凶悪な能力とスタッツの代わりに色マナ要求の難度が非常に高く、採用されるデッキは黒単色で染まったデッキが殆ど。
最近だとモダンホライゾン2にてモダンに『陰謀団の貴重品室』が加わったことで黒単デッキが陽の目を見ることとなり『ニクスの祭殿、ニクソス』と併せて加速し捻出された黒マナからキャストする生物の選択肢として見る機会も出てきている。

そして今回の再録からめでたくパイオニア入りを果たす訳だが、現在のパイオニア黒単は直近で『食肉鉤虐殺事件』『ヴェールのリリアナ』『黙示録、シェオルドレッド』を入手したことでミッドレンジ~コントロールに寄っており、『ニクスの祭殿、ニクソス』をガッツリ積み込むリストも見かけるため、採用に関しては地上戦を完全に征するフィニッシャーとしてかなり現実的に見れるだろう。

黒を愛するフォイラー諸兄は再供給のあるこれを機に光らせてみては如何だろう。


↑初版となる新たなるファイレクシア版。
後にマスターズ25thにて同絵で再録されている。



ファイレクシアの立証者

受けたダメージを全て軽減して好きな対象に飛ばす、『ファイレクシアの抹消者』に引き続きの新たなクアドラプルシンボルの白生物。

まず、抹消者と比べてこちらは軽減を阻止しない限りダメージでは死なない。それはつまり除去をダメージに頼るしかない特定の色やアーキタイプにとって詰みの1枚になりかねないという点で非常に強力。ダメージ反射能力も相まって出されたビートダウンデッキ側は迂闊に殴りに行けなくなる点から見てもこれ1体が戦場に及ぼす影響力は非常に高いというのが分かる。
加えて飛行持ちであることからモダンレガシートップTierのUR色『濁浪の執政』デッキに対して強く立てるというのもピックアップした理由のひとつ。

また、ダメージの発生源のコントローラーを問わないことで自らの『ファイレクシアの立証者』に高火力呪文を叩き込むことで、バーン能力やバーンカードの対象外だったパーマネントやプレイヤーに打点を飛ばせる。プレイヤーを巻き込む全体火力だった場合、プレイヤーダメージ2倍である。

下環境で採用が見込めるデッキは各フォーマットのデス&タックス系の白単ビートダウンが筆頭ではあるが、単色デッキでも4つの白マナを土地ベースで捻出するのは意外と難儀で、例えばレガシーのデス&タックスだと『不毛の大地』と『リシャーダの港』の無色土地をフルに採用しているので、既存のプレイでも白マナの捻出に難儀する場面が度々発生する。
そしてレガシーデスタクにおいて『護衛募集員』でサーチが出来ないため素引きに頼るしかないのはデメリット。
現在のモダンデスタクにおいても、『幽霊街』と『廃墟の地』をガッツリ採用しているため、レガシー同様に色マナ4つの捻出は苦しい。

現実的にデスタクでの運用を考えると『霊気の薬瓶』から無理矢理出すのを第一として、土地否定戦術も併せてロングゲームから平地が4枚揃って通常キャストする難度の高さから見て、採用された際の枚数は多くても2枚程度に収まりそうな予感。
この難点があって尚も環境に対して需要が高まるようであれば、デッキの方のマナベースが変わる可能性もあるだろう(ニクソスや金属モックス投入など)

唱える難度は強烈だが下環境にぶっ刺さるポテンシャルを秘めた1枚。デスタクの新たなカルドラ級フィニッシャーになると感じたフォイラー諸兄は是非ともキープしていってほしい。
筆者的に今セットで一番期待値が高いぞ!


軽微なつまずき

ファイレクシアマナでなくなり、0マナも見れるようになった『精神的つまずき』

モダン・レガシーで禁止、ヴィンテージでも制限に指定されているカードのリメイクということで、発表時に恐らく最も物議をかもしたであろう1枚。

島を立たせておくだけで相手の大事な初動を崩すことが出来るため、マナクリーチャーやマナファクトから始まる高速デッキとの噛み合いによっては大幅に遅延させられるだろうし、下環境ほど軽く強いカードを大量に搭載した高Tierデッキも増えるためこのカードのもたらす役割的な価値も高まる。


しかしながら、オリジナルの『精神的つまずき』と比較して大きく劣る点を以下に挙げるとすると

  1. ファイレクシアマナで無くなったことで青系デッキ以外には入らない。逆に『精神的つまずき』はどのデッキにも無差別に入れられてしまっていた。

  2. 同じく、ファイレクシアマナでなくなったため、一番強く使える先行1ターン目に土地を立たせなければならなかったり、速度の早いデッキが自身の土地のフルタップムーブに歯止め要素が発生するなどテンポが悪い。逆に『精神的つまずき』は自身がどんなムーブをしようと動きを阻害せず、ライフ2点で1:1交換出来る前のめりなカードだった。

と、以上2点が重くのしかかっているため、"軽微なつまづきをカウンターするために、どのデッキもメインから軽微なつまづきを4枚積む"といった事態にはならないだろう。

とはいえ1マナの条件付き確定カウンターとしては優秀なことは確かで、デルバー(特にラガバン)やハンマータイムに対して強く握れるし、モダンのカスケードクラッシュやリビングエンドといった待機呪文を狙い打てるといった役割を持てるためサイド要因として複数枚の運用を期待できる。

オリジナルの評判からフォイルの価格も過剰につり上がりそうな予感はするが、正当な評価を受けてなお高額サイドとしてのスペックは十分なので純粋に『青色』の『強いサイド』として単価を受け入れて初動で一気に光らせてしまうのもアリ。



敬慕される腐敗僧

自身も毒性を持ちつつ、仲間が呪文の対象になる度に対戦相手に毒が蓄積されていく1マナ生物。

こちらもカード公開当時に下環境プレイヤーがざわついた1枚。
モダンやレガシーの感染デッキ自体がほぼ1マナのカードで占められ非常に軽く、さらに基本戦術として感染持ちを対象にパンプ呪文をガンガンキャストする性質上この『敬慕される腐敗僧』の誘発能力との噛み合いも良いため、既存の感染デッキでは『ぎらつかせのエルフ』と『荒廃の工作員』が殴る傍らで棒立ちさせて毒を加速するのも良いだろう。


また、『敬慕される腐敗僧』がある状態でストームカウント10の『大地の裂け目』を自分の生物に撃ち込むことでプレイヤーを殴らずに毒死させる毒性ストームというアーキタイプの隆盛も考えられている。
どちらも1マナコストという軽さなうえ、『魔力変』で出せる赤緑カラー、フィニッシュまで『ぶどう弾』の半分のストーム量で済むうえに腐敗僧を並べると更に必要数は減っていくなど、既存のストームにとって新たな選択肢となる可能性も。

感染にストームというワンショットキルデッキに新たな風を巻き起こそうとしている1枚。使用されるデッキは極端に限られるが、握ってるデッキと併せてピンときたならガッツリ光らせていって欲しい。



気まぐれな呪文踊り

非生物呪文のキャストで油カウンターが乗っかり、本体への戦闘ダメージでカウンターを外すと次のインスタントソーサリーをコピーしてくれるアンブロ生物。


まず、『戦慄衆の秘儀術師』というカードをご存じだろうか。灯争大戦にて登場してから2021年の頭ごろに禁止を食らう約1年半の間、レガシーのデルバーデッキで大暴れした生物だった。あの『王冠泥棒、オーコ』がいる環境でURまたはティムールデルバーにガン積みされしっかり定着していたと言えば色々察してくれるだろうか。
デルバーの2ターン目に出てくるこいつを早々に除去できなければ『渦まく知識』や『思案』を使い回されハンドアドが広がり、使い終えた『稲妻』が墓地から更に唱えられることで盤面やライフレース差が出来てそのままゲームエンドまで行ってしまう恐ろしいカードだった。
「そんなの除去すれば良いのでは?」と思うのは当たり前だが、こいつを『意志の力』や『目くらまし』といったピッチカウンターが守っているため着地したターンで除去を打つ側は半ば死に物狂いであった(そしてよく守りきられていた)

つまり何が言いたいかというと、レガシーにおける『気まぐれな呪文踊り』は第二の『戦慄衆の秘儀術師』になるポテンシャルを秘めているということである。

秘儀術師の場合は能力目当てで動くときに低いパワー1とタフネス3で無理にでも殴りに行かなければならなかったが、呪文踊りはそもそもブロックされないため瞬速ブロッカーの影に怯えずに単純にパワー2のクロックとしても扱えるほか、コピーにマナコストの縛りが無いため中盤以降に表現の反復をコピーしようものならほぼ勝ちだ。
唱える場所の縛りもないため、モダンリーガルなラガバンとも相性が良い。

また、コピーに際して墓地のカードを食うわけでもないため、『濁浪の執政』の探査や『ドラゴンの怒りの媒介者』の昂揚の妨げにならない。
消費する油カウンターに関しても、レガシーデルバーは大量の1マナスペルとピッチカウンターがあるため、出た次のターンにはもうコピームーブまで持っていける場面もあるだろう。

出てきた呪文のコピーは唱えられずにスタックに乗るため、デルバーの苦手な『虚空の杯』でカウンターされないのもお忘れなく。

『守れさえすれば勝てるカード』が大暴れしやすいレガシーにおいて非常に期待の膨らむカードなだけに、特にデルバーフォイラーは最優先で光らせていって欲しい(デルバーにメスが入った場合フル稼働の可能性もあるよね)


次元の撹乱

アーティファクトやPWにも触れるだけでなく、起動能力も封じてしまえるようになった『平和な心』

『平和な心』の派生カードとしては現在のパイオニアのコントロールデッキにも採用が見込めるレベルの汎用性を持った過去最強格。
PWも見れることで単体除去がコントロール相手に腐ってしまうといった場面も回避できるため、なんならメインから積んでも悪くないだろう。

また、PWメタでビートダウンデッキのサイドに対コントロールとしての搭載も全然アリなため、筆者的に今後のパイオニア環境において見かける機会が増えるのではないかという期待値高め。

コモンということで入手難度も低い。パイオニアで白デッキを握るフォイラー諸兄は是非とも光らせていってみては如何だろう。



シェオルドレッドの勅令

非トークン生物、トークン生物、PWに対処できる布告。

PWまで見れるモード持ちの布告は『アングラスの暴力』があるが、あちらは赤黒カラーのためデッキが限られる。

また、クリーチャー限定でいえばリアクションを封じる刹那付きの『突然の布告』が確実ではあるがコントロールデッキ相手には腐るうえ、複数展開された際に本命を落としにくい点ではトークンorノントークンを選べるこちらの方が的はある程度絞れるため、環境のメタ次第では『突然の布告』より使用される機会が多くなることも有り得るか。
(例:マリットレイジトークンと吸血鬼の呪詛術士、僧院の導師とモンクトークン、若き紅蓮術士とエレメンタルトークン、輝かしい聖騎士エーデリンと人間トークン)

強力なサイド要因として活躍が期待できる一枚。特にコントロール使いのフォイラー諸兄は是非とも光らせていってほしい。



有効色ファストランド群

ミラディンの傷跡が初出の有効色ファストランドが再録。

パイオニアにおいてカラデシュ産の対抗色ファストランドはあったが、ここにきてようやくの再録と相成った。
マナベースが更に安定化することでアグロからミッドレンジまでのビートダウンデッキは更に恩恵を受けることになり、グルールビート、スピリット、ラクドスミッド、ジャンドなどは土地基盤の改善が行えるだろう。

フォイル周りに関しても、白青や赤黒カラーのような人気色はゼンディカーの夜明けでエクスペディション・ボックストッパーとして再録を経験して尚もそこそこ高額なままではあるので(それでもかなり安くなった)、今回スタン再録の安価なタイミングで必要なものは全部買い揃えてしまおう。パイオニア・モダンで遊ぶなら絶対に損はない。

上段が初版のミラディンの傷跡版。下段がゼンディカーの夜明けのエクスペディション・ボックストッパー版。今回のものを含めて絵柄は各3種になったのでお好みのものを。



最後に。

有効色ファストランドの再録だけでも十分だったのに、蓋を開けたら下環境向けのカードも多くてかなり満足度の高いセットというのがフルスポ後の筆者の総評でした。
そして、コレクターブースターが念願の日本産になったことでようやく品質が改善されて非常にめでたいと思う傍ら、バリエーションが増えまくるノーン様に悲鳴を上げるショップを見てご愁傷さまと合掌。まぁ自分はショップ店員でもなければ熱心なコレクターですらないので対岸の火事ではありました。

さて、次回は『機械兵団の進軍』になるでしょうか。

ではまた。

フォイラーに光あれ!

記事を読んでくださってありがとうございます。 頂きましたサポートについては、Mana Capsuleの活動や記事の検証などに使用させていただきます。