「天才」を持って生まれた人間の宿命(団鬼六『真剣師 小池重明』を読んで)
「本を読むと眠くなる」というのを利用して、読書を睡眠導入の儀式に利用している杉原です。
しかしこれがうまくいかないことがある。言うまでもなく、ものすごく面白い本を読んでしまった場合だ。
こうなると、逆に興奮して眠れなくなってしまう。そして久々にこのパターンにはまってしまったのがこの本、『真剣師 小池重明』である。
「真剣」とは要するに賭け将棋であり、「真剣師」とはそれを生業にする棋士のことである。だがこの小説の主人公である小池重明の時代には、もはやそれは生業として成立し