髪を赤にした理由


どうでもいい事でも裏付けがあればどうでもよくなくなる。面白くなる。何でサラダにドレッシングかけるか、とかそんな事でもだ。そんなの味気ない生野菜を食べやすくするためじゃないか!と俺も思っていたのだが本当の目的は植物油によってビタミンの吸収力がめちゃくちゃ上がるから、らしい。ノンオイルドレッシングはパッと見で健康的に見えるがあまり芳しくないということだ。ロックバンドの真ん中に立つ男がなにサラダの話なんかしてんだよ、酒飲んでタバコ吸って女をたぶらかせろよ!とかいうイメージなど知らん。んな事よりバッティングセンターに行ってフォームを確認したり鉢植えの土を変えたりスタジオ入ったりと俺にはやることがあるのだ。

脱線したが話を戻そう。自分における些細な事に後付けでも何でもいいから理由を付けて俺が面白いと思える俺の歴史にしてあげたいと思っている。何だか俺、俺、俺、な文章になっているが強行突破してみよう。

 バンドマンと言えばロン毛orヘルメットなんて風潮がある。流行を何となく選んでしまった事に嫌気が差したある日のスタジオ終わり俊に「坊主にしていい?」そう聞いた。「それは、、、やめとこうよ笑」ってな返答だった。この日家に帰って俺はどうしたら自分が納得出来るか一から考え直した。そして答えが出た。見た目ダサくてまずどこまで行けるかやってみよう!そう決めたのだった。

 次の日俺は早速髪を切りに行った。坊主にはせずとも「中学生みたいな髪型にしてください」と美容師さんに告げた。ハルカミライのMVで言う所のそれいけステアーズくらいの時だ。坊主頭でMV撮っていたと思うとゾッとする。賛成してくれなくて良かったと心から思う。それからライブをしてライブをしてライブをした。すごくありがたい事に、こんなのがフェスにも出れるようになったし幕張ワンマンも出来た。もちろんメンバーや社長のおかげもあって、これで見た目=かっこよさでは無いことが俺の中で証明されて一つ自分を許せた。

 「中学生みたいな髪型にしてください」から「髪赤にしたいんですけど。」に変わった。見た目で決まらない事を実感したからこそ見た目の自由さが手に入った。自分で言うが赤髪ヤン毛はかなり似合っていると思う。裏付けがあるからこそのサラダとドレッシングのような関係だ(しつこい)。そしていつか俺が赤髪を卒業する頃にはまた新しい確信が生まれ、より説得力のある男に近付けるんじゃないかと思っている。かっこいい男に。(顔以外)