見出し画像

【高校物理】磁気分野④            「電場・磁場中の荷電粒子の運動」       <大幅増補改訂>

ここで扱うのは「ローレンツ力」です。
磁束密度 B の中を,磁場に垂直に速さ v で走る正の電荷 q をもつ荷電粒子には,磁場から力がはたらきます。その力をローレンツ力といいます。
ローレンツ力の大きさ 𝒇 は, 𝒇 = 𝒒𝒗𝑩
そして,その向きは「フレミング左手の法則」で求まります

06 電流が磁場から受ける力1(講義・例題)図2



【電場・磁場中の荷電粒子の運動1】
(講義・例題)

荷電粒子の電荷が「負」の場合,ローレンツ力は,フレミング左手の法則で求まる向きの逆向きとなります。そう考えるのがわずらわしいと思う人(私です)のために,「フレミング左手の法則"右手"バージョン」を考えました。
気をつけてください。フレミング右手の法則ではありませんよ(笑)

12 電場・磁場中の荷電粒子の運動1(講義・例題)図1

「磁場のみ」「磁場と電場」「電場のみ」(3パターン)の空間中での電子の運動について考察します。結局これは,力学の問題です。電子の運動を知りたければ,まずは運動方程式を立てるのです。


【電場・磁場中の荷電粒子の運動2】
(講義動画)その1「質量分析器」
 東京学芸大学(1991年) 過去問解説

磁場の中で荷電粒子が動くと磁場から力(ローレンツ力)を受けます。
その向きは,磁場と粒子の速度の両方に垂直な向きです。この不思議な力が面白い現象を次々と生み出します。そして,その力を利用するとこんなこともできるという応用例のひとつが「質量分析器」です。

講義動画をつくりました。


【電場・磁場中の荷電粒子の運動3】
(講義動画)その2「サイクロトロン」
 学習院大学(1995年) 過去問解説

磁場や電場中の荷電粒子の運動の応用例として,「サイクロトロン」を扱います。
荷電粒子の加速原理は,基本的には
1.一直線上で加速(線形加速器)
2.渦巻き状に加速(サイクロトロン)
3.同じ円周上で加速(ベータトロン)
の3パターンしかありません。今回は2.です。

講義動画です。


【電場・磁場中の荷電粒子の運動4】
(練習問題)その1
 奈良女子大学(2004年) 過去問解説

磁場中の荷電粒子の運動の練習問題です。
なぜ一平面上を運動するのか,と問われてすぐに返答できない人は要注意
問題(5)に「領域Ⅱを抜けて領域Ⅲに入る初速度の最小値を求めよ」とありますが,問題(4)の誘導があるので解きやすいと思います。
力のある人は問題(4)を飛ばしていきなり問題(5)を解くことを勧めます。


【電場・磁場中の荷電粒子の運動5】
(練習問題)その2
 横浜国立大学(2001年) 過去問解説

下のツイートでは「問題のある問題」と私は言っていますが,
個人的にはこういう挑戦的な問題は好きです(パズルとしても面白い)。
「誘導電場」は断りなく入試問題や模擬試験で出題されることがあります。
私は誘導電場は「ベータトロン」などでは触れざるを得ないと思いますが,その他の場面では導入すべきではないと考えています(高校範囲では)。
ただし,「運動する磁場は電場を伴う」という考え方が特殊相対性理論につながっていくという話は,雑談としては面白い(興味深い)のでよく生徒に話します。


【電場・磁場中の荷電粒子の運動6】
(チャレンジ問題)
  横市大(1995年) 過去問解説

磁場に対して斜めに入射した荷電粒子の運動です。
y-z 面内の運動と x 方向の運動を分けて考えなければなりません。
さまざまな方向からの「視点」が必要です。
最後(3)(ウ)が難問です。この問題にはいろいろな解釈があるはずです。
しかし,この問題を取り上げているどの問題集も同じ " 解答 " という異様さに私は恐怖を覚えています。
手を動かしながら,最後の【考察】まで是非読み進めてください!

今回の「らせん運動」を様々な角度から見られる12秒の動画です。
生徒に依頼して作ってもらいました(もう10年前のことです)。
「らせん運動」をイメージしづらい人は参考にしてください


【電場・磁場中の荷電粒子の運動7】
(練習問題)その3

大学入学共通テストで出題されるかもしれない,少し難しめの問題を解いてみましょう。最終的に,検出器でとらえられる陽イオンをつきとめます
「どうやってその陽イオンを作り出すのか?」という非常に興味深い問題があるのですが,イオン源の中で起こっている反応については,残念ながら高校範囲外です。大学(または大学院)で勉強してください(ヒント:プラズマ状態)。分野は「加速器科学」です。


【電場・磁場中の荷電粒子の運動8】
(練習問題)その4
   横浜市立大学医学部医学科(2015年)
   過去問解説

最後に,少し遊び心のある問題を解きましょう。
「荷電粒子の描く軌道で何かを表現したい」と出題者は思うようで,これまでさまざまな図形が生み出されてきました(2020年には五輪のような図形を出題した大学も…)。その中でも,この横浜市立大学の問題は秀逸



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?