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【高校物理】熱力学分野②          「気体の状態変化」その1


【p-V グラフ】
(状態変化では常に意識する)

気体の状態変化の解法
⓪ 力学的な装置を伴うときは,ピストンについて力の間の関係式を立てる。(つり合っているときは「力のつり合い」の式,もしくは,加速度運動しているときは,「運動方程式」)
① (理想気体の)状態方程式(𝒑𝑽=𝒏𝑹𝑻)を立てる。
 ただし,𝒑,𝑽,𝑻 のうち1つしか分かっていないときは,後回しにする。
② 熱力学第1法則(𝑸=𝜟𝑼+𝑾)を立てる。
 このとき,状態変化の種類によって,決まる次の条件をふまえる。
(ただし,𝑸 は吸収した熱量,𝑾 は気体がした仕事)
定積変化(等積変化)( 𝑽=一定) ⇒  𝑾=0
定積変化(等圧変化)( 𝒑=一定 ) ⇒  𝑾=𝒑𝜟𝑽 が使える
等温変化( 𝑻=一定 ) ⇒ 𝜟𝑼=0( 𝜟𝑻=0)
断熱変化 𝑸=0(および「ポアソンの式」が使える)
・ 断熱自由膨張 ⇒ 𝜟𝑻=0(後ほど問題演習で詳しく!)
・ その他の変化 ⇒ 何らかの方法で 𝑾 を求める
 (「 𝒑-𝑽グラフ」や「装置の特徴」から)


【微小×微小=ゴミ】
(断熱変化)

𝒑-𝑽 グラフを描けば分かりますが,
圧力の微小変化分と体積の微小変化分のによる仕事は「ゴミ」です(笑)
私には見えません。

【解説】の前に…
「マイヤーの関係」の導出をしておきました。
入試問題ではこれは与えられることもありますが,
暗記しておきましょう。

この議論の先に「ポアソンの式」があります。


【バネつきピストン】
(過去問解説 京都工芸繊維大学(1993年))

「~変化」と特に名前のついていない状態変化です。

解説動画をつくりました。参考にしてください。


【熱効率】
(難問です)

熱力学問題で私たちが立てられる式は,
ある瞬間に注目したとき ⇒ 気体の状態方程式
(「力学」として,ピストンなどの力のつり合いや
 運動方程式を立てることもある)
「はじめ」と「あと」の状態に注目したとき ⇒ 熱力学第1法則

とりあえず上の式を立ててみて,
問題で要求されていることを考えてみるのです。

ここでは述べませんでしたが,
吸熱から放熱に転じる瞬間は,気体が最高温度であるとは限りません
では,
最高温度になるときの気体の体積はどうやったら求められますか?
⇒ 直線の方程式と気体の状態方程式から,
圧力 𝒑 を消去して,温度 𝑻 を体積 𝑽 の関数として表してみるのです。
すると… 𝑻 が 𝑽 の2次式として表されます。
しかも上に凸の放物線であることが分かります。
頂点の 𝑽 座標を求めよう。


【容器の中に容器】
(過去問解説 信州大学(2018年))

「部分」だけを見ても解けない問題です。「全体」を見よう。
「𝐀 の体積変化」と「𝐁 の体積変化」の両方を考える必要があります。

ただし,この信州大学の問題は
問題文にある「ばねの弾性エネルギー」が複雑にしています。
個人的には,
𝒑-𝑽 グラフの面積から気体 𝐁 の仕事を求め,
気体 𝐀 の体積変化から 𝐀 の仕事を求めたい。
𝐀 はピストン1にだけ仕事をするのではない。
下の添付ファイル参照


【気体固体併存タイプ】
(過去問解説 東北大学(後期日程 2014年))

熱力学第1法則は「気体」でしか使えないと思っている人が多くいます。
この問題のように,
気体と固体(または液体)を一つの系と考えて
他からの熱の出入りがないので,吸収した熱量は0です。
では,内部エネルギーの変化と仕事は?

この問題を解くと,𝑸=𝒎𝒄𝜟𝑻 の意味が分かります。
この式は「熱力学第1法則」だったのです。


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