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【高校物理】熱力学分野② 「気体の状態変化」その1
【p-V グラフ】
(状態変化では常に意識する)
気体の状態変化の解法
⓪ 力学的な装置を伴うときは,ピストンについて力の間の関係式を立てる。(つり合っているときは「力のつり合い」の式,もしくは,加速度運動しているときは,「運動方程式」)
① (理想気体の)状態方程式(𝒑𝑽=𝒏𝑹𝑻)を立てる。
ただし,𝒑,𝑽,𝑻 のうち1つしか分かっていないときは,後回しにする。
② 熱力学第1法則(𝑸=𝜟𝑼+𝑾)を立てる。
このとき,状態変化の種類によって,決まる次の条件をふまえる。
(ただし,𝑸 は吸収した熱量,𝑾 は気体がした仕事)
・ 定積変化(等積変化)( 𝑽=一定) ⇒ 𝑾=0
・ 定積変化(等圧変化)( 𝒑=一定 ) ⇒ 𝑾=𝒑𝜟𝑽 が使える
・ 等温変化( 𝑻=一定 ) ⇒ 𝜟𝑼=0( 𝜟𝑻=0)
・ 断熱変化 𝑸=0(および「ポアソンの式」が使える)
・ 断熱自由膨張 ⇒ 𝜟𝑻=0(後ほど問題演習で詳しく!)
・ その他の変化 ⇒ 何らかの方法で 𝑾 を求める
(「 𝒑-𝑽グラフ」や「装置の特徴」から)
【p-V グラフ】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 14, 2020
添付ファイル(3枚)を解こう!
p-Vグラフ を利用した問題。
実験装置の図はありませんが,p-Vグラフを見れば,どんなことが起こっているのかが分かります。
逆に,熱力学問題は p-Vグラフ を描きながら考える習慣をつけることが重要。
「モル比熱」についても押さえておきましょう。 pic.twitter.com/zCdPCvdQGE
【p-V グラフ】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 14, 2020
(解答・解説)
「ゆっくり」の反対は,「すばやく」です。
これは,「断熱変化」を表すときによく見かける 物理用語 です。また後ほど出てきたときに説明しましょう。
最後の「pがVの一次関数となる変化」は 入試でよく見かけます。「気体がした仕事」が簡単に求められるからです。 pic.twitter.com/9xaCxLGBMO
【微小×微小=ゴミ】
(断熱変化)
𝒑-𝑽 グラフを描けば分かりますが,
圧力の微小変化分と体積の微小変化分のによる仕事は「ゴミ」です(笑)
私には見えません。
【微小×微小=ゴミ】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 15, 2020
ここで「微小」の扱い方に慣れておきましょう。
「ゴミ」とは「無視できる」という意味(笑)
熱力学問題。
「断熱変化」ですが,「ポアソンの式」は使いません。
(むしろ,この議論の先に「ポアソンの式」があります。解説で導出します。)
添付ファイルの問題(3枚)を解こう! pic.twitter.com/EjzX6OB8Cw
【解説】の前に…
「マイヤーの関係」の導出をしておきました。
入試問題ではこれは与えられることもありますが,
暗記しておきましょう。
【微小×微小=ゴミ】(解答)
— マナ物理 (@manabu_physics) July 15, 2020
問3(1)はピストンがx(エックス)下がったとすると,体積変化が負の値になることに注意。
また,単振動であることを示すには,働く力が「フックの法則」にしたがっていることを確認すればいい。
もしくは,加速度aが「a=-ω^2 X」の形になることでもいいね。
(つづく) pic.twitter.com/uuDafJJ8sG
この議論の先に「ポアソンの式」があります。
【微小×微小=ゴミ】(解説)
— マナ物理 (@manabu_physics) July 15, 2020
問2は圧力の微小変化と体積の微小変化の関係式を導いていますが,
最後の式から「ポアソンの式」が導けます。
【解説】で導いておきました。
それから,問3(2)で「マイヤーの式」(解説の前に導出しておきました)を使いました。
この式は必ず覚えてください。
マナブ pic.twitter.com/JBqfXp7VpB
【バネつきピストン】
(過去問解説 京都工芸繊維大学(1993年))
「~変化」と特に名前のついていない状態変化です。
【バネつきピストン】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 15, 2020
添付ファイル(2枚)は京都工芸繊維大学(1993年)の問題。
(2)(c)は「『問題のある』問題」ですが…。
バネがついているパターン。P-Vグラフを描いてみてください。
気体の比熱は,状態変化の種類によって異なります。
なので,「モル比熱」は気体の本質的な物理量とは言えません。 pic.twitter.com/FAA5DKwDYw
【バネつきピストン】(解答)
— マナ物理 (@manabu_physics) July 15, 2020
バネつきピストンの典型的な入試問題です。
ピストンの右側が「真空」であることに注意をしてください。
真空ということは,その空間からピストンに働く圧力はありません。
詳しい解説は,下の解説動画を是非,観てください。https://t.co/xqFdOvZMe7 pic.twitter.com/KeMs4PhPro
解説動画をつくりました。参考にしてください。
【熱効率】
(難問です)
熱力学問題で私たちが立てられる式は,
ある瞬間に注目したとき ⇒ 気体の状態方程式
(「力学」として,ピストンなどの力のつり合いや
運動方程式を立てることもある)
「はじめ」と「あと」の状態に注目したとき ⇒ 熱力学第1法則
とりあえず上の式を立ててみて,
問題で要求されていることを考えてみるのです。
【熱効率】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 16, 2020
添付ファイル(2枚)を解いてください。
昨年度の1学期期末定期考査で私が出題した問題。
問1に <注:難問です> とつけました(笑)
この注意書きがないと恐らく正解者はほとんどいないと思います。
採点をすると,(この後)東大に現役で合格する者たちで正解率は5割です。
解答は今夜! pic.twitter.com/tWRkZ51qGV
ここでは述べませんでしたが,
吸熱から放熱に転じる瞬間は,気体が最高温度であるとは限りません。
では,
最高温度になるときの気体の体積はどうやったら求められますか?
⇒ 直線の方程式と気体の状態方程式から,
圧力 𝒑 を消去して,温度 𝑻 を体積 𝑽 の関数として表してみるのです。
すると… 𝑻 が 𝑽 の2次式として表されます。
しかも上に凸の放物線であることが分かります。
頂点の 𝑽 座標を求めよう。
【熱効率】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 17, 2020
(解答・解説)
状態AとBだけを考えてはダメだということです。
A→Bの過程のどこかで,吸熱から放熱に転じる点が存在すると仮定して,立てられる式をすべて立ててみる。
そして最終的に,
吸収した熱量Qを体積Vの関数で表してみよう!
(圧力pを消去する)
すると,見えてきます。
マナブ pic.twitter.com/vGWUxrmeoa
【容器の中に容器】
(過去問解説 信州大学(2018年))
「部分」だけを見ても解けない問題です。「全体」を見よう。
「𝐀 の体積変化」と「𝐁 の体積変化」の両方を考える必要があります。
ただし,この信州大学の問題は
問題文にある「ばねの弾性エネルギー」が複雑にしています。
個人的には,
𝒑-𝑽 グラフの面積から気体 𝐁 の仕事を求め,
気体 𝐀 の体積変化から 𝐀 の仕事を求めたい。
𝐀 はピストン1にだけ仕事をするのではない。
(下の添付ファイル参照)
【容器の中に容器】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 17, 2020
信州大学(2018)の熱力学問題です。
大きい断熱容器の中に小さい非断熱性の円筒容器とヒータがあり,それぞれピストンがあります。小さい方のピストンにはバネもついています!
「気体がした仕事」を正確に求める必要があります。
(e)(f)(g)まで解き切れた人は,かなりの実力者! pic.twitter.com/UbsoWUVCAF
【容器の中に容器】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 17, 2020
(解答・解説)
(e)の問題で
「気体Aがした仕事を求めるのに,気体Bの体積変化を考えるのが分かりません」という質問を受けることがあります。
(返答)
仮に気体Aの体積変化がなかったとしても,気体Bに体積変化があれば,ピストン1は動きます。想像してみてください。
マナブ pic.twitter.com/piyguRKePl
![](https://assets.st-note.com/img/1644712521726-U68EwJU4e9.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1644712531285-gV0xKwwJfQ.png?width=1200)
【気体固体併存タイプ】
(過去問解説 東北大学(後期日程 2014年))
熱力学第1法則は「気体」でしか使えないと思っている人が多くいます。
この問題のように,
気体と固体(または液体)を一つの系と考えて,
他からの熱の出入りがないので,吸収した熱量は0です。
では,内部エネルギーの変化と仕事は?
この問題を解くと,𝑸=𝒎𝒄𝜟𝑻 の意味が分かります。
この式は「熱力学第1法則」だったのです。
【気体固体併存タイプ】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2020
熱力学第1法則を使いこなせるようになりましょう。
2014年東北大(後期日程)の問題。
気体と固体が併存しているタイプ。
気体と固体とで熱のやりとりをする場合も,立てるべき式は熱力学第1法則(エネルギー保存則)。
添付ファイルの問題(4枚)を解いてください。
(つづく) pic.twitter.com/0CqRAqpAtm
【気体固体併存タイプ】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2020
(解答)
熱力学問題で,はじめとあとの状態に注目したとき,立てられる式は「熱力学第1法則」です。
気体だけの場合,Wにあたるのは「気体がした仕事」。
では,固体があるときは?
気体だけの場合,ΔUにあたるのは「(3/2)nRΔT」。
では,固体があるときは?
(つづく) pic.twitter.com/D3asGwtMWJ
【気体固体併存タイプ】
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2020
(解説)
固体は,(大学入試問題では)体積変化を考えることはありません。
すなわち,固体のした仕事W=0です。
また,固体の内部エネルギーの変化
ΔU=mcΔT
問題集などでよく見られる
Q=mcΔT という式も,
実は「熱力学第1法則」を立てていたのです。
マナブ pic.twitter.com/SW9evAGFWG
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