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【高校物理】力学分野 「万有引力」実戦編
2021年入試の国公立大学後期日程の直前にTwitterで取り上げた
「万有引力」問題を集めました。
今後,取り上げる問題を徐々に増やしていく予定です。
「実戦編」ということで,1問目からかなり厳しい問題が並んでいます。
基本事項から学びたい人は,手を出さない方がいいかもしれません。
それぞれの問題(ツイート)の最後に,
その問題&解答解説をまとめたPDFファイルを添付しておきました。
活用してください。
「基本編・講義編」はまた後ほど作る予定です。
もう少しお待ちください。
【実戦問題1】楕円運動の公転周期
いきなりですが,
君たちがケプラーの法則を理解しているかどうかをみる問題です。
とりあえず問4まで解いてみてください。
問5の意味が分かるならば,
この分野においては「かなり力がある人」だと私は認定します。
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 7, 2021
万有引力·楕円軌道の公転周期
(問題)
添付ファイル(3枚)を解こう。
国公立大学後期日程に向けて,今週は力学「万有引力」の総復習をしましょう。 まずは1・2枚目を解いてください。難関大を受験する人は3枚目の問5にチャレンジしてください。問5の問題の意味が分かりますか? pic.twitter.com/x9M0Rsjcwx
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 7, 2021
万有引力·楕円軌道の公転周期
(解答・解説)①
天体(人工衛星)の運動で,
全力学的エネルギー E=-GMm/(長軸の長さ)
難関大受験生はこの事実は知っておいてもいい。
動径が掃いた面積を面積速度で割ることで,楕円軌道上を通過する時間を求めさせる問題も増えてます。要注意! pic.twitter.com/2MOpfOpkOv
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 7, 2021
万有引力·楕円軌道の公転周期
(解答・解説)②
軌道形は,
E< 0「楕円」
E=0「放物線」
E >0「双曲線」
この事実は覚えておこう(特に医学部医学科受験をする人は)。
軌道形については,「新・物理入門」を読もう。(欄外に「むずかしいから,とばしてもよい」とありますが(笑)) pic.twitter.com/u7zRY17H15
【実戦問題2】ケプラーの法則
(過去問解説 京都大学(1986年))
「近似」は難関大には頻出の手法です。
万有引力の法則から,ケプラーの第2法則,第3法則を近似
を使って導出します(その際,「特別な場合」に限定しています)。
ニュートンが行ったことは逆です。
万有引力の法則はケプラーの法則から導かれたのです。
ケプラーの法則から導かれたのですが,
万有引力の法則の適用範囲はケプラーの法則を超えています。
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 8, 2021
万有引力・ケプラーの法則
(問題)①
添付ファイル(6枚)を解こう。少し古い問題ですが,京都大学(1986年)の過去問。ケプラーの第2法則,第3法則を万有引力から導出する問題です。
「近似」と「特別な場合」は,よく使われる手法です。その近似が妥当かどうか,は考える価値あり。 pic.twitter.com/ytVbtfsuKO
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 8, 2021
万有引力・ケプラーの法則
(解答・解説)①
「楕円→円に近似」はたまに行われます(A点とB点での「曲率半径(内接円の半径)」が等しいことを利用)。
昨日も述べましたが,「楕円軌道の長軸が決まれば全力学的エネルギーが決まる」という事実は重要です。どんどん利用してみよう。 pic.twitter.com/AuXoANjNYo
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 8, 2021
万有引力・ケプラーの法則
(解答・解説)②
(カ)(ヨ)は解答と別解があります。私は個人的には「別解」の考え方が好きです(別解を京大は模範解答としていたのではないかと予想しています)。
添付ファイルの<雑学>はハレー彗星です。速いときと遅いときとで,速さに60倍の開きが! pic.twitter.com/PjHV7fqtX5
(補足)
2016年センター追試を解いてみてください。
【センター物理 誤りやすい問題】その3
— マナ物理 (@manabu_physics) January 11, 2020
笠原邦彦さんの言う「誤りやすい問題 タイプ②」に該当する問題です。
下の問題を解いてください。
2016年センター追試です。
「万有引力」は,今年ねらわれる可能性が高いと私は見ています。#誤りやすい問題 #2016センター追試https://t.co/VcFyZpKsBn pic.twitter.com/gAY1z5ekWc
【解答】【解説】です。
— マナ物理 (@manabu_physics) January 11, 2020
<教育関係者の方へ>
1986年の京都大学の問題が参考になります。この問題は楕円軌道ですが…。
(もし手元にあればすべて解くことをお勧めします)
つづく… pic.twitter.com/UgRmrp7JhF
【2016年センター追試 万有引力問題】
— マナ物理 (@manabu_physics) January 11, 2020
この問題は「ケプラーの第3法則」の使い方を知っていれば,【解説】のような式変形は不要です(下の【雑談】の中で詳しく述べています)。
以上です。 pic.twitter.com/4J88IU94eF
【実戦問題3】エネルギー的考察
(過去問解説 岐阜大学(2016年)<後期>)
今まで何となく「こうじゃないかな」と思っていたことを,
実際に計算して確かめる問題が私は好きです。
さらに,問題を解いた結果,本質が見えたように感じる
(実際に本質かどうかは検討する必要がありますが…)問題も。
この岐阜大学の問題はそんな問題です。
最後まで気を抜かずに解いてください。ミスが多発する問題。
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 9, 2021
万有引力・エネルギー的考察
(問題)
添付ファイル(4枚)を解こう。岐阜大学(2016年)後期日程の過去問。この問題で扱われているものは,なんとなく聞いたことはあるけれど,実際に確かめたことはないと思います。「目のつけ所」が面白い。
問2の地球の重心からのずれは驚愕の値(笑) pic.twitter.com/QWACnPMIQb
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 9, 2021
万有引力・エネルギー的考察
(解答・解説)
問2の答えはなんと「ほぼ原子核の大きさ」(笑) ただし「有効数字1桁」に注意。
問3の式変形は,原子物理でも出てきます。力学的エネルギーが負になることに注目やね。
問5だけ「地球の表面からの距離」としてしまう者多数…要注意! pic.twitter.com/R1yxbP1JMO
(補足)
万有引力がする仕事(教員用)
生徒からよく受ける質問です。
参考までに,私の答え方を載せておきます。
【万有引力がする仕事】①
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2020
初学者&教員用
添付ファイルの問題・答え(各1枚)を見てください。
これを生徒に示すと,決まって次の質問を受けます。
なぜ符号がプラスになるのか?
仕事=(後のエネルギー)-(初めのエネルギー)
だから,符号は逆ではないか?
この質問に対して私は,こう答えます。 pic.twitter.com/CRHKkVdhhQ
【万有引力がする仕事】②
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2020
君の書いた式は…
もし右辺を力学的エネルギーの変化量にしたいなら,左辺は「非保存力のした仕事」。
しかし,万有引力は保存力だ。この公式は使えない。
ならば,
された仕事=運動エネルギーの変化量 は?
点A,点Bでの速さが与えられていないから,仕事は求められない。
【万有引力がする仕事】③
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2020
じゃあ、どうする?
定義どおり「仕事」を求めるのです。
仕事=力×移動距離
ただし,移動するにしたがって力の大きさが変化するのであれば,積分します(添付ファイル参照)。
確かに
仕事W=(はじめの位置エネルギー)-(あとの位置エネルギー)
という式が現れます。 pic.twitter.com/QsQzyhIekm
【万有引力がする仕事】④
— マナ物理 (@manabu_physics) July 19, 2020
ちょっと視点を変えます。
「A点からB点へ移動する間の万有引力がする仕事の『符号』は? 計算をせずに答えよ」
物体が地球に近づくとき,万有引力は正の仕事をするはずです。
「符号が逆ではないか?」というのは,その指摘自体が間違えているのです(添付ファイル参照)。 pic.twitter.com/b16C8kYYaA
【実戦問題4】面積速度の利用法
(過去問解説 東京医科歯科大学(2016年))
試験時間内に素早く解けるかどうか,
特に医学部医学科の問題はその傾向が強いように思います
(千葉大医学部医学科では問題の分量は変わらないのに,
試験時間が短くなりました…)。
そして,
物理的な理解力とともに数学的な計算力も測りたいのではないか,
と私は見ています。
次の入試問題は,出題者のそういう意図がみてとれます。
ただし残念ながら,この問題を解いても,
物理的な面白さというものはなかなか感じられません。
注:
問8の解説で 𝑺₁ の値を求めていますが,𝑹² が抜けていました。
申し訳ございません。訂正します。
なお,PDFファイルは正しいものにしてあります。
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 10, 2021
万有引力・面積速度の利用法
(問題)
国公立後期日程に向けて,これが最後の問題となります。
添付ファイル(4枚)を解こう。東京医科歯科大学(2016年)の過去問。面積速度をうまく使って解いてください。力学的エネルギーの正負で軌道形が決まることは知っておいた方がいいようです。 pic.twitter.com/1kmqbSZf7S
【二次・私大対策】
— マナ物理 (@manabu_physics) March 10, 2021
万有引力・面積速度の利用法
(解答・解説)
ある時間内に動径が掃く面積を数学的に求め,「面積速度」で割り算することで「通過時間」を求めさせています。最近,このタイプの問題を見かけるようになりました。2009年の昭和大学医学部(半長軸と半短軸が既知)など。要注意です! pic.twitter.com/ClnxqVIUYv
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