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【高校物理】磁気分野⑥           「教科書も間違えている」(増補改訂)


【教科書も間違えている1】
(問題のある問題)大阪市立大学(1995年)
  過去問解説 & マナブ問題
(ブランコの加速についての考察)

よく見かける問題で,特に疑問にも思わない人がほとんどでしょうが,
ホール効果を理解した人であれば,
以下の問題が「問題のある問題」であることが分かります。
「教科書に書いてあることが間違えている」
ということが明らかになるのです。
どこに問題あるのか,いっしょに考えていきましょう!

大阪市立大学の問題の途中,「ブランコの加速」について問われています。「ブランコ」については,加速原理を後ほど
(力学分野の問題として)詳しく語る予定ですが,
手始めにその導入としてこんな問題をつくりました。
近似式の知識が必要になります。トライしてみてください!

私がどこにひっかかっているのか,問1の解説に書いておきました
問マ(マナブ問題)を解いた結果を見ると,
もっとも効率の良いブランコを加速するタイミング
我々(子どもたちも!)が知っているということに驚きます。


【教科書も間違えている2】
(問題のある問題&解答&現状 そして 検討)

何が問題なのかを整理しておきます
● 電流が磁場から受ける力(アンペール力,電磁力)を考えるとき,
磁束密度は導線(金側棒)の周りの透磁率を用いて求めます。
通常は真空の透磁率。
● 自由電子が受けるローレンツ力を考えるとき,
自由電子は導線(金属棒)の中にあるので,
本来であればその導線を構成している物質の透磁率を
使用しなければならないはず
なのですが,
教科書(参考書)ではなぜか,真空の透磁率を用いています。
● 2つ目のツイートの添付ファイルを見ると,
自由電子に働くローレンツ力によって,
アンペール力が生じるのではなく,「ホール電圧」が生じます
では,アンペール力の源はどこにあるのでしょうか?

下のツイートで紹介している書籍は2013年に出版されたものです。
定価は2700円(+税)です。
絶版ですが,amazon などで中古で安価で手に入れられるようです
(2021年6月9日現在)。
小林香織さんの論文の他にも,
「日なたに置いた金属はなぜあんなに熱くなるのか?」(津村加奈さん)
「水の温度を聞き分けられるか」(伊知地直樹さん)
「変動する磁場はどのようにして金属を加熱するのか」(川田敬太さん)

など,タイトルを見ただけで確実に面白そうだ
と考えられるものがたくさんあります。
是非,手に入れて読んでみてください。

どの教科書,参考書を見ても同じ説明でうんざりします…
「ローレンツ力」の直後に「ホール効果」を配置しているものも多く,
もしかしたら確信犯なのかな? と勘繰ったりしています(笑)


【もう1問解いてほしい問題があります】

磁気分野③「電流が磁場から受ける力」の中で解説をした
徳島大学(2015年)の過去問です。ここまで読み進めた君たちなら,
最後の問5が出題ミスであることが分かると思います
問5については,出題者が欲しているだろう解答を示しましたが,
この問題はカットすべきだと個人的には考えています。


【アンペール力をつかった手品】
(ハンドパワー)

最後にハンドパワーをお見せしましょう!
遊び(もしくはマジック)でこの実験を紹介する人は多いのですが,
残念ながら動く原理まで詳しく述べている人はほとんどいません
いきなり解説をみるのではなく,現象を見て,
まずは自分なりの考察をしてみましょう。


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