見出し画像

【高校物理】熱力学分野⑥            「熱力学総復習」

2022年の大学入試期間中にTwitterでつぶやいた内容をまとめました

私が問題を選んだ基準は,
・ これからも狙われる可能性の高い問題
・ 大問1問を解く過程で,学びが得られる問題
・ 解いていて楽しい問題

です。

熱力学問題が毎年必ず出題される大学は少ないと思います。
頑張って対策を立てたのに,まったく出題されなかった
ということもあり得る分野です。
でも…,
一つの分野をマスターすることは重要であると私は考えています。
その分野の中でのつながりが見えてくることに加えて,
他の分野とのつながりが見えてくることが大きいのです。
物理全体が有機的につながっていく感覚
是非つかんでほしいと願っています。

マナブ


【熱力学総復習 その1】
 東京大学(2009年) 過去問解説

熱力学の総復習をしていきます。
「その1」をどの問題にしようか,と考えた結果,
この 2009年の東京大学 の問題を選びました。
理由はツイートを見てもらえれば分かると思いますが,
”衝撃” を受けたからです。

この問題を解き終わったとき,
「これからの物理入試問題がどう変化していくのか」
を語る上で重要な問題になる,と私は直感的に思ったのでした。


【熱力学総復習 その2】
 河合塾全統記述模試(2005年) 過去問解説

深さ 𝑳 での液体の圧力の式については,私は公式と考えています。
ここで導出をしておきます。

では,この「公式」を使って,下の問題を解いてみてください。
(使わなくても解けますが,注意が必要です)


【熱力学総復習 その3】
 新潟大学(2013年) 過去問解説

「比熱,熱容量,熱量の関係式」は,
通常,熱力学のはじめ(物理基礎)で登場しますが,
私自身は,熱力学第1法則と同時に(物理で)教えたいです。
熱力学のはじめには「気体分子運動論」をもってきて,
力学とのつながりを見せたいと考えています。

熱容量については,単位および物理的な意味も含めて押さえておこう。
新潟大の問題でその扱いに慣れてください。
追加問題は,力学との融合問題です。慎重に解いてください。

リツイートした「気体固体併存タイプ」も併せて解いてみてください
(ツイートの下に,PDFファイルも添付しておきました。)


【熱力学総復習 その4】
 千葉大学(2012年) 過去問解説

気体分子運動論。
どの教科書を見ても「立方体容器」で説明をしていますが,
私は「球形容器」から入るのがいいと感じています。
立方体容器だと,「等方性」「エネルギー等分配則」など,
「圧力」を求める前に語らなければならないことが満載だからです。

球形容器 ⇒ 立方体容器 ⇒ 壁が動く(断熱膨張) ⇒ 熱力学第1法則
が最近の私の講義の流れです。


【熱力学総復習 その5】
 進研総合学力テスト(1989年) 過去問解説

思考の途中経過が分からない(どこで間違えたか分からない)問題
は私自身,あまり好きではありませんが,
そういう問題が出題されることがあります。
ツイートではこの問題を「ぞんざいな」と表現しましたが,
今でもこのタイプの問題はたくさんみかけます

2つめのツイートで述べた「圧力差」について,
上側と下側の圧力を直接測るのは難しいですが,
「浮力」を測ることで,逆に(間接的に)「圧力差」が分かる
という事実に,私はものすごく興味がひかれます。


【熱力学総復習 その6】
 新潟大学(2010年) 過去問解説

本来は,
気体分子運動論から熱力学第1法則へとつなげるのですが,
それはこのツイートの後に,
PDFファイル「気体の分子運動論 その2」に記載しておきました。
参考にしてください。

[1] は,熱力学第1法則を再確認する問題です。
定積モル比熱,定圧モル比熱,内部エネルギー,…
これらの関係式を(その意味も含めて)述べることができますか?
[2] は,液体中の容器の中の気体のふるまいに関する問題です。
新潟大学は問題文にきちんと
「気体の質量は無視できる」と書いています。⇒ その2の解説参照


【熱力学総復習 その7】
 京都大学(1990年) 過去問解説

断熱変化の関係式(ポアソンの式)の使い方は,
ボイルの法則,シャルルの法則,ボイル・シャルルの法則などと同じ。
状態変化(断熱変化)の前と後とで,
圧力(または温度)と体積の値を代入して等式をつくればいい


「マイヤーの関係」および「ポアソンの式」に関しては,
最後のツイートに,導出をしておきました
また,PDFファイルも添付しておいたので,参考にしてください。


【熱力学総復習 その8】
 静岡大学(2007年) 過去問解説

ピストンが2つある気体の状態変化。
今回はどちらのピストンも滑らかに動くので,
常に力のつり合いが成り立っています。
すなわち,「ゆっくり加熱」→『定圧変化』となります。

ツイート内では,「問題の問い方」に言及しています。
この辺の議論をあいまいにしている人があまりにも多い,
というのが私の感想です。
「気体のした仕事」をどうとらえるのか,
いや,受験生にどうとらえさせたいのか,
に私は注目しています。

個人的には,
初めから「力学的エネルギーの変化量」に注目させるのではなく,
「気体のした仕事」をきちんと求めさせたい
ツイート内でも言及している「信州大学の熱力学問題」では,
わざわざ 𝒑-𝑽 グラフを描かせているのに,
その気体のした仕事は求めさせていないのです。
この姿勢は間違っていると私は思います。


【熱力学総復習 その9】
 早稲田大学理工学部(1990年) 過去問解説

この問題を解くためにどこまで知っておかなければならないか,
というのは議論が分かれるところだと思いますが,
最近の入試問題を見ていると,
「マイヤーの関係」「比熱比」「ポアソンの式」
を知っていること前提でつくられたものが多くなったと感じます。

最後は「熱効率」です。
熱機関は,この熱効率を上げるために改良が重ねられてきました。
その過程で,熱力学も発展してきました。
熱効率に関連して,【解説】では,
「熱力学第2法則」や「永久機関」についても言及しておきました。


以上です。
マナブ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?