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【病理学】ヘマトキシリンについて

このアカウントでは二級病理検査士や臨床検査技師の資格取得を目標にされている方に向けて、ゴロを交えながらわかりやすさを意識して情報を発信しています。

今回は、試験対策としてヘマトキシリンについて覚えておきたいことをまとめました。

【ヘマトキシリンの特徴 】


 ▶︎豆科植物から抽出した天然色素
 ▶︎淡い黄色~淡褐色の粉末
 ▶︎酸化するとヘマテインとなる
 ▶︎水に溶けにくい
 ▶︎アルコールに溶けやすい
 ▶︎進行性と退行性のヘマトキシリンがある

ヘマトキシリンの図

【進行性ヘマトキシリン】


 ▶マイヤー
 ▶︎リリーマイヤー

【進行性ヘマトキシリンの特徴]
 ▶︎酸(クエン酸)を添加している
 ▶︎酸でpHが下がり、核のみを選択的に染色
 ▶︎分別の必要がない

Q.進行性ってどういうこと?
 核だけをピンポイントに染色できる(選択性がある)ので分別の必要がありません。
マイヤーと名のつくヘマトキシリンは進行性と覚えて他は退行性と覚えておきましょう。

【退行性ヘマトキシリン】


 ▶︎カラッチ
 ▶︎ギル
 ▶︎デラフィールド
 ▶ハリス

【退行性の特徴】
 ▶︎酸を添加しない中性寄りのヘマトキシリン
 ▶︎細胞核と細胞質をどちらも染める
 ▶︎塩酸アルコールで分別が必要

Q.酸の添加によるpHの差は実際どのくらいなのか
 ▶マイヤーヘマトキシリン:pH2.4~2.5
 ▶カラッチヘマトキシリン:pH2.7~2.8
ほんの0.2とかの差ですが、この差で選択性のあるなしが変わるそうです。

また、細胞診で主に使われるギルのヘマトキシリンは退行性ですが、酸と名のつく氷酢酸が入っているのに分別が必要なのは注意です。氷酢酸はクエン酸と違ってpHにあまり影響がないようです。


 ヘマトキシリンはpHによって色調が変わります。pHを上げる(中和する)と色調が青紫色となり安定化します。そのため、アルカリ処理や流水水洗による色出しを行います。

【ヘマトキシリンの色出しに使う溶液】

 ▶︎水道水
 ▶︎アンモニアアルコール
 ▶︎炭酸リチウム液

 二級病理の過去問で色出しに使う溶液はどれかという問題が出たことがあります。アルカリ処理か水道水と覚えていれば、酸性の溶液は即座に選択肢から外せます。

【ゴロ:ヘマトの色出しリッチにアンモニア水】
リッチ(炭酸リチウム)にアンモニア(アンモニアアルコール)水(水道水)


続いて、よく出題されるヘマトキシリンの組成についてです。

【マイヤーヘマトキシリンの組成]

 ▶︎ヨウ素酸ナトリウム(酸化剤)
 ▶︎カリウムミョウバン(媒染剤)
 ▶︎抱水クロラール(防腐剤)
 ▶︎クエン酸(PH調整)

【ゴロ:マイヤーさんはよくポカする】
マイヤー(マイヤーヘマトキシリン)さんはよ(ヨウ素酸ナトリウム)く(クエン酸)ポ(抱水クロラール)カ(カリウムミョウバン)する

【カラッチヘマトキシリンの組成]

 ▶︎ヨウ素酸ナトリウム(酸化剤)
 ▶︎カリウムミョウバン(媒染剤)
 ▶︎グリセリン(防腐剤)    

二つのヘマトキシリンの酸化剤•媒染剤は共通で、
防腐剤が違う事は必ず覚えておきましょう。


 それでは本日のまとめとして練習問題を解いてみましょう。

【練習問題】

問.分別の必要がないヘマトキシリン溶液はどれか。
 1. カラッチ
 2. マイヤー
 3. ギル
 4. デラフィールド
 5. ハリス

答え.2
【解説】ハリスヘマトキシリンは退行性で、水銀を含んでいるため現在はあまり使われていません。

問.ヘマトキシリンの色出しに使うのはどれか
 1. 飽和炭酸リチウム
 2. 塩酸
 3. 酢酸
 4. 水酸化カリウム
 5. 水酸化ナトリウム

答え.1
【解説】色出しに酸は使いませんし、強塩基も組織や細胞が傷害されるため使用しません。

2017年 病理二級検査士試験 問24 より
問.カラッチのヘマトキシリンの酸化剤はどれか。
 1. 塩化第二鉄
 2. 結晶クエン酸
 3. 抱水クロラール
 4. カトウムミョウバン
 5. ヨウ素酸ナトリウム

答え.5
【解説】ヨウ素酸ナトリウムはヘマトキシリンを酸化させてヘマテインにする酸化剤の働きがあります。ほとんどのヘマトキシリン溶液に共通して添加されています。塩化第二鉄はシュモール反応で用います。

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