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【病理学】脱灰液について

 このアカウントでは二級病理検査士や臨床検査技師の資格取得を目標にされている方に向けて、ゴロや表など交えながらわかりやすさを意識して情報を発信しています。

 今回は脱灰液についてまとめていきたいと思います。

 【迅速脱灰法:プランク・リクロ法】

 プランク・リクロ法は脱灰速度が速く、脱灰後の染色性も障害されにくいという特徴があります。国家試験でもよく出題されますし、私の検査室でも使っている脱灰法だったりします。
プランク・リクロ法の組成を覚えておきましょう。

 【プランク・リクロ法の組成】
  ▶塩酸
  ▶ギ酸
  ▶塩化アルミニウム

 【ゴロ:フランクな演技でええんか?】
フランクな(プランク・リクロ法)演(塩酸)技(ギ酸)でええんか?(塩化アルミニウム)

 【無機酸による脱灰】

 ▶プランク・リクロ法
 ▶硝酸
 ▶塩酸

 【脱灰後の処理】
 ▶5%硫酸ナトリウム溶液に入れて中和(12時間前後)し水洗する。

 【有機酸による脱灰】


 ▶トリクロル酢酸
 ▶ギ酸
 
 【脱灰後の処理】
 ▶水洗を行わずに70%アルコールに入れる。
脱灰に使う有機酸はカルボキシル基(COOH)を含むカルボン酸を用います。

 【中性脱灰液】


 ▶10%EDTA溶液
EDTA溶液は時間はかかりますが、染色性は良い脱灰法です。
30℃で脱灰し、中和操作が必要ないのが特徴です。


 【脱灰液の注意点】

 簡単に表にまとめてみました

酸性脱灰液の注意点

 【練習問題】

 Q.脱灰操作について正しいのはどれか。
1.無機酸による脱灰後はアルコールに浸ける。
2.酸性脱灰液を使っている容器は密閉しない。
3.脱灰液に浸けた組織は底に沈めておく。
4.EDTA脱灰液を使用後は中和操作が必要である。
5.脱灰液の液量は組織片の10倍ほどの量でよい。

答え2.

【解説】
1.無機酸による脱灰後は5%硫酸ナトリウムで中和し、有機酸の場合は水洗をせずに70%アルコールに浸けます。
3.脱灰によって溶けだしたカルシウムやリンが液の底に沈殿するので、液下層では脱灰作用が弱まります。
4.EDTA脱灰液は時間がかかりますが、中和操作が必要なく染色性がよいのが特徴です。
5.脱灰液の量は組織片の100倍以上を使い、たびたび新しい液と交換します。


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