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④志望校・併願校の決め方の「軸」を持つためには

 前回は「軸」の重要性、特に受験への恐怖に打ち勝ち、最適な戦略を取捨する役割について説明した。今回はその重要な「軸」を持つためにはどうすればよいのか説明していきたい。

勉強時間を削ってまで自己分析する必要はない

 受験生にとって時間は命である。勉強以外のことに時間を割きたくない気持ちも分かるし、実際無理に割く必要はない。教材を開けないお風呂に入っているときや歩いているときにでも、以下で説明する「なんでだろうの型」を実践してもらえれば自ずと「軸」が見つかる。
受験計画の軌道修正には「なんでだろう」と問え

 ①なんで大学受験をするのか


この文章を読んでいる受験生の中で、「自分が大学受験をする理由」をきちんと考えた人はどれだけいるだろうか。昔に比べ大学へ行くことが珍しくなくなった現代にいるが故、明確に考えている人はなかなか少ないのではないだろうか。


例えば私の場合、「不合格への恐怖で志望校を変更した」と書いた。しかしながら落ちたくないのであれば、はっきり言って最初から受験をしないのが一番である。にもかかわらず私が大学受験を選んだ理由は、「大学へ行く場合の方が行かない場合に比べ就職活動に有利である・生涯収入が平均的に高い」からだ。
ただしこれは大学へ提出するわけではないから、「あの大学に進んだ好きな人を追いかけたいから。」といった少女漫画的下心丸出しの動機でも全く持って問題はない。自分の中で、明確に理解できてさえいればそれでよいのである。


 ②なんで第一志望はここなのか


大学受験する理由が明確になったら、次は第一志望の理由である。この文章を読んでいる人の中で、「偏差値が高いから」「合格できそうだから」「有名だから」という理由で第一志望を決定している人はいないだろうか。確実にいるだろう。もちろん偏差値や知名度も、進路選択の際の重要な項目であることは間違いない。しかし、「その大学で無ければならない理由」も1つは持っていてほしい。むやみやたらに志望校のレベルを落としたり、突如根拠名の無い方向転換をすることが無いようにするためだ。例えば、「日本最高峰だから」「キャンパスが綺麗だから」「憧れの先輩がいるから」「設備が整っているから」など、何でもよい。とにかく志望校を変更したいという衝動にかられた時、変更前と変更後の選択肢を自分の大学選びの基準と照らし合わせて比較するために、この作業は必要である。


③なんでその入試方式を使うのか


 これも重要な「なんでだろう」である。一般入試か推薦入試か。一般入試の中にも全学部統一入試やセンター利用入試など様々ある。推薦入試の中にも総合型選抜入試や学校推薦型選抜入試がある。それぞれにメリット/デメリットあるわけで、それらの特徴を理解しないままに他人のマネをするのは危険であり、もったいない。
 例えば、「現役で大学に合格したい」から内定後の合格率が高い指定校推薦をじっくり狙うという作戦、「どうしても○○大学に入学したい」からチャンスを増やすため一般入試のほかに推薦入試の対策もするという作戦、「第一志望に向かうための安心材料が欲しい」から別の大学の推薦入試やセンター利用入試を受験するという作戦など、入試方式によって使う理由は異なる。これを理解する必要があるのは、最適な作戦を立てるためでもあり、また併願校で不合格をもらったとき必要以上に落ち込まないようにするためでもある。

以上のように、「なんでだろう」と自分の決断の動機を自問自答することが重要であり、そうすることで決断の基準である「軸」を自分自身で明確に把握することが可能だ。忙しい受験生でも手軽にできる方法なのでおすすめだ。朝礼で校長先生の顔を見ながら、ご飯を食べながら、「なんでだろう」と口ずさむことを推奨する。

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