【知りたい教育の基本の”き”】outputの前にintake を。

インプット、アウトプット。
誰もが一度は聞いたことのある言葉かと思います。

定期試験の直前や受験を控える学生時代。
また、支える世代になってから。

ビジネスの場面でも耳にするこの言葉ですが正しく理解できていますでしょうか。

結果として求められるものは「アウトプットの質」だと思います。

それに対してインプットは「量的」な考え方をされることが多いように感じます。

「どれだけインプットに費やし、アウトプットの質を高めるか」

こういうとなんとなく聞こえは良くて、「確かに!」なんて頷いてしまいたくなります。

でも、よく考えてみると。

そもそも質と量って相反する意味合いで用いられることが多いものですよね。

ご飯で例えるとわかりやすいでしょうか。

お高いレストランで質を求めるのか、それとも安くてもお腹いっぱい食べたいのか。

こう見ると先ほどのごっちゃになった文章はすごく不自然に見えてきます。

【intakeの考え方】(※以下、「インテイク」)

それでは、実際にどのように考えるべきなのか。

インプットが量的に見られる理由のひとつは「勉強には時間をかけるもの」という固定観念が背景にあります。

1時間勉強しているという子と5時間勉強しているという子がいたら、褒められるのは後者がほとんど。

そして、テストでわかるようにアウトプットは結果論的に見られるので、「点数」という目に見えてわかるかたちで質を求められます。

ではその両者の質と量を担保する考え方はないのか。

それが「インテイク」なのです。

〈インプット→インテイク→アウトプット〉と段階を踏めると良いですね。

それぞれに役割があり、本来的な定義は一旦置いておきまして、より実用的で"manabiya"としての考え方をお教えいたします。

インプット:情報を正しく捉えることができている状態

インテイク:捉えた情報を自身の言葉=知識として考え、落とし込む過程

アウトプット:知識として持ち、正しく活用することができている状態

現状はこのように定義しています。

【閑話休題】

少し話をそらしまして、学校での思い出話をば。

よく「ちゃんと理解しているか?」という言葉を聞きませんでしたか?

ここでいう理解。この言葉、実は非常に曖昧なものです。

例えば数学。

ものによっては先生でさえも本当の意味で正しく証明できないものが存在します。

それも「理解」と言います。

公式自体は覚えていて、概ねの問題は解ける。

これも「理解」と言います。

そういう話をすると「問題の演習量が足りない」と言われます。

果たしてそうなのでしょうか。

実際ここまでの「理解」という言葉に含まれる意味合いですれ違うもの。

「理解」は「記憶として正しく定着している状態」と「その情報を正しく活用する能力」というこの二つで概ね構成されます。

つまり、本当に聞くべきことは「定着率」と「応用力」のどちらの軸でぶれているのかということ。

これだけでも大きく変わってきますよね。

【インテイクの位置付け】

つまり、何かを覚えるということだけでは当然記憶に「定着」はしづらいものですし、それを活用する「応用力」は鍛えられません。

また問題演習を「アウトプット」とするケースがありますが、これはありがちなミス。

目的を見失っている状態です。

「テストで高得点をとる」というのがゴールであるならば「アウトプット」はそこに向くもの。

問題演習は自分自身の言葉として基礎を用いて問題を解くことで、記憶への定着を図るひとつの手段です。

つまりここが「インテイク」のパートになるということですね。

【実践を見据えた演習方法】

言葉はご理解いただけたかと思います。

それでは最後にどのように「インテイク」を組み込んでいくのかをお教えいたします。

今回は試験対策を例にとり考えていきましょう。

基本的には「記憶定着パート」と「応用力パート」の二つの軸で考えていきます。

◎記憶定着パート

まず試験範囲のページ数と期間を確認します。

例えば20Pだったとして、試験までの期間が10日だったとしましょう。

単純計算をしますと1日あたり2Pをこなせばとりあえず1周できます。

よほどでない限り不十分であることは想像に難くないでしょう。

じゃあ100周!となると他の科目もあるでしょうから現実的に5〜10周を目安に考えます。

10周するとする場合、単純計算で20Pずつやらないと終わらないのでは?と思ってしまったらちょっとお待ちを。

経験の中で1周目より2周目、2周目より3周目の方が早くなりますよね。

また、忘れることの内容なことや覚える必要のない部分もつきものです。

ですから、1周目でやるべきことは「記憶する必要不必要の仕分け」も必要です。

そうすることでより一層高回転で繰り返すことが可能になります。

あと「1Pあたりどのくらいの時間がかかるのか」ということと「繰り返したときの漏れの多さの割合」で時間を考えられるようになります。

◎演習パート

まず考え方として「記憶の漏れがないか」を考えることが重要です。

問題演習でも「解ける」ということに着目するよりも「どこをどういう風に間違えているのか」を理解しなければ意味がありません。

そして間違えている箇所に関して該当するものをピックアップし、周回の際により一層気をつけて覚えられるようにします。

その炙り出しのための問題演習であると考えると良いです。

この二軸を併せてインテイクしていくことで、アウトプットを見据えることができます。

サラリーマンでスラありがちな、目的を目的化してはいけないということです。

【まとめ】

・インプット→インテイク→アウトプット

・アウトプットを試験として正しく考え、そのための周回と質とを担保する

正直この二つに尽きるところですね。

学習の効率化や時間の考え方、モチベーションの上げ方等多くの付随事項が出てくるかと思います。

それぞれ別の機会でまとめさせていただきますので、簡単ですが今回はこのあたりで。

結局のところ試験勉強は「作業」だということですね。