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2020/9/15ヤンゴンレポート

Yangon,Japan Medical Centreの井上院長のレポートです。

ご参考迄。

Yangon Japan Medical Centreの井上です。

9/15現在のヤンゴンにおける新型コロナ肺炎に関する情報をお届けします。

9/15 8:00am現在でミャンマー全体の患者数は3299名、死者は32名です。
ヤンゴンでの患者の急増がとまりません。あまりに患者数が多くなりすぎたので患者の詳細の発表がされなくなりました。総数だけの発表です。もう隔離中とか市中感染とか区別できない状態になっているということです。
ヤンゴンの感染者数の推移はグラフの通りです。なぜか1日おきに少なくなって期待をもたせて裏切ります。

コロナによる死亡者は第2波が始まるまでずっと6人で止まっていたのに最近2週間で26人増加です。少し検討してみました。

死亡者の詳細     基礎疾患
#2504  70歳 男性 高血圧、 北オッカラ病院
#1987  72歳 男性 糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、
#2848  59歳 女性 糖尿病、高血圧、慢性腎疾患、C型肝炎 北オッカラ病院
#2827  66歳 男性 喘息、高血圧、C型肝炎 東ヤンゴン病院
#2828  84歳 女性 糖尿病、高血圧、虚血性心疾患
#2308  67歳 男性 高血圧、虚血性心疾患
#1351  50歳 女性 糖尿病、高血圧、虚血性心疾患
#2847  80歳 男性 虚血性心疾患
#2463  75歳 男性 脳梗塞 ラカイン州
#2324  69歳 女性 糖尿病、高血圧、虚血性心疾患
#1997  51歳 男性 C型肝炎、肝硬変 Phaung Gyi Hosp
#2126  76歳 女性 糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、脳梗塞
#2429  74歳 女性 糖尿病、菌血症
#2064  90歳 女性 虚血性心疾患 Webagi Hosp
#2523  75歳 男性 C型肝炎、菌血症 YGH
#2260  90歳 女性 高血圧
#2351  70歳 男性 糖尿病、高血圧、虚血性心疾患、慢性腎疾患 YGH
#2165  32歳 女性 SLE(膠原病) 慢性腎疾患

今までの32名の死亡者の平均年齢は66.3歳でミャンマーの平均寿命66.8歳(2018)とほとんど変わりません。何も基礎疾患のないのは#885(51歳)の一例のみです。基礎疾患が高血圧だけしかない人の死亡者は3例で90歳、70歳、47歳です。
何も基礎疾患のない人、高血圧だけの人はまあほぼ大丈夫かなといったところです。
ミャンマーの糖尿病はコントロール不良が多いとはいえ死亡者32名中18名が糖尿病持ちでかなりのハイリスクです。糖尿病のある方は十分気を付けてください。
虚血性心疾患、慢性腎疾患、C型肝炎(肝硬変)などがある人はもともとかなりのハイリスクですから帰国を検討してください。

隔離施設

患者の急増に伴い、濃厚接触者などの要隔離者もどんどん増えています。ヤンゴンでは昨年9月に日本代表とサッカーの試合をおこなった競技場に臨時隔離施設を仮設中です。(ここに入れられたくはありませんね)

PCR検査

現在一日あたり4000件以上のPCR検査を行っていますが、感染者の急増に検査能力が不足しているようです。9月に予定されていた日本からの救援便が検査余力の不足を理由に中止になりました。
ヤンゴン市内にはPCR検査ができるところが4か所あるそうです。1か所は国立感染症研究所(NHL)で、血液センターにもあるらしいです。輸血のウイルスチェックは必要ですから当然です。NHLは現在24時間体制でPCR検査をしているらしいですが、飽和状態らしいです。あと2か所は軍にあるらしいですが、ここがフル稼働するかどうかは政治問題のようですね。

管区閉鎖

ミャンマーは国境だけでなく各管区間も交通を遮断してしまいました。うちのクリニックの検査機器の検査試薬がコロナのせいで配送できないといわれましたが、なんとか別ルートで調達しました。ミャンマーでの病院の検査機器はロッシュが大きなシェアを占めています。ロッシュの話によると地方の病院で検査機器が壊れても係員がロックダウンに阻まれて修理に出張できないそうです。結局地方では検査ができない状態になっているところがあるそうです。そんなのなんとかできないのでしょうか。政府のお偉方お願いします。


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