物価について:前半
日本の物価は今上がっている印象があると思います。同様に欧米諸国、特にアメリカの物価高は目を見張るものがあります。ただし、物価上昇の規模だけでなく、根本的に日本とアメリカではその性質が全く異なっていることを皆さんはお気づきでしょうか。
まずはアメリカの物価高について考えてみましょう。アメリカはこの何十年もの間、ずっと物価も株価も上がり続けてますね。特に2020年からはコロナの経済対策でケタ違いのドルがばら撒かれました。それによって、モノの値段や株価はもちろん、雇用や賃金も併せて上昇していったと言えます。
ただし、無尽蔵にお金を出すことでインフレに歯止めが効かなくなることは避けなければなりません。緩めた蛇口をそのままにして水が溢れてしまう前に、蛇口を閉め、水浸しになった状態から水分を吸い上げる必要が出てくるというわけです。それが利上げという政策です。アメリカはこの1年半程で急ピッチに政策金利を上昇させていきました。
それでも物価も雇用も賃金も強い状態のアメリカはしばらくの間、蛇口を閉めた状態をキープ、つまり高金利の状態を維持しながらインフレが落ち着くのを時間をかけて待つ必要があります。
同じお金を預けておくにしても、金利が高い方が良いに決まっています。ここまでの話はつまり日本円を持つよりドルを持っていた方がお得だということです。それは円を売ってドルを買うということですから、必然的に円安が加速することになります。
さて、日本に目を向けてみます。アメリカを中心とした欧米諸国の利上げラッシュによる円安の加速に相まって、戦争による資源高、エネルギー高というダブルパンチをくらい続けることになりました。輸入品は当然高くなりますし、資源、エネルギーもほぼ輸入だから、それらを使って製造したり運んだりする商品やサービスも高くなります。つまり、ほぼ外的要因のみで物価高になっているのが今の日本です。
日本は黒田日銀総裁になってからずっと金融緩和を続けています。そもそも金融緩和って何なのでしょう。簡単に言えば出回るお金を増やすことです。より多くの人が銀行から融資を受けて経済活動をアグレッシブに行えるようにし、出回るお金を増やす経済対策です。金利が高いと返すお金が増えてしまうので、金利が低いに越したことはないわけです。だから金融緩和=利下げとなるわけですね。
重要なのはここからです。
その融資金はどこから出てくるのかという疑問が湧きませんか。銀行が預かっている預金を使って融資していると思っていませんか。違います、融資金は無から生まれます(預金の1割程度は準備金とするらしいですが)。これを信用創造と呼ぶそうです。もちろん融資金は返済義務がありますから、出て行ってそのままというわけではないです。返済するにも金利が高いと融資を受ける側も困ってしまいます。だから金融緩和が必要なんですね。でもかれこれ10年くらい金融緩和続けているのに、出回るお金が増えて給料が上がるどころか、上がるのは物価と出費だけって何なん?て思いませんか。実はこの期間もう一つ上がっているものがあるんです。そう、税金ですよ。消費増税だけでなく社会保険料まで上がって、挙句インボイスとか訳わからん外来語使って零細企業からも搾り取ろうとしてますよね。
どなたかがアクセルとブレーキ同時に踏んでるようなもんだと仰ってましたが、金融緩和していても同時に税金上がって個人も企業も使えるお金の量は増えてないんです。こんな干からびた状態から賃上げ要求というのは世紀の愚策と言わざるを得ません。先にやるべきは減税なんです。
国の借金とか、何やるにしても財源が足りないから税金で賄わなければという理論がありますが、それは間違ってます。次回はそれについても触れてみようと思います。
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