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The Rip Chords『Hey Little Cobra』(CALIFORNIA STC 8951 )

誰ですかあなたたちは?

 ビーチ・ボーイズ、ジャン&ディーンに続くサーフィン&ホットロッドのグループ、リップ・コーズのベスト・アルバム?のようなのですが……実はこれ、CBSから彼らがリリースした2枚のオリジナルアルバム(それしか出ていない)、『Hey Little Cobra』『Three Window Coupe』からそれぞれ数曲カットして、AB両面に押し込んだアルバムです。

ますます「誰ですか???」なアー写。サーフィン&ホットロッド感が全然ない


 A面はアルバム『Hey Little Cobra』からビーチ・ボーイズのカヴァー「Little Deuce Coupe」と、お手軽なインスト「’40 Ford Time」、ジャン&ディーンのカヴァー「Drag City」の3曲をカットした9曲。ビーチ・ボーイズのカヴァー「409」「Shut Down」は原曲よりも勢いがあって素晴らしいです。タイトル曲はもちろん最高。後に大滝詠一さんが「Cobra Twist」でそのまんま引用したアレです。

 B面はアルバム『Three Window Coupe』から、まったりした「Old Car Made in ‘52」、ジャン&ディーンのカヴァー「Surf City」、エレキインスト「Big Wednesday」をカットした9曲。一応捨て曲っぽいものをちゃんと選んでカットしているみたいです(もちろん全部聴けるに越したことはないのですが)。

 で、結局これはどういうレコードなのか。イタリア盤であるということ以外は何もわかりませんでした。CALIFORNIA RECORDSというレーベルもこれ以外特にリリースがないようです。こうなるとほとんどもう海賊盤に近い自主プレスなのではないかという疑惑が浮かびます。ヨーロッパの著作権の法律をかいくぐったCDがたくさん存在しているように、スキをついて出てしまったレコードがオールディーズにはけっこうあるような気がします。

 裏ジャケットにある解説らしき文章は、オリジナル盤の『Hey Little Cobra』の裏に掲載されていたものをそのまま転載したもので、この盤と内容が合わなくなっています。しかも、レコーティングに関して言えばブルース・ジョンストンテリー・メルチャーの「ブルース&テリー」がサウンド・プロデュースから歌唱までをガッツリ手がけていて、人前に現れヒット曲を歌うリップ・コーズのメンバーは影武者に過ぎなかった、というのはマニアにとっては周知の事実です。「The Rip Chords as Touring Group(ツアー用グループとしてのリップ・コーズ)」というキャプションがまぁ切ないこと……自分の勉強も兼ねて訳しておきますね。

Like man, here's an albumful of the new, "something else" music that's currently exciting the imagination and enthusiasm of young hot rodders across the land.
どうですか。これがアルバムでいっぱいの新しさ、エキサイティングな想像力と大陸をかける若きホットロッダーたちの熱狂。これが現代における新しい”もう一つなにか”の音楽です。

It's inspired by the sounds of asphalt-searing drag races, and it's performed by a bright, hip group known as The Rip Chords. These Southern California singing, swinging dragstersーーPhil Stewart, Arnie
Marcus, Rich Rotkin and Bernie Bringas-have appeared together for the past couple of years in California clubs and are soon to go on a national
tour. In addition to their biggest hit, Hey Little Cobra, you'll find such tunes from the thrill-packed hot rod world as Here I Stand, 409, Gone, Shut Down and Drag City.

ドラッグレースでアスファルトを焦がすサウンドにインスパイアされ、明るくヒップなグループとして知られるリップ・コーズによって演奏されています。彼ら南カリフォルニアの歌ってスウィングするドラッグスターズ……フィル・スチュワート、アーニー・マーカス、リッチ・ロトキンとバーニー・ブリンガスは数年前にカリフォルニアのクラブに登場し、すぐに国内ツアーに出ることになっています。そして彼らの最大のヒット曲「Hey Little Cobra」に、「Here I Stand」「409」「Shut Down」に「Drag City」といった曲から、スリルが詰まったホットロッドの世界を見ることになるでしょう。

If you're thinking this is For Hot Rodders Only, forget it; it's for anyone who likes wide-open, high-riding, big-beat music as fast-paced as the slick Ford
"Cobra" pictured on the album cover!
もしこれがホットロッダーだけのものだと思うのならそれはお忘れください。広く開かれ、高く乗り、アルバムのジャケット写真にあるフォード「コブラ」のように、早いペースのビッグ・ビート・ミュージックが好きな人のためのものです。

LP「Hey Little Cobra」裏ジャケットの解説

 2枚のアルバムをちゃんと買うに越したことはないですが、手頃なお値段とコンディションで見つかることもなかなかないですから、こういうものが1枚あると便利ですよね、という盤でした。

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