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亀井信夫とザ・スペイスメン『ハワイアン・サーフ・ギター』(TOSHIBA TP 7062)

ハワイアンなのにサーフ・ギター……いったいどういうことなのか?

 一部ではジャパニーズ・ガレージの誉高いエレキインストバンド、ザ・スペイスメンのアルバムです。ハワイアンといえばあのまったりとしたムードの音楽を思い浮かべますが、それをスペイスメンがサーフィン・サウンドでもってやるというのですから、まったりしたものになるはずがありません。

表裏で波の写真が繋がっています。ダイナミックな構図で良いですね

 結論から言うと、彼らがビクターからリリースしていた一部の作品ほどぶっ飛んだ演奏をしているわけではありませんが、エレキインストものとしては十分に楽しめるレコードになっております。アップテンポにアレンジされた「ブルー・ハワイ」がなかなかの出来。おなじみのハワイアン・ソングをごきげんなエレキインスト・バージョンで聴かせてくれるアルバムです。

「この演奏を聞いたらアストロノウツやベンチャーズが廃業を宣言するだろう」は言い過ぎ

 見開きジャケットの解説に沿って、演奏メンバーを書き出していきましょう。
ギター:田代久勝、稲毛富士夫
ベースギター:原田良一
エレキベース:平野忠宏(ベースギターとどう違うのか?)
ドラム:堀直昭
エレクトーン:池野成秋
スティール・ギター:橋爪樫男(ゲスト)
 この中ではとくにエレクトーンの方が良い仕事をされていました。この時期でしかあり得ないあの音色、たまりません。アレンジャーとひて歌謡曲のレコードでもよくお名前をお見かけする原田良一さんは、元スウィング・ウェストだったのですね。このレコードは1965年ごろのものなので、バンドがGS化して「恋のジザベル」「雨のバラード」などを歌うよりもまだ全然前の話です。

 「タ・フワフワイ」というハワイ民謡はのちにウクレレ漫談の牧伸二「あゝやんなっちゃった」という歌詞のネタで一世を風靡したあの曲です。あのおなじみのメロディがロックのリズムで飛び出してきたのでこれはビックリしました。ラストでしっとりと締める「アロハ・オエ」以外は基本的にすべてアップテンポでした。

 こういうオシャレな絵はいったい誰が書いているんでしょうか。もちろんノンクレジットです。

 そして東芝のレコードといえば「赤盤」「エバーグリーンレコード」のマークが大きくレイアウトされていました。改めてみるとこの筆記体のデザインもオシャレですね。

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