見出し画像

少年は、まだ、生きていて


ふと、作品の山の高さを見てみた
幻想文学の短編にしぼって書き始め、今年で四年目になる。作品が書き上がるたび、和綴本にしては店の片隅に積み上げつづけてきた

どれくらい積み上がったか
ちょっと見てみたのだ

紅茶を淹れるのに使っている1080cc入るポットの背丈を、いつの間にか追い抜いていた。初めは6冊しか並んでいなかったが、いつの間にやら積み上がった本の冊数は48になり、書いた総ページ数は1280を超えた

けれど感覚としては、まだ48冊……
100作品は、意外に遠いものだなと思った


優しい言葉の雨の中で
涙もとかして流せたらなあ
片付け中の頭のうえに
こんなに容易く日はのぼる

優しい言葉の雨は上がる
他人事のような虹がかかる
なんか食おうぜ そんで行こうぜ


これまでの人生
色んな言葉の種をもらってきた
それがつぎつぎに芽吹き始めている。たぶん忘れてしまっている、取り落としたものもあるのだろうけれど、それはまあ仕方がない
申し訳ないけれど

いまだに心へ突き刺さったまま、痛む言葉もある。深く根を張ってしまっているのだろう
それだって芽を出し、花を咲かせるか

サバンナの皆んなに嫌われた、寂しがりだ
ラフメイカーに出逢えたのは幸運だった。寂しがりだが、ラフメイカーを兼ねた花咲か爺さんになりたい、なんて思い始めるこの頃である

この1280ページに散りばめられた言葉の種
たとえ一人にでも、その人生の旅路に持って行ってもらえたら嬉しいなと思う。それがいつしか芽を出し、花を咲かせ、実を結べば更に良いなと思う。そして果実には、たくさん種が詰まっていて、それをまた、別の誰かが、と、そんなふうに人間の歴史みたいに、続けばいいなと

おこがましくも
そんなことを考えている

四年分の、自分の言葉を、見つめながら
少年は、まだ、生きている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?