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小野郁という選手について


 はじめまして、mana(@mana_lotte26)と申します。note作成は初めてになります。どうかよろしくお願い致します。

 ※本noteでは、やまけん(@yam_ak_en)さんの小野郁選手に関するnoteの内容を度々援用させていただいています。

 ※本noteで扱う小野選手の成績や指標については、全て「データで楽しむプロ野球」様から引用させていただいています。


小野郁Ver.2020

 2019シーズンのオフに人的補償としてロッテに加入した小野選手。翌2020シーズン、リードはしていながらも先発が早い回で降りたときの6回を投げたり、BチームではありながらもAチームメンバーの連投が嵩んでいる時の代役勝ちパターンを担ったりするなど、彼自身にとって飛躍の年となりました。冒頭で取り上げたnoteでは、やまけんさんはその要因を
 ①ストレートの球速の上昇と被打率の低下
 ②スライダーの有効活用。サードピッチとしてのフォークの確立と対左打者被打率の低下
であると推察していました。
 この2020シーズンの飛躍を受けて、2021シーズンは更なる活躍を期待していた方も多いのではないでしょうか。澤村選手のMLB移籍や、当時勝ちパターンを担っていたハーマン選手もアスリートとしてはかなり年齢のいっている選手だったこともあり、私自身も小野選手には大きな期待を寄せていました。

小野郁Ver.2021

 2020シーズンを受けて更なる活躍が期待された2021シーズンですが、数字としては2020シーズンと並ぶような成績ながらも、順調なステップアップというわけにいかなかったという印象を持っておられる方も多いのではないでしょうか。本項では、その要因を探っていきます。
 やまけんさんのnoteの中では、2020シーズン終了時点での小野選手の課題点についても触れられていました。
 ①被安打が特別多いわけではないが与四球が多く、出塁を許す機会が多いため結果として防御率がリーグ平均よりも高くなっている
 ②他のセットアッパーやクローザーに比べ奪三振能力が低く、支配力に欠ける
 
この2点が課題点とされていましたが、では2021シーズンはこれらの課題点は改善されたのか。もしくは現状維持だったのか、悪化してしまったのか。前述の良かった点とも合わせて、両年を比較して考えていきます。

Ⅰ 被打率・与四球率

Ⅰー1 被打率
  総合の被打率と球種ごとの被打率を図1に示しています。

図1

 被打率だけを見たとき、ストレートはほぼ変化なし、スライダーは微良化、フォークは悪化、総合的には被打率は良化したことが見て取れます。これだけを見ると、2021シーズンにおいて2020シーズンに並ぶような最終成績を出したことも納得できます。

Ⅰー2 与四球率
 2020シーズンのBB/9が4.15に対して、2021シーズンは4.53と悪化しています。特にストレートを投げての四死球数が、2020シーズンでは11個であるのに対して2021シーズンでは21個とほぼ倍増しています。登板数に10試合ほど差があることを考えたとしても、ストレートの制球にかなり苦しんだと考えられます。

Ⅱ 奪三振率

 奪三振率については、2020シーズンが7.38であったのに対して2021シーズンは9.75となっています。2020シーズン終了時点で課題だった奪三振率については改善されているということが分かります。
 特にスライダーで奪った三振の数について、2020シーズンでは15個であるのに対して2021シーズンでは35個にまで増えています。空振り率も9.39%から16.31%に良化しており、前述のとおり被打率もわずかながら改善されているため、2021シーズンを通して、小野選手にとってはスライダーが一番自信を持って投げることができた球種なのではないでしょうか。

Ⅲ 対左打者

 2020シーズンの活躍の理由の一つとして、対左打者被打率の改善が挙げられていました。2020シーズンでは.222だったのに対して2021では.188と、飛躍の要因となった部分をさらに改善させています。右打者に対しても.224から.221と悪化しているでもなく、前述の奪三振率の向上も相まって着々と支配的な投球ができるようになりつつあると考えられます。

 ここまでを通して、小野選手の2021シーズンにおいては
 ①被打率は良化した一方で与四球率は悪化しており、特にストレートの制球に苦しんだ
 ②奪三振率は改善しており、特にスライダーでの空振り奪取能力が向上した

という2点が見えてきました。

Ⅳ 投球割合の変化

 やまけんさんはnoteの中で小野選手のフォークについて

”そして、それ(=スライダーの良化)と同じくらい大きかったのが、フォークの存在です。上述の通り、小野投手といえばストレートとスライダーの印象が強いかと思いますが、昨年の小野投手を語る上でフォークは避けては通れないボールだと自分は思います。”

と述べています。スライダーが悪い時にはフォーク(逆もしかり)とするくらい、小野選手にとってフォークは重要な球種になっていました。対左打者の被打率が改善したのも、このフォークをサードピッチとして確立でき攻め方のバリエーションが増えたからだとやまけんさんは推察しています。 
 しかしながら、2021シーズンはそのフォークの使い方に変化がありました。図2ーa,図2-bにそれぞれ2020シーズンと2021シーズンの投球割合のグラフを示しています。(グラフは「データで楽しむプロ野球」から引用)

図2-a 2020シーズン
図2-b 2021シーズン

両グラフを比較してわかる通り、フォークの割合が激減しています。そして減った分がそのままスライダーの割合になっているような形です。スライダーが使えないときの生命線となっていたフォークの割合が激減しているため、2021シーズンはほぼストレートとスライダーのツーピッチであったことがわかります。
 2021シーズンは最初からフォークの割合を減らそうとしていたわけではありません。むしろ、シーズン直前の段階ではフォークにも力を入れていたことが分かっています。

 元々力を入れていた球種をシーズンに入ってほとんど投げなくなってしまった理由については、私が調べた限りでは明らかにできていません。2021シーズンのフォークについての小野選手のコメントが出ている記事などがありましたら、教えていただけると幸いです。
 私個人の推測としましては「オープン戦で力を入れていたが前年ほどの完成度に達することができなかった。自信のないまま使うくらいなら、もういっそ頻度を減らして自信のあるボール(=スライダー)を主体に組み立てようとしたのではないか」と考えました。前述した2021シーズントータルの数字を見てもスライダーで打者を圧倒できているというのもあり、推測の域を出ませんが、おおよそこの考え方になるのではないかなと思っています。

小野郁Ver.2022

 2022シーズンの小野選手はオープン戦から結果を残しており、勝ちパターン入りとはいきませんでしたが、本note作成時点(5/12)では防御率0.73非常に安定したピッチングを披露してくれています。まだシーズン序盤で登板数が少ないため参考程度にはなりますが、被打率は.125、BB/9は2.92と、課題点を克服しつつ強みも維持できています。奪三振率は8.03と2021シーズンよりも三振が取れなくなっていますが、これは小野選手自信の考え方の変化によるものであり、ストライク先行で勝負できている要因でもあるため、私個人としては心配はしていません。(とはいえ、近い将来勝ちパターンやクローザーとなるにあたっては三振を奪うという点は追い求めてほしい部分ではありますが)

 記事内でも言及されていますが、2022シーズンに入ってまた小野選手の投球の組み立てが変化しています。図3に5/12現在までの投球割合のグラフを示しています。

図3

スライダーの扱いについては、記事内の小野選手自身の「早いカウントで勝負がついていることが多いのかなと思いますね。初球の入りであったり、まっすぐを待っているバッターに小さいスライダーを投げて打ち取れている」というコメントからグラフ内の”スライダー”が速いスライダー、「空振りを取りたいときにちょっと大きめに縦気味に落とすような感じで投分けていますね」というコメントからグラフ内の"スラーブ"が縦のスライダーに該当すると考えられます。
 前年のオープン戦では力を入れて取り組んでいたフォークは、今年のオープン戦では2球しか投げていません。基本的にストレートと2種のスライダー、そしてチェンジアップを試験的に投げている印象でした。そもそも私がこのnoteを書こうと思ったのも、小野選手が前日5/11の試合でチェンジアップを数球投げていたことに非常に興味を持ったからです。僅差でリードしているゲームで相手打線が浅村-島内-マルモレホス-黒川と好打者が並ぶ中でお試しで投げるようなものとは思えず、チェンジアップも本格的に使っていってるんだなと感じた登板になりました。実際に今シーズンの投球割合を見てもチェンジアップは全体の7.41%を占めており、2020シーズンのフォークほどの割合ではありませんが、それでもストレートと2種のスライダーを軸にしつつもチェンジアップも効果的に使っていこうとする意図が見えているのではないかなと思います。

終わりに

 いかがだったでしょうか。現在素晴らしいピッチングを継続している小野選手がチェンジアップを投げている姿を見て「そういえばやまけんさん前にnote書いてフォークが重要みたいに書いてたな。今チェンジアップ投げてるけどどうなんだろ」のようにふと疑問に思ったのを発端として、小野郁という選手の変化を時系列に沿って考察してみました。
 自分の主張など持てたらよかったのですが、このnote作成を通して私が小野選手に抱いたのは「小野郁という男はここからどう進化していくんだろう。」といったワクワクした感情のみです。noteとしては不適なのかもしれませんが、本noteの内容が今後皆様が小野選手の登板を見る際の一助になれば幸いです。


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