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「イスラエルとロシアの未来」(フォーリン・アフェアーズ・リポート2024年4月号)一言感想

グローバリスト側の主張を確認するために読んでいます。私は、”行き過ぎた”今のグローバル資本主義には反対で、各国家の主権を尊重することを支持します。


イスラエルとロシアの未来

①イスラエルの自滅を回避するには - 紛争管理からパレスチナとの共存へ

アルフ・ベン ハアレツ紙編集長

イスラエルのジャーナリストで、ハアレツ紙の編集長のアルフ・ベン氏による、ネタニヤフを批判し、和平プロセスを進めようよいう論文。

序文抜粋『
ネタニヤフが示した司法改革法案によって、ガザ戦争前の段階で、イスラエル国家は分裂しかねない状況に追い込まれていた。戦争が終われば、この国内状況が再び出現するだろう。パレスチナをめぐっては、ネタニヤフのように「パレスチナを永遠に占領できる」と考えるのか、それとも「共存が必要」とみなすかが、今後問われることになる。「紛争管理」と「草刈り」が今後もパレスチナ問題に対処する政策であるなら、占領、入植政策、強制退去がさらに続く。しかし、このやり方は、さらなる大惨事を招き入れるだけだ。安心して生活し、尊重し合える共存を望むのなら、イスラエルはパレスチナ人に手を差し伸べ、ともに協力していかなければならない。

中東問題は難しく、何が真実なのか分かりませんが、平和を推奨する論文は大歓迎です。

②イスラエルはどこに向かうのか - ネタニヤフとの決別を

エフード・バラク イスラエル元首相

1999年7月6日 – 2001年5月7日にイスラエルの首相を務めた、エフード・バラク氏の論文です。

抜粋『
イスラエル人は3つの基本的事実を受け入れなければならない。
①ハマスがイスラエルを脅かすことも、ガザを支配することも許されないこと
②イスラエルは長期にわたってガザにとどまるべきでなく、
③ガザ住民は現地にとどまり、どこにも移動を強制されないことだ。

③プーチンとロシアの未来 - 浪費される資源と帝国の野望

アンドレイ・コレスニコフ カーネギー・ロシア・ユーラシア・センター シニアフェロー

ロシア(=プーチン)を、「ノーマルで無い」と批判する論文。私は、著者の主張する「ノーマル」は西側にとってのノーマルに過ぎないと思います。ロシアのノーマルはロシア人が決めることであり、もちろん侵略は非難すべきですが、他国(西側)の内政干渉も非難の対象であると考えます。

抜粋『
プーチンは近代化に価値を認めていなかった。だから、近代化がうまくいかないと感じると、代わりに伝統主義と脱近代化を意識的に選択した。

筆者は否定的に書いていますが、これも、他国がどうこう言って干渉するものでは無いと思います。


ビジネスと地政学

④ビジネスエリートの地政学 - 企業と外交政策

ジャミ・ミシック 元キッシンジャー・アソシエイツ会長
ピーター・オルサグ ラザード 最高経営責任者
セオドア・バンゼル ラザード地政学アドバイザリー マネージング・ディレクター

経済競争が外交問題の中核に位置づけられるようになり、企業は地政学に注目するようになったという論文。政府と企業が密接に絡み合う新しい地政学に適応するため、政策立案者のパラダイムシフトが必要 ー 例えば、経済や重要技術を高める必要があるなど ー と主張する。

私は、日本においては、まず内需を重点に国を豊かにし、グローバル経済については、リスク分散として考えたら良いのではと思います。


⑤経済安全保障とラテンアメリカ - 中国に代わるサプライチェーンの確立を

シャノン・K・オニール 米外交問題評議会 副会長(研究担当)

アメリカの、中国に依存しているサプライチェーンを、ラテンアメリカに変えることを提案する論文。

確かに、ChinaやGAFAが世界を席巻するよりも、アメリカ圏、アジア圏、と緩やかに分けて経済活動するというのは、有りな気がします。


思想と世界ビジョン

⑥習近平思想と中国社会 - マルクス主義と儒教の出会い

ラナ・ミッター ハーバード大学 ケネディスクール教授

習近平が、マルクスと孔子(儒教)を統合しようとし、テレビ番組制作などのするなど面白い論文。

論文内で紹介されていた本


⑦文化と民主主義の未来 - 何が人々の世界観を左右するのか

スザンヌ・ノッセル PENアメリカン・センター 会長

文化とプロパガンダについての論文。権威主義国が文化をプロパガンダに使うことを指摘している。色々な国の、文化が政治に与える影響、政治が文化を規制した事例を紹介しており興味深い内容でしたが、下記抜粋より、グローバリスト側の主張だと理解しました。ですので、西側のメディアの偏った(と私は思っている)報道については触れていない論文でした。

抜粋『アメリカでも、政治アジェンダとして文化要因が重視されている。共和党が支配する一部の州では、数千冊の書籍が禁書とされ、学校や大学での教育や学習に対する数多くの規制が提案され、法制化されている。権威主義的衝動が動かした、これらの規制は、人種的マイノリティーや性的マイノリティーに焦点を当てた物語や歴史を「子どもたちを脅かし、価値をゆがめるもの」とみなし、「許容できる社会的価値に反し、国家プライドにダメージを与える」と考えている。』

参考
文明の衝突―再現した「西欧」対「反西欧」の対立構図
サミュエル・P・ハンチントン ハーバード大学政治学教授


Current Issues

⑧ドイツ経済の試練 - 改革を阻む構造的

スダ・デービッド=ウィルプ 米ジャーマン・マーシャル・ファンド ドイツ地域ディレクター兼シニアフェロー
ヤコブ・キルケガード ピーターソン国際経済研究所 シニアフェロー

『経済が停滞しているにも関わらず、厳しい財政ルールと連立政権内の分裂が、ドイツが必要とする規模の改革を阻んでいる。』とし、その解決策をグリーンエネルギーと移民推進としている。
私は、どっちもグローバリストの金儲け案件だと思っています。


⑨ロシア・北朝鮮同盟と中国の立場 - 不安定な権威主義連合の行方

オリアナ・スカイラー・マストロ スタンフォード大学 国際問題研究所 センターフェロー

ロシアと北朝鮮の同盟が、Chinaとの敵対となることを期待する論文。

序文抜粋『
ロシアと北朝鮮の関係が中国を深刻に脅かすようになれば、北京はモスクワと平壌の双方から距離を置くことを選ぶかもしれないし、北朝鮮とロシアを引き離そうとさえするかもしれない。アメリカと同盟国の存在が、冷戦期の中ソ対立を引き起こした大きな理由ではなかったし、それが、次の中露対立の原因にはなることもないだろう。それでも、アメリカと同盟国は、対立を加速するような地域力学を最大限に利用できるはずだ

気になった箇所
抜粋『もちろん、平壌の装備は一線級ではない。砲弾の20%はうまく発射できない不良品だ(ちなみに、アメリカ製の砲弾の故障率は一桁台前半の数字だ)』
・・・アメリカ製の砲弾、結構故障しているんだなあ。

論文内で触れていた、日韓ハイレベル経済協議
外務省 第15回日韓ハイレベル経済協議の開催

https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/pressit_000001_00146.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/0edaf5d09dbbd0497b00b9beb0a0ef8c74f61440


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