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フォーリン・アフェアーズ・リポート2023年7月 一言感想

米を中心とするグローバリスト側の、外交に関する論文集として、の主張を読み取るために読んでいます。


勝利なき戦争と外交-いかにウクライナでの戦闘を終わらせるか

サミュエル・チャラップ(ランド研究所)
・・・大枠は西側理論(ロシアが悪くてウクライナが正義論)ですが、「ウクライナは全ての領土を回復できなくとも、休戦を前提とした終戦」を提言している事が、ちょっと流れが変わったのかなと思えます。あと、ミンスク合意は維持できなかったと書いていますが、維持しなかったのは誰だよ(お前ら=米)、と言いたい。

プーチンの戦争からロシアの戦争へ - プーチンと一体化するエリートと民衆の心理

ユージン・ルーマー(カーネギー国際平和財団)
・・・プーチンを、ヒトラーやニコライ1世になぞられて徹底的に悪者扱いしています。上記の終戦を考える論文の次に、このような論文を掲載するのが面白いですね。

プーチンの心理と世界観- ロシアの核使用リスクを考える

ローズ・マクダーモット ブラウン大学 教授(国際関係論)
リード・ポーリー ブラウン大学 アシスタントプロフェッサー(政治学)
ポール・スロビック オレゴン大学 教授(心理学)
・・・大枠は西側視点のロシア分析だが、「卓越効果=prominence effect」や認知バイアスを用いてプーチンの核使用判断を考察しているのが興味深い。
抜粋「プーチンの心理的特性をめぐる議論の多くは、ロシア大統領が合理的に行動するかどうかをテーマに展開されている。そのテーマは重要だが、ときにニュアンスに欠けることもある。より健全なアプローチは、行動理論や研究を基盤に、核戦争についてのイメージを形作る認知バイアスや心理的病理はどのようなものか、それがロシアの指導者にどのように当てはまるかを問うことだろう。」

現在と1930年代は似ているか- 反グローバル化、経済保護主義、ポピュリズム

マーク・マゾワー コロンビア大学教授(歴史学)
・・・グローバル化の歴史等を次の2つから分析していますが、論文著者の主張は私には読み取れませんでした。
・「冷戦の終結は、グローバル化の始まりであり、少なくとも人々がグローバル化について語り始めたのはこの時期からだ」。1983年、エコノミストのセオドア・レビットがハーバード・ビジネス・レビュー誌で発表した論文(The Globalization of Markets)で、グローバル化という表現を使用したことで、論壇主流派の議論でもこの言葉が用いられるようになった。
・歴史家タラ・ザーラの新著Against the Worldは、グローバル化研究の示唆に富む貢献とみなせる(Against the World: Anti-Globalism and Mass Politics Between the World Wars, W W Norton & Co Inc、2023)

新産業政策の恩恵とリスク- 建設的な国際協調か補助金競争か

デビッド・カミン(NY大学ロースクール教授)、レベッカ・カイザー(フォーダム大学ロースクール教授)
・・・グローバルミニマム課税の推奨という、グローバル企業が法人税をちゃんと支払え、という論から始まっており、それはそうだと思い読み進めました。しかし、補助金撤廃や、クローンエネルギー産業には同盟国にも補助金与える論(<ー国民から金を徴収してグローバル企業に配ろうとしていると理解)や、「フレンドショアリング:全世界ではなく、勝ちを共有する国と貿易する」(<ーロシア外しってことだろと理解)を結論に持ってきているあたり、やっぱり国民を見ていないと思った。大方、今のトップのグローバリスト企業から権力を奪おうとしている別のグローバリストの主張じゃないのか。


アフリカ経済に注目せよ- アフリカが左右するグローバル経済の未来

ジャック・A・ゴールドストーン ジョージ・メイソン大学 教授(公共政策), ジョン・F・メイ ジョージ・メイソン大学 リサーチプロフェッサー(公共政策)
・・・インドの人口増加の理由は出生率の増加では無く、寿命が延びているからである為、労働人口は大きく増加せず、急激な経済成長は望めない。よって、中国の次に世界経済の中心となるのは、インドでは無く出生率の高いアフリカという論。私はこれを、次の金儲けのターゲットをアフリカにする宣言と読み取りました。


インドの台頭は必然なのか- 何がこの国を機能不全に追い込んでいるのか

ミラン・バイシュナフ カーネギー国際平和財団シニアフェロー(南アジア担当)
・・・「India Is Broken」というインド(の指導者)を批判する本についての論文。”「India Is Broken」は欠点も多いが、インドに関する口先だけの一方的な礼賛を正す上で有益な一冊”だそうです。

India Is Broken: A People Betrayed, Independence to Today ー Ashoka Mody

著者のModyは、モディ大統領(Narendra Damodardas Modi)とは違う人です。論文ではどっちもモディなのでややこしい。翻訳がよくないです。

欧米世界とグローバルサウス- 失った信頼を回復するには

デービッド・ミリバンド 元イギリス外相
・・・欧米はダブルスタンダードにより孤立化している、という主張には同意。しかしそう考えているなら何故、国連の仕組みを変えてロシアや法を遵守しない国家(China)に対抗しよう、という結論になるのか。狂っているのか。そりゃ孤立するでしょ。

紹介されていた過去記事


中国のグローバル軍事インフラ- 軍事的影響力を支える港湾ネットワーク

アイザック・カードン カーネギー国際平和財団 シニアフェロー(中国研究)、ウェンディ・ロイタート インディアナ大学 アシスタント・プロフェッサー(国際関係論)
・・・英米が外国軍基地等を利用するのに対し、Chinaは外国の商業港をパワーを行使するという分析。既に、スリランカのハンバントタ港やカメルーンのクリビ港など、外国の29の港では中国企業がすべてのターミナルを運営しているらしい。

追記 8月号記事です

6月号のテスト記事です


fフォートトーク生成「終わりなき戦争」

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