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東京の休日 181〜【ゴッホと静物画】三年ごしのSOMPO美術館(新宿)開館特別企画展!本場オランダからの祝福が眩しくて〜

「ゴッホと静物画ー伝統から革新へ」
2023年10月17日(火)〜2024年1月21日(日)

SOMPO美術館(新宿)


2020年。

その開催が予定されていた
SOMPO美術館開館特別企画展。

ようやくその幕が開かれました。


それにふさわしく
ゴッホのふるさと「オランダ」を始め

ヨーロッパから作品が
多数来日
しております。

とても贅沢な展覧会でした。


さっそく展覧会の様子を
ご紹介してまいります。

まずは
展覧会のタイトル

「ゴッホ」「静物画(せいぶつが)」
それぞれのご説明から。

「フィンセント・ファン・ゴッホ」
(1853~1890)

後期(ポスト)印象派の巨匠と言われる
ゴッホ。

1880年代
(日本は明治時代でした。)
活躍しました。

生まれはオランダの南部
ズンデルト。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《鳥の巣のある静物》
1885年 ハーグ美術館

画家人生の前半を
オランダやベルギー

後半をフランス・パリで過ごしています。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《皿とタマネギのある静物》
1889年1月上旬 
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー


37年間の生涯で
描いた作品は約2000点

世界的に有名な
《ひまわり》は1888年に描かれ
7点
あります。

その一つを所蔵するのが
今回の会場となる
SOMPO美術館です。


「静物画(せいぶつが)」

アンリ・ファンタン=ラトゥール
《花と果物、ワイン容れのある静物》
1865年 国立西洋美術館

花、日用品、楽器、食べ物など
「動かない物」を描いた絵のジャンル

こちらも生まれは
「オランダ」
17世紀のことです。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《りんごとカボチャのある静物》
1885年9月
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー

ただ、この「静物画」、
フランスの中央画壇では
ヒエラルキーの下位に
位置付けられていました。

聖書や神話をテーマとした
「歴史画」が頂点
その次が
「人物画/肖像画」

その下に「静物画」といった具合に。

フィンセント・ファン・ゴッホ《三冊の小説》
1887年1月~2月 
ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム


しかし、これに反するように
「静物画」の価値を高めたのは市民

裕福になった市民が
親しみやすい主題の絵を求めるように
なったのです。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《レモンの籠と瓶》
1888年5月 
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー

教会の壁や天井をおおう
大型の「歴史画」よりも

個人宅に飾ることのできる
小型の「静物画」
に人気が集まります。


このような背景のある
「静物画」。

人物画の画家を目指していた
ゴッホはなぜこれに取り組んだのでしょうか。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《水差し、皿、柑橘類のある静物》
1887年2月~3月 
ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム


その答えを
作品とともに紐解いてまいります。

・油彩の技術を磨くため

フィンセント・ファン・ゴッホ
《麦わら帽のある静物》
1881年11月下旬~12月中旬 
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー

この頃のゴッホは
瓶や壺、果物や野菜、靴、鳥の巣
といったモティーフを

暗い色調で描いています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《鳥の巣》
1885年9月下旬~10月上旬 
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー
フィンセント・ファン・ゴッホ《コウモリ》
1884年10月~11月 
ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム


・色彩の研究のため

フィンセント・ファン・ゴッホ
《カーネーションをいけた花瓶》
1886年 アムステルダム市立美術館

パリに移ったゴッホ。

1886年の夏は
「花しか描かなかった」と語ったほど

お花の絵に没頭します。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《ばらとシャクヤク》
1886年6月 
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー

その理由は
色彩の研究

色彩を自由に組み合わせ、
それが持つ表現力を高めたかった

そうなのです。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《野牡丹とばらのある静物》
1886~87年 
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー


・ゴーギャンとの暮らしに

フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》
1888年11月~12月 SOMPO美術館

その後、パリからアルルへと
移住したゴッホ。

画家仲間の
ポール・ゴーギャンとの共同生活の話は
あまりに有名でしょうか。

それに際しゴッホは
このような言葉をのこしています。

「僕はアトリエを
半ダースのひまわりの絵で
飾ろうと考えている」

「僕らのアトリエで
ゴーギャンが一緒に暮らしてくれるなら
アトリエの装飾をしようと思う
大きなひまわりだけの装飾だ」1888年夏

この《ひまわり》の連作は、
ゴッホの生前から同世代の画家や
批評家の認める代表作でした。




「静物画」なくして
存在しなかったであろう
「フィンセント・ファン・ゴッホ」の傑作の数々。

フィンセント・ファン・ゴッホ
《青い花瓶にいけた花》
1887年6月頃 
クレラー=ミュラー美術館、オッテルロー



ゴッホ作品の宝庫、オランダにあります
「ゴッホ美術館」「クレラー=ミュラー美術館」からも
貴重な作品が来日しています。

フィンセント・ファン・ゴッホ《アイリス》
1890年5月 
ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム

それらのゴッホの色彩が
この三年ごしの記念展を
祝福するかのように輝いていて。

また、
ゴッホが影響を受けた作品も
ゴッホの色彩、表現を受け継ぐ作品も
見ごたえがありました。

ポール・ゴーギャン《ばらと彫像のある静物》
1889年 ランス美術館
エドゥアール・マネ
《白いシャクヤクとその他の花のある静物》
1880年頃ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館、ロッテルダム


時間のゆるす限りまた足を運びたい
名作揃いの美術展です。


写真・文=Mana(まな)

「ゴッホと静物画ー伝統から革新へ」
会場:SOMPO美術館
東京都新宿区西新宿1-26-1
会期:2023年10月17日(火)〜2024年1月21日(日)
開館時間:10:00~18:00
 ✴︎11月17日(金)と12月8日(金)は20:00まで
 ✴︎最終入場は閉館30分前まで
休館日:月曜日(ただし1月8日は開館)、年末年始(12月28日~1月3日)
https://gogh2023.exhn.jp

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