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【就活日記#12】社交辞令

忘れられない面接というものがいくつもある。奨学金をいただくために、もしくは夢を切り売りしてきた間に、色々な面接を受けた。面接というのは、面接中に大体結果がわかる、ような気がする。

私が落ちたことを忘れられない奨学金の最終面接は、ひとつだけ「失敗することが決まっている」質問があったと思っている。それは「失敗すること」が面接官の間で既に決まっていて、それを確認するための会話が一つあった。結果、落ちた。

逆に、私が受かった奨学金は、「ここが決め手になったな」と思った設問があった。それを「他人と差別化するぞ」と思いながら頭をフル回転させ、話し終えた時、確かに面接官の姿勢がふっと緩んだと思ったし、その面接は最後、「これからの日本をよろしく頼みますよ」というすこぶるにポジティブな言葉で締め括られ、その時私は、面接会場で番が来るまでに計算した結果3人に2人が落ちるくらいの難度とわかった最終面接を通ったのだろうな、と思った。結果、通った。あの時の試験官の顔も、微笑みも言葉も昨日のように覚えている。高校生・学部生に出す奨学金にどれだけ未来を期待したものか私にはわからないけれど、やっぱりあの時の言葉が、私の未来をぼんやりと照らしている。

そしてまた、面接を受けまくる日々が来た。海外大生の就職活動というのは、上手くやればウェブテストを飛ばせたり書類選考を飛ばしたりして、その分自分の人柄を見てもらえることがある。もらえないこともあるけど。私の(どちらかといえばこのNoteでは出ないような)素直でクソ真面目なところが伝わればいいなと思いながら話す。

昨日の面接は、多分忘れないだろうな、と思う。面接ルームに放り込まれて、女性の面接官が対応してくれた。ガクチカやら入社後に取り組みたいことやら、いわゆる想定質問の枠を出ない質問に用意した回答を打ち返していく中で、それぞれに話を聞いて、「社会に出た時にこういうところが役に立つと思いますよ」とか、「そういうのって大事ですよね〜」などと相槌を打って、最後にガクチカ関連のエピソードに「頑張ってくださいね、」と応援の言葉がついた。学生の時に頑張ったことは、自分だって無駄だと思いながらやっているわけでも就活のためにやっているガクチカでも無いから(やっていたらガクチカになったわけだから)、そうやって言ってくれるのはなんだか嬉しかった。

就活中の言葉なんて社交辞令なのかもしれないけれど、やっぱりそういう風に真摯に話を聞いてくれるのって素敵なことだな、と思う。就活を始めた時は、「その会社で働いている人の人柄で最後は決めました」という言葉にホントかよ、と思っていたけれど、やっぱり「こういう人がいる会社」は「求める人物像を我々に求めてくるだけの会社」よりも、ずっとずっと働きたいな、と思うのは納得がいく。

就活は1ミリも楽しくなんて無いし、1ミリでも早く終わりたいけれど、学ぶところは多くあるな、と思った。

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