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【日記】ロンドン・キャリアフォーラム

4月の半ばの週末はロンドンキャリアフォーラムだ。Hammersmithの近くでやるので、ヒースローに行く時と同じ地下鉄に乗って会場に向かった。

土曜日は昼から晩まで働いていた。だから翌日になった日曜日は朝早めに起きて、紅茶を飲んでワイシャツにアイロンをかけてベニューに向かう。一つ面談の予定を組んでいただいていたので。

日曜日の朝は春の朝の匂いがした。

ベニューの最寄りの駅にはGail’sがあった。私は勝手に、Gail’sがある街は治安の良い街であると思っている。駅にポンパドールとか成城石井があるとちょっと高級層かなと思うのと同じである。

春の陽気の中のんびり歩く。いや、昨日の夜から(閉店作業をしながら)今朝の電車の中まで頭の中を整理し志望動機を練りながら歩いていたわけだが、外から見ればのんびり歩いているし実際のんびり歩いていたと思う。ロンドンの街でリクルートスーツを纏った大学生(それも複数)と合流するのは気まずいことこの上ない。イギリスにきて一番遠くなったものは日本の大学生であった。

ロンドンキャリアフォーラムはボストンと比べてずっと小さい。小さいが小さいなりに就活イベントの雰囲気はあって、高度に商業化された求職活動だと思う。

キャリアフォーラムというものを敬遠していたのには(別に敬遠していたわけでもないが)理由があって、数年前のボスキャリ後、内定受諾した後にお断りした企業さんが出展しているからである。腹を括って謝りに行くかと思って企業ブースを覗きに行ったら、当時の人事の方がまだ居らして、普通に顔を覚えてくださっていてああすみませんと思う。別に怒られはしなくて、一応当時理由も説明していたのでむしろ応援してもらって、なんなら当時最終面接やってくださった方がいらっしゃるから話してく?と言われたので流石に丁重に辞退した。社会の皆さま本当に申し訳ありませんという気持ちと、後ろめたい気持ちが一つなくなったような感じだった。採用費用をおかけし本当にすみませんでした。

会場に早く入りすぎてしまって、無礼を働いた人とか挨拶すべき人とかに挨拶周りをしたら面談まで時間が空いたので、会場の裏の公園でまた志望動機を整頓し直していた。人気のない公園には綺麗なアーモンドだか桜だかの木が咲いていて、こうやって美しいものを見落としてしまうのだと無性に切なかった。

よく見たら普通に人気はあったわ

安部ちゃん面談とか緊張しないんだねとかつての就職仲間の先輩に言われたが、普通に緊張しているし頭は賢い切り返し方をしようと大回転である。

面談とか面接とかを繰り返していると、社会を10年とか20年とか生き抜いた人が私のために1時間なり2時間なり使っているのは価値バランスが合わないなと思うし、これが人生のピークであってくれるなよと思っている。まだ時間大丈夫です?とか言って仕事が楽しい話を聞かせてもらっている時は嬉しいし。

受付でかつての知り合いが働いていた。イベントですれ違うことはあってもちゃんと話すのは久しぶりで、嬉しくて長話に付き合わせてしまった。話が理路整然として賢い方なんだなと尊敬の意を抱いているので(話の理路整然さって取り繕えないと思いませんか?)、偶然話せてよかったなと思った。なんだこの感想。

早々にやることがなくなったので会場を退散して、暖かい春の陽気の中また寮に帰った。高度に商業化された就職活動。もうキャリアフォーラムに行くこともないのだ。

あらゆる海外大生向けの就活サービスに登録したブックマークフォルダを見ながら、いつの日か全て会員登録を外してやるのだと息巻いている。民間就活から離れた今も、たまに有益な情報をもたらしてくるので下手に外せないのが実情である。

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