オペレーション・ホワイトスノーが伝えたかったこと

 実に面白い動画が度々宣伝され先日公開となったので、今回は勝手に感じたことを書き残しておきたいと思います。
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm41075001

 まず最初に、本動画はシリーズに対するそれなりの造詣が視聴者に要求されるものです。しかし、少しかじれば十分分かるものなので心配することはないでしょう。
 物語本編はネタバレになりうるので割愛するとして、今回の動画において「かじっておきたい知識」と「強調したい点」については綴ろうと思います。


・ボスコニアンって何だ?

 ゲーム「ボスコニアン」の敵は、タイトルの通りボスコニアンというヒューマノイドの種族です。初めてUGSFに認知された当初から、海賊のように物資を方々から集めて暮らしていたようです。
 ギャラクシアン(銀河人)と同じくエイリアン(と呼ぶのが分かりやすいでしょうか)との交戦が繰り返されたことが原因で遺伝子強化が必要になり、長い歴史の中で全員が女性になったとされています。
 後年を描いたゲーム「スターイクシオン」では宇宙海賊として紹介されていますが、この戦い(オペレーション・スターイクシオン)の後で一部はUGSFに下り、劇中に出てくる国家ボスコニアを建国することになりました。

 この動画はボスコニア建国から500年後のストレンジリアルを舞台にしていますが、その500年の間に銀河人とボスコニアンの間で生まれた問題を描き出すものです。
 筆者としては似たような事情で大国に恨みのある南ベルカを思い返してしまう(エースコンバットZERO、ベルカ戦争から数えると動画劇中まで994年)ところがありますが、「これだけ長い時間をかけても、種族が違っても、ヒューマノイドが考えることは近いのだろう」と言えそうです。


・どうして今、宇宙モノの動画を作るのか?

 この記事を書いた2022年現在、UGSFシリーズとして設定が正式に繋がっている中での最新作はコンシューマーゲームが「エースコンバット7 スカイズアンノウン」、音楽配信コンテンツは「電音部」となっています。
 しかし元々UGSFシリーズは、「ギャラガ」や「ギャラクシアン」をはじめとしたスペースシューティングの設定を集めて作り上げた、言うなればスペースオペラです。
 本来このカテゴリーにおいてはギャラクシーエンジェル(昨年でシリーズ発足20周年だとか)のようなものを期待するところです。ところがどういう訳かUGSFシリーズにおいてはかれこれ18年程の間、スペースオペラどころか宇宙を舞台にしたタイトルが世に出ていません(直近が2004年初出のNew Space Order)。
 設定が繋がっている中では…
・ラブライブやバンドリがウケた→電音部
・ガルパン、異世界モノがウケた→しんぐんデストロ~イ!
 …といった具合で、もはやバンダイナムコに「今のユーザーは宇宙になんか興味が無いんだろう?なら人気の領域で出すしかないじゃないか」と言われているような気さえしてきます。

 しかし皆さん、考えてみましょう。
 UGSFのライバルたるギャラクシーエンジェルは、シリーズ20周年の記念ツイートが広がり、同人イベントも開催されています。これは「スペースオペラは人を惹き付ける。間違ってもオワコンではない」という裏付けと言っても良いかもしれません。
 だとすると、UGSFもまだまだ活気のある…むしろ他の作品で肉付けされた分、魅力の増したスペースオペラになっているのではないでしょうか。

 今回の動画を制作したUGSF.ORGさんは、スペースオペラにフォーカスした同人活動をしていらっしゃるサークルさんですが、その熱量は凄まじいものです。
 「UGSFはスペースオペラあってこそのシリーズである」という信念のもと、バンダイナムコが18年間諦めている宇宙モノを動画という形で作り続けていると言います。
 この信念が同人の世界に拡がることを…更にはバンダイナムコが忘れていないことを、願うばかりです。

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