人生の処方箋として(行き詰った時に役立つ名言集)

第1回目次
1.「言志晩録」(60)
2.「言志後録」(33)
3.「言志録」(34)
4.「言志晩録」(13)
5.「言志録」(2)
尚、これ等は私が著したものではなく、「50歳からの音読入門」齋藤 孝 大和書房発行の文庫本から引用してます。
この本の中にある「ういろう売り」という早口言葉を週4~5回ほど続けているお陰か79歳になった今も普通に喋れていると感謝しております。

まずは今回は1.をご紹介します。
1.「言志晩録」(60)
人生に行き詰った時に「これを読むと、立ち上がる力がわいてくる。
混沌とした現実に一筋の光明がさしてきて、先が見えて来る」というような、珠玉の言葉をご紹介しましょう。
年齢がいくほど、言葉を噛みしめることによって自分を支えることが、わりと力になりやすい。すぐに覚えられるくらいの短い文章が、すっと心に入ってきて、後半生を生きる指針になる。ということがよくあるのです。
そういう言葉を持ってる人は、意外と少ないのではないでしょうか。
そのために、ちょっと行き詰まるとうずくまってしまったり、出口のない迷路に入り込んだようにムダにあがいてしまったりすることになってしまいます。
今日はまず、「言志四録」佐藤一斎の著作をご紹介します。
佐藤一斎は幕府直轄の教育機関である昌平坂学問所のトップ、現代で言うなら大学の学長まで務めた人物です。日本における儒学の大成者として、大変尊敬されていました。「言志四録」は、その一斎が42歳から82歳までの40年にわたって思索した成果を集めた語録です。
この書に集約された一斎の教えは幕末から明治にかけて活躍した重要な人物に受け継がれ、たとえば西郷隆盛はこの書を生涯座右の書としていました。
漢文調の短い文章なので覚えやすいし、声に出して読むとなかなか気持ちのよいものです。それぞれに訳とポイントを付しておきます。
「言志晩録」(60)
少にして学べば、則ち壮にして為すこと有り。
壮にして学べば、則ちおいて衰えず。
老いて学べば、則ち死して朽ちず。

現代語訳とポイント
少年の時に学んでおけば、壮年になってからそれが役立ち事を為すことができる。壮年の時に学んでおけば、老年になっても気力が衰えることはない。
老年になっても学んでいれば、見識高く社会により多く貢献できるから、死んでも朽ちることはない。
「これは三学の教え」と言われるもので、人生の「小・壮・老」それぞれの時期にはすべて学ぶべき意義がある事が説かれています。「老いて」の所はちょっと大げさな感じがしますが、要するに学ぶこと自体が気力と体力の源泉になり、元気に充実して長生きできる、というふうに捉えていただくといいでしょう。老いるほどに学ぶことの素晴らしさに重きを置き、若々しい精神を保ちたいものです。

次回は「言志後録」(33)をご紹介します。