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FACTFULNESS~ネガティブ本能~

・人は物事のポジティブな面より、ネガティブな面に注目しやすい。ハンス・ロスリングはことをネガティブ本能と呼んでいる。

・このネガティブ本能のせいで、人々の大半は20年前と比べて世界が悪くなっているという勘違いをしている。しかし、実際には、貧困率は大幅に減少(40%→7%)、平均寿命も延び続けている(2017時点で72歳)。つまり、確実に世界は良くなっているのである。

・他にも本の中では様々な世界が良くなっているというポジティブなデータが記されているが、特に興味深かったのは「ギターの数」のデータについてのハンス・ロスリングの解釈である。100万人あたりのギターの本数は1962年 200本→2014年1万1,000本と大きく伸びている。同氏はこのデータから「より多くの人が音楽を楽しむ自由を得た」と読み取り、世界は確実に良くなっていると考えられるとしている。

・多くの人が上記のような勘違いをしてしまうわけにはネガティブ本能が関わっているわけだが、このネガティブ本能を刺激する要因は3つある。①「あやふやな過去の記憶」②「ジャーナリストや活動家による偏った報道」③状況がまだまだ悪い時に、「以前と比べたら良くなっている」と言いづらい雰囲気である。

・①は思い出は美化されるということを覚えておく必要がある。過去より現在の方が世界は進歩しており、良い暮らしをしている人の方が圧倒的に多い。

・②は、人はドラマチックな思考を持ち合わせているため、ネガティブなニュースには関心が高くなり、広まりやすい。小さな進歩はどれほど大きな影響力を持っていても、報道されることはネガティブなニュースと比べて圧倒的に少ない。例として、アメリカでは犯罪の数が1990年に1,450万件だったのに対して、2016年時点では950万件に減っている。しかし、ショッキングなニュースが数多く報道されることで、「1990年以降犯罪は減っているか」という問いに対して、大半の人が「増えている」と回答している。

・③はそもそも「世界はどんどん悪い方向に進んでいる」という考え方をしているは、あまり深く考えず、なんとなく感じているだけである場合が多い。

・ポジティブなデータを見ても、「なにかもが順調なわけではない」、「課題は多く残されている」と感じてしまてしまうのは、理解はできるが、ハンス・ロスリングは次のように述べている。「悪いと良くなっている」は両立するということを常に意識するべきである。世界がどんどん良くなっているからと言って、全てが順調なわけではない。しかし、今までの進歩を否定すべきではなく、それを喜び、さらなる進歩を求めるべきで、希望を失うべきではない。


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