さよなら天使ちゃん2

そのおじさんは15分以上うずくまって泣いていた。なんかだんだんおもしろくなってきたな。青椒肉絲、食べてみるか。たけのこを手でつまんで口に運ぶ。あ、これ、たけのこじゃなくて細切りのじゃがいもだ。
「ねえ、あなたのことずっと見てたんだよ」
「そりゃ怖いね」咀嚼しながら答える。
「私が誰だか、ほんとうにわかってないの?」
「わかってないね」
「私ね、ある朝起きたら急におじさんになってたの」
「これまでもおじさんだったんじゃなくて?」
「違うよ!私ね、りなだよ」
「どのりな?」
「どのりなって……やっぱりそんなに遊んでたんだ」
「遊んでもいいだろ、今彼女いないし」
「うおおおおおおおおおおお!」
彼が急に吠えるので、びっくりして皿を取り落としてしまった。
「わ、わ、わ、わ、わ、わ」
立ち上がり、彼はだんだん反り返っていく。
「私という、彼女が、ありながらああああああああああ!!!!!」
そう叫びながら出ていってしまった。私という彼女?携帯は青椒肉絲の上に鎮座していた。とんだ災難である。



この先どうなるのか何も見えない
続く


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